ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産(カプコン)

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(c)CAPCOM

発売:カプコン(1999) 機種:ドリームキャスト ジャンル:対戦格闘
評価:★★★★★
 有名な漫画作品「ジョジョの奇妙な冒険」の第三部を原作にした対戦型格闘ゲームで、サブタイトルも原作からですが、後にこちらはスターダストクルセイダースに改称されています。ドリームキャスト版はアーケード版で1998年に稼動した同作品と、1999年に稼動した続編「未来への遺産」を同時収録した内容になっています。
 基本操作がカプコンのこれまでの対戦格闘ゲームとは多少異なり、レバーとボタン四つの組み合わせになっているのが特徴。弱中強の三つに加えて本作品ならではのスタンドボタンが存在します。スタンドというのは原作中に存在する映像化された超能力のことで、各キャラクターは普通に戦うだけではなくスタンドを出現させてこれで攻防を行うことが可能になっています。性能や特性はキャラクターによって異なり、本体とスタンドで同時攻撃をしたり、相手のスタンドの防御力を削り取って無防備にしたり、持っている銃や剣そのものがスタンドになっていてこれで攻撃するといった多彩さが魅力。

 対戦格闘ゲームとしての様々なシステムも盛り込まれていて、一般的な投げや投げ抜けに回り込み、吹っ飛ばし攻撃やアドバンシングガードにガードキャンセル、テンポよく基本技を連携させるチェーンコンボやスタンドだけを切り離す遠隔操作モード、スーパーコンボゲージを消費して使用するタンデムアタックや必殺技など、キャラクターごとに異なる様々なテクニック駆使して戦います。スタンドが分離できるキャラクターであればプログラムコンボを組んで本体と挟み撃ちにしたり、派手で個性的な必殺技でとどめを狙うのもいいでしょう。原作を知っている人にはたまらない、ボタン連打によるオラオラ合戦も発生します。

 スタンドという独特の要素がありながら、バランスのいいシステムが対戦格闘ゲームとしては秀逸ですが、やはり原作ものならではの魅力的なキャラクターの存在が欠かせません。主人公であるジョースター一族の空条承太郎やジョセフ・ジョースター、仲間たちや数々の敵スタンド使いをはじめとしてボスであるDIOにいたるまで、個性的な能力を持つキャラクターたちがゲームでも個性的な能力を発揮します。
 格闘ゲームでありえるとは思えないDIOの時を止めるスタンド「ザ・ワールド」はもちろん、相手を子供にしてしまうアレッシーの「セト神」やJ・ガイルやボインゴとのコンビで登場するホル・ホース、触れた相手を強力な磁石にしてしまうマライアや鳥のスタンド使いであるペット・ショップまでよくもこれだけサイズや能力が異なるキャラクターを同じシステム上で扱えるものだと感心させられるでしょう。

 ですがこうしたシステム面の見事さ以上に感じさせられるのがスタッフの愛着ぶりで、彼らがどれほど「ジョジョの奇妙な冒険」を好きでいるかがこれでもかというほどに伝わってきます。モードセレクトやコンティニュー画面にスタンド使いのギャンブラーであるダービー兄を登場させてそのための声優や演出まで用意したり、原作を再現すべく画面上に漫画の擬音が派手に描かれる表現、各キャラクターに当てられている声優がOVA版よりもイメージに沿っていると評されたりとエピソードまで含めて枚挙に暇がありません。
 グラフィックデザイナーがこぞってDIOを作りたがったので紛糾した挙句に3パターンのDIOができたというのも有名な話で、きわめつけは原作では登場しなかった素顔を原作者の荒木飛呂彦自ら描き下ろしてくれたという「女教皇」のミドラーでしょう。

 二作品の収録や移植度の高さに読み込み時間の短さなど、ゲーム自体の快適さでも文句のつけようがない作品です。対戦格闘ゲームのファンでも、ジョジョの奇妙な冒険のファンでも等しく楽しむことができると思いますが、未来への遺産でのDIOの追加技、血の召喚をイギーやペット・ショップに決めまくった人がいるのではないかと思います。
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