ハイパーオリンピック(コナミ)

hyperolympic
(c)KONAMI

発売:コナミ(1983) 機種:アーケード ジャンル:スポーツ
評価:★★★★☆
 当時、多くのゲーム筐体とユーザーの爪を破壊したことで知られている、連射系スポーツゲームの走りとなった作品です。内容は陸上競技を中心にしたミニゲーム集となっていて、一定の記録を上げると次の競技に進めます。競技は100メートル走、走幅跳、やり投、110メートルハードル、ハンマー投、走高跳の全六種目。操作は二つのRUNボタンと一つのJUMPボタンによる計三ボタン、実質は二ボタンで、基本はRUNボタンを連打することによってスピードを上げながら、タイミングよくJUMPボタンを押すことによってアクションを行います。JUMPボタンを押している長さによって、やりを投げる角度やジャンプする角度を調整します。
 タイミングや角度以上に連打の速度が記録に大きく影響することと、後半競技となっているハンマー投と走高跳を除く四種目がその連打系の競技となっていたこともあって、とにかく常軌を逸したボタン連打が要求されたのが特徴。難しい操作は分からなくても、連打とタイミング押しだけならかんたんな上に記録を競いやすかったこともあって、誰でも気軽に挑戦できたのが最大の魅力です。一方で記録に挑戦するために様々なテクニックが開発されて、ボタンを爪やピンポン玉でこすったり、定規をはじく振動でボタンを連打することによって100メートル走であれば5秒台を出すことも不可能ではありませんでした。そのせいでハイパーオリンピックの操作パネルはすり減っているのが当時の常識になっています。

 とはいえ次の種目に進むためのクオリファイの基準と後半競技の難易度が絶妙だったせいで、ある意味反則ともいえる道具を使った攻略にも限界があり、タイミング勝負が必要な110メートルハードル以降の競技か、そうでなくても二週目でたいていは脱落するので延々と続けることができないのがかえって楽しさを増していたと思います。JUMPボタン押しを想定して100メートル走では鉄定規、ハードルではピンポン玉のケースと使い分けていた方も多いのではないでしょうか。
 家庭用ゲーム機ではMSXやファミリーコンピュータなどにも移植されていますが、家ではゲーム機が壊れるほどの連射をするわけにもいきませんし、かといって連射パッドなどの機能を使うと必死に連打する楽しみがないので正直難しいところです。アーケードゲームであればこの作品が楽しいですが、家庭用であればよりタイミング勝負が多くなるハイパースポーツなどのほうがはるかに向いているのではないでしょうか。

 ちなみに1984年以降、スポンサー料を払わないとこうした作品にオリンピックという名称を使えなくなってしまいましたが、ハイパーオリンピックでなくなった後続作品にむしろオリンピック協会への反感を抱いた人もいたのではないかと思います。
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