ウルティマ恐怖のエクソダス(ポニーキャニオン)

exodus
(c)ORIGIN SYSTEM/PONY

発売:ポニーキャニオン(1987) 機種:ファミリーコンピューター ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★☆☆
 古典的名作と評されるウルティマシリーズの中で、第三作をファミリーコンピューター向けに移植した作品です。ポニーキャニオンは当時の国産PC向けにウルティマIVの日本語版を発売していましたが、かのドラゴンクエストに多大な影響を与えた作品としてこのゲームを紹介しています。
 システムはフィールド見下ろしタイプの四人パーティ制。舞台となるソーサリアの世界はこれまで不死の魔導士モンデインや魔女ミナクスの脅威に晒されながら辛うじてこれを打ち倒していましたが、彼らが生み出した謎の存在、エクソダスが世界を侵食しはじめます。エクソダスの脅威に気が付いたロード・ブリティッシュはこの世界に四人の英雄たちを召喚すると、邪悪の正体を探りこれが解き放たれる前に封印することを命じました。

 選ぶことができる職業は戦士・盗賊・シスター・魔術師とこれらの複合を含めた十一種類が用意されていて、装備できる武器や防具、ワナの解除、シスターの魔法、魔術師の魔法をそれぞれ使うことができるようになっています。更に種族を選ぶことで能力の最大値が制限されるので、実際には使える職業と種族の組み合わせがある程度制限されてしまうのは仕方がないところでしょうか。
 ちなみにおすすめの組み合わせは騎士・詩人・レンジャー・魔術師あたりで全員が魔法を使えるようにしておくことと強力な飛び道具を装備できるメンバーを揃えること、ワナ外しのできるメンバーと魔術師が一人は欲しいところです。鎧は最強装備の「だいちのよろい」が全員装備できますので、職業ごとの限界をあまり気にする必要はないかと思いますが飛び道具の有無は重要なのでレンジャーは抑えておきたいでしょうか。ワナを外すウネムの魔法を使うために騎士を二人にする手もありますが、魔術師の魔法を温存してシーラやウーラを使うなら詩人が無難です。

 フィールド画面ですぐに気がつくのは視界の制限があることで、地上でも町でも壁や森、山などの向こうに何があるかが影になって見えなくなっています。出現する敵は自分たちと同様にフィールドを歩き回っているので、これのおかげで慣れれば不要な戦闘を避けながら目的地に向かうことができる一方で、例えば森の奥深くに入ると視界が悪い中で突然現れる敵に対処しなければなりません。そのため移動速度の上がる馬や、風向きの影響を受ける船といった乗り物の存在が大きな意味を持っています。ダンジョンの中は3D表示になりますが、地上と同様に敵が歩き回っていてこれに接触すると戦いになるので注意。
 戦闘は見下ろし式のタクティカル・コンバットで敵が最大八体まで登場しますが、とにかく序盤は攻撃が命中しないのでこの時点でこのゲームを手放したり分解したり水に沈めたくなるかもしれません。器用さが高ければ攻撃が当たりやすくなることは説明書にもありますが、つまり器用さが低ければ攻撃が当たらないのです。こんな当たり前のことに文句を言う前に器用さは初期値ぎりぎりいっぱいの25まで上げておいてください。

 全体的に自由度が高くなっているのは「ドラクエ」に毒されていないロールプレイングゲームでは当然ですが、この作品では町やお城でも敵と同様に住人と戦うことができたり、町中にある宝箱を盗み出してお金を稼ぐこともかんたんにできるようになっています。もちろん町中で悪事を働けば衛兵が襲いかかってくる上に、この衛兵がドラゴン並みに強くてしかも集団でご登場。ロード・ブリティッシュも戦いになれば不死身なのでお前たちがエクソダスを倒しに行けよと思わなくもありませんが、この辺はシステム上の制限と理解したほうがいいでしょう。人様のタンスを開けておとがめなしの世界よりはよほどまっとうではないかと思います。
 各地のダンジョンや町の存在に、異世界アンブロシアと合わせて行ける場所は多くありますが地上のフィールドが狭いためにあちこちを旅する感覚が少ないのは難点でしょうか。行きたい場所を頻繁に訪れるには向いていますが、移動が不便なほうが世界を広く感じることができるというのは後のウルティマIVが証明してくれています。

 国産の作品に慣れてしまうとこのゲームのシステムでは方々で戸惑うことがあるかと思いますが、いわゆる宿屋が存在せずまとまった体力回復の手段が限られる点などは注意が必要です。魔力や体力は時間とともに回復するので、無意味なダメージを避けて立ち回りましょう。クーンとクンテの魔法はタイミングを合わせると100%命中させて敵を全滅させることができるので、序盤はこれを活かしてゴブリンやスケルトンを駆逐しつつ、海賊船が出るようになったらこれを倒してなるべく早くアンブロシアに行くこと。この作品では最大HP以外の能力はいくら戦闘を繰り返しても上達せず、アンブロシアにあるそれぞれの神殿で寄付を捧げることで対応する能力が上昇します。まずは活動時間を延ばすために、魔法に対応する法力や魔力を上げていくのが無難でしょう。
 とにかくいくらでも資金が必要になるゲームですが、町で泥棒に励むよりは地下迷宮で宝箱が大量に眠っているフロアを探したほうが効率がいいかと思います。ある程度能力値が上がれば探索もより楽になってくるので、武器防具を揃えて四つのしるしと銀の角笛を見つけてエクソダス城に挑みましょう。エクソダスの思わぬ正体には海外作品らしい驚きがありますが、悪の大魔王を倒すのがロールプレイングゲームだと思っている人には物足りなく感じるかもしれません。

 ロールプレイングゲームが好きな人にとっては原作をかなり忠実に移植してくれている名作ですが、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーが好きな人であれば避けておいたほうがいい作品だと思います。
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