伝説のオウガバトル(リバーヒルソフト)
(c)Riverhillsoft/Quest
発売:リバーヒルソフト(1996) 機種:セガサターン ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★★☆
スーパーファミコンで発売された、リアルタイムタクティクス式のロールプレイングゲームをリバーヒルソフトがセガサターンに移植した作品です。魔法使いラシュディによって支配された神聖ゼテギネア帝国に叛旗を翻した、オピニオンリーダー率いる叛乱軍のお話。内容は複数の小部隊を編成して、各面ごとに用意されているマップをリアルタイムに攻略していくウォーシミュレーションゲーム風の作品となっています。敵の拠点を陥落させるとマップクリアとなり、次のマップに進むことができる他にも、進軍中の選択や攻略ルートによって展開が変わっていくことになります。ユニットの特性を活かした戦闘と、タロットカードによる特殊効果を組み合わせた戦闘も分かりやすく爽快で飽きません。
進軍しつつ町を解放、拠点化しながら帝国軍に対抗していくことになりますが、システム面で特徴的なのがカオスフレームと呼ばれる民衆支持率の存在。弱い相手を撃退したり、長期的な戦闘に都市を巻き込んだり長期間の進駐を続けるとカオスフレームが下がっていき、資金が不足するようになったり仲間の加入やエンディングにも影響してしまいます。部隊を偵察用と都市解放用、戦闘用に分けて速攻で橋頭堡となる拠点を確保したら前面に進軍して敵を待ち受けつつ前線を構築していくのがわりと無難な攻略パターンになるでしょうか。
いわゆるヒロイック・ファンタジーの世界観にあって、英雄伝説的な勇者ではなく叛乱軍指揮官の視点で語られるシナリオが斬新で、解放軍であっても帝国を支持する民衆には受け入れられず、自分たちの行動によっては民衆の支持を得られないままにエンディングを迎えることもできるストーリーの深さが魅力です。それこそノーマルやバッドに類するエンディングであっても、これまでの行動に合わせた結末を用意している点は見事。
セガサターン版はオリジナルに比べて操作性を向上させており、特に各面で中断セーブをできるようにした親切設計がありがたいところです。アイテムがほぼランダムで登場するために、最強ユニットであるプリンセスやリッチを序盤で使うことも不可能ではありませんが、それもまた楽しいところです。シナリオ上で登場するメンバーを優遇することもできればゲーム当初から育てていたメンバーを主体にすることもできますし、各種ユニットをバランスよく揃えていくこともできるという自由度の高さも魅力でしょう。
個人的な希望としては完全クリアには攻略本が必須となる謎があまりに多いの点と、もっと積極的にノーマルやバッドのエンディングを目指せるようにして欲しかったところでしょうか。すごく細かい点ですが、グッドエンドやバッドエンドではなくロウフルエンドやカオスエンドとするだけでも与える印象が異なっていたかもしれません。ハングドマンなど印象に強いエンディングがある一方で、完全クリアとなるワールドエンディングの条件を満たすとオピニオンリーダー率いる反乱がトリスタン皇子を掲げたお家再興になってしまうのは微妙なところです。素直にエンペラーやエンプレスエンディングで良かったのではないかと。
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