銀河英雄伝説V(ボーステック)

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(c)BOTHTEC

発売:ボーステック(1998) 機種:Macintosh ジャンル:シミュレーション
評価:★★★★☆
 有名なSF仮想歴史小説、銀河英雄伝説のシミュレーションゲームのシリーズで、第5作目にあたる作品です。もともとは1998年にWindows95で発売されており、マッキントッシュ版は2000年に廉価版として発売されています。

 内容は銀河帝国軍と自由惑星同盟軍の両者に分かれて、原作に沿った様々な会戦を戦っていくというものです。シナリオモードとキャンペーンモードが用意されていて、宇宙艦隊を駆って敵軍の所在を索敵しながらこれを撃破したり惑星や要塞を攻略占拠していく流れは、第1作などと比べても大きな違いはありません。艦隊戦の特徴としては艦隊の向きと武器や陣形による攻撃範囲が存在することで、相手を包囲や挟撃できると優位に戦うことができるようになります。また、敵味方問わず互いの艦隊同士が接近すると動きを阻害されたり、互いに衝突して艦艇数を減らしたりする点も注意が必要で、狭い場所で進軍ができなくなったり不利になっても戦線離脱がしにくくなっています。陣形によって有効な作戦や攻撃方法、移動距離が変わったりする他にもシナリオによって要塞砲や機雷源といった特殊な地形を考慮しながら戦える多彩さがあって飽きさせません。
 他にも原作をもとにしたOVAの影響が強いために、演出面では戦闘時に挿入されるアニメーション映像や、背景に流れるBGMが心地よく、操作性も良いのでじっくり楽しむことが可能。個性的な提督の数々も健在で、原作のファンでもそうでない人でも充分に楽しむことができるでしょう。キャンペーンモードでは原作に沿った戦いが展開されていきますが、進み方によっては特殊なシナリオを発生させることが可能でアムリッツァ会戦の展開次第で帝都オーディン攻略戦が発生したり、リップシュタット連合軍が攻勢をかけるシナリオなども存在するので好きな人は狙ってみるのもよいでしょう。

 全体として原作を意識した銀河英雄伝説らしい艦隊戦ができるという点で魅力的な作品ですが、一方で自由度が犠牲になっている点があって戦術ウォーシミュレーションとしてはもう少し奥深さが欲しかったところは好みが分かれるかもしれません。索敵があるのだから逆に伏兵を用意して相手に奇襲をかけたりかけられたりする方法や、特にキャンペーンモードでもう少し参加させる提督を自由に選べるようになっているとありがたかった感があります。原作であまりに不遇だったパエッタ提督をもっと活躍させたり、戦没した提督を生き残らせた場合に継続して使えたりすると良かったんですが。
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