ナップルテール(セガ)

nappletale
(c)SEGA

発売:セガ(2000) 機種:ドリームキャスト ジャンル:アクション
評価:★★★★★
 ドリームキャストを代表する名作アクションゲームです。年に一度の夏至祭の夜、新米たまガイド(死神)のストレイナップのちょっとした間違いによって、ナップルワールドへ連れられてしまったポーチという名の女の子が主人公。生きても死んでもいないナップルな世界に散らばってしまった、ポーチのペタル(妖精)を探してもとの世界に戻るまでの不思議で楽しい物語です。
 ナップルタウンはリアルワールドに似た、でもどこかが不思議な世界です。時が混じりあっているナップルワールドで季節感にあふれる各ステージを舞台に、ラケットとジャンプを駆使して走りまわりつつポーチの六つのペタルを取り戻します。

 アクションゲームとしては操作が軽快で、自然な視点の変化があるために奥行きと高さのある操作にも難しさを感じさせません。パフェットという仲間を連れていくことでアクションの種類や行ける場所が増えていき、季節を体現したとても美しいステージ構成までまるで飽きないつくりが見事です。
 そしてナップルワールドにふさわしいゲーム性が見事な映像と音楽、そして登場人物の個性から世界観に物語まですべてが不思議にまざりあった、その表現力において他に類のない作品となっている点が最大の魅力でしょうか。秋の玉入れの音楽に乗って転がるバクダンの実をはじくとか、五月病の季節には片づけ忘れたまどろみの中で時計を持ったうさぎを追いかけるとか、新学期がはじまらない学園に春一番を吹かせるとか。言葉に音楽に映像、それらだけでは表現しきれない、この世界を描く想像力を体感できることでしょう。

 ゲームでの不満はありませんが、魅力的過ぎる音楽の数々がサウンドトラック「妖精図鑑」に「怪獣図鑑」を合わせてなおすべては収録されていないことが最大の問題ですね。サントラ未収録曲である「Folly Fall」が後にセガコンに選ばれたことは有名な話です。
>他の記事を見る