グランディア2(ゲームアーツ)
(c)GAME ARTS
発売:ゲームアーツ(2000) 機種:ドリームキャスト ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★★☆
名作ロールプレイングゲーム、グランディアの続編となる作品です。滅びた古代文明と人と人とのつながりを描く、テーマが共通で世界観は前作とはまったく異なりますが、冒険へのあこがれの思いを強く感じさせた前作に比べると人と神話の関係を強く思わせるためにグランディアらしさよりも、同社のLUNARを強く思い出させる作品となっています。後にプレイステーション2版が出ていますが、やっぱり読み込み速度が遅くてどうにも快適さに欠けるのでドリームキャスト版がお薦めです。
物語は主人公であるジオハウンド、いわゆる無頼の何でも屋である青年リュードが小さな村の神父に雇われて、光神グラナスの神官である歌姫エレナの護衛を引き受けることから始まります。闇の悪魔ヴァルマーの復活を阻止するためという儀式の失敗により、エレナを媒介にして現れた「ヴァルマーの翼」であるミレーニアを封じるべく彼らはグラナスの大神殿へと向かいますが、人々に伝えられていた神話はやがて思いもよらない姿を明らかにしていくことになります。
基本システムは前作を踏襲した、360度視点が変わるマップ場面とIPゲージによる行動順の奪い合いを駆使した戦闘場面が中心となっています。多少、いくつかのヴァルマー戦こそ難しいものの全体的に戦闘の難易度が低いことや、回復ポイントが多いために補給が尽きない点も前作同様。ですがドリームキャストの性能もあってゲームのテンポや洗練された戦闘バランスが更に快適になっているために、よりパワーアップしたグランディアを楽しむことができるでしょう。
一方で演出や音楽まで絶品といえるほどにパワーアップしているにも関わらず、どこかグランディアらしさを感じさせないところがあり、続編としては不満に思えてしまうかもしれません。グラナスの神話を伝える人々やヴァルマーと共に戦った闇の民、そしてそうした神話など知りもしない獣人の暮らしを知っていく中で人の心に気がついていく、そのテーマはまさしくグランディアですが、それ以上にLUNAR的な人と神話の関わりが強く印象に残ってしまいます。
ゲームとしては前作以上に自由度が増していて、ブックなどを利用してかなり自分の好きなタイプにキャラクターを育てていくことができるようになっています。戦力バランスではリュードさんをキャンセルと回復に専念させて、エレナとかいう女はシャキア主体の魔法攻撃要員に特化すれば強力な大砲になってくれるでしょうか。エクストラダンジョンに用意されている、大悪魔戦のような無茶な戦闘がもう少し欲しかったところでデズンが発動すれば一発でゲームオーバーになってしまう、あの緊迫感が本編に少ないのはもったいないと思います。他には一部の魔法エフェクトが冗長で戦闘のテンポが悪くなることがあることも不満点ですが、デズンの魔法だけは常軌を逸した演出が素敵なのでOKですね。
ストーリーでは前作にも勝るシナリオの妙を感じさせますが、それを説明する上で所々分かりにくい点や疑問に思う点があるのは残念なところでしょうか。グラナサーベルの姿は確かにインパクトが強かったとはいえあの姿になる必要はあったんだろうかとか、兄さんが魔人になった経緯の説明が分かりにくいとか、ミレーニアの髪の色や神像を破壊した理由が気づかなければ分からないとか、一度クリアしてからもう一度プレイしないと見落としてしまいそうな箇所があるのはもったいないと思います。あとはいくらミレーニアとの対比があるとはいえ、ヒロインのエレナという女が斬り殺したくなるほど嫌な性格をしていることはある意味画期的でしょうか。
あとは演出面での不満点といういうより希望としては、このシナリオであればゲーム中のキャラクターの頭身を四頭身ではなくもっとリアルな表現にしたほうが怖いと批判されてしまうかもしれませんが、イベントシーンの迫力がまるで違ったのではないかと思います。ロールプレイングゲームはストーリーが第一だと自称する人にとっては、この美しいシナリオをじっくりと読み解くことができるのであれば珠玉の作品になりうるかもしれません。
もちろん好きなキャラクターはシレーネ様です。
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