燃えろ!ジャスティス学園(カプコン)

justice
(c)CAPCOM

発売:カプコン(2000) 機種:ドリームキャスト ジャンル:対戦格闘
評価:★★★★☆
 気のふれた設定と尾藤イサヲによる熱い主題歌で好評を博した対戦格闘ゲーム、「私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES」の続編に当たる作品です。アーケードではNAOMI基盤で開発、ドリームキャストと連動して発売されており、データメモリーを使うことでアーケード筐体にエディットキャラを持ち込むことなどもできるようになっていました。
 内容はタイトルにもあるジャスティス学園を中心にして巻き起こる事件に関わった学生や教師たちが戦うというものですが、学生らしく?それぞれの格闘スタイルも部活動などをベースにしており、バレー部ならボールを叩きつけたり相手をレシーブして空中技を決めるとか、水泳部なら飛び込みや人工呼吸、シンクロナイズドスイミンで相手を倒すとか、ヤンキーだったらナイフを振りまわして戦うといった様が必要以上に個性的になのが特徴。プレイステーション版を含めて続編が出て行く中で、通常の対戦格闘ゲームでは考えられないようなスタイルが更に追求されていて、写真撮影やバイオリン演奏といった技の数々が当然のように繰り広げられます。

 本作では太陽学園とパシフィックハイスクールという、二校による交流戦の中で持ち上がった騒動を調べ、主人公バツの偽者「ヴァツ」を追いかけるというものです。前作まで二人で組んでいたシステムが今回からは三人によるチーム戦となり、ツープラトン技に加えて追加されたスリープラトン技、ツープラトン返しに根性カウンターといったスピード感のある対戦ができるようになっています。中でもおそらくはこの技をこそ出したかったのではないかと思わせる、ブロッカー円月回転は必見。
 奇天烈なキャラクターや技の数々の印象が強い一方で、対戦格闘ゲームとしては3Dポリゴン表示されながらも2D格闘に近いオーソドックスなシステムが採用され、チームプレイが独自の駆け引きと演出を加えています。コミカルながら熱血という世界観が楽しく、暗黒生徒会という組織がごく普通に登場したり、漫画家の島本和彦デザインによる体育教師、熱血隼人を実際のキャラクターとして採用したりと開発者まで楽しんで制作した素振りがうかがえる設定やシステムの数々が秀逸です。

 ドリームキャスト版ではキャラクターエディット用に専用のボードゲーム、熱血青春日記が用意されていて、学園祭を舞台にして教室や部室をまわり、技や能力値を集めていきます。四人対戦で他のプレイヤーやコンピュータが集めた技を奪ったり、学園のキャラクターたちを連れていくことでサポートをしてもらったりと、これ単独でもなかなか楽しいゲームになっています。体型や外見のエディット幅が少ない点には不満がなくもありませんが、好みのキャラクターを楽しみながら作成して、しかもボードゲームの展開の中で思いいれがしやすくなるのは面白いシステムだと思います。アーケードとの連携こそありますが、爽快なゲーム性と楽しいボードゲームといった家庭用ゲーム機ならではの魅力がある作品です。

 惜しむらくは尾藤イサヲの主題歌がないことでしょうか。
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