プリンセスメーカー2(ガイナックス)
(c)GAINAX
発売:ガイナックス(1993) 機種:PC−DOS他 ジャンル:シミュレーション
評価:★★★★★
娘育成シミュレーションゲーム、プリンセスメーカーの第二作です。主人公はかつて国を救った勇者で、戦いで深い傷を負って引退する身となっていましたが天の守護星から一人の娘を送られると、彼女を八年間のあいだ育てることになりました。国を救った人間が一人の娘を育てることができるだろうかというテーマが面白い一方で、戦災孤児を育てるという前作の導入もなかなか捨てがたいものがあります。
娘の能力や性格、守護星は誕生日によって傾向が異なり、十歳から十八歳までの間に習い事やアルバイト、休暇や武者修行をさせて八年後の「運命の日」になるとそれまでの育て方によって職業や将来が決められるという内容は前作と変わりはありません。主人公は国を救った英雄として多少の年金をもらっていますが、基本的に娘を育てるには娘自身にお金を稼がせる必要がありますので、アルバイトはもちろん収穫祭で行われるコンテストや武者修行での宝探し、お尋ね者を探しての賞金稼ぎまでさせることになるでしょう。あまり働かせたり習い事ばかりしているとストレスがたまって倒れたり家出したりしてしまうので注意が必要です。ガイナックスのゲームらしく、多少いかがわしい展開や職業が用意されているのはご愛嬌でしょうか。
前作からの違いとして、ガイド役となる執事のキューブが登場するほかに娘のライバルとなる女の子も四人登場して、コンテストで彼女たちと競うことになるのも面白いところです。個性的で魅力的なライバルに娘も対抗心を燃やすようになりますが、剣士志望のアニータさんと魔法少女ウェンディさんの二人が武神以上に強くなるので、最終的には武闘会で優勝するのが一番難儀かもしれません。
娘の成長に従ってグラフィックも変わっていきますが、身長体重に合わせてグラフィックも変わっていくのが凝っているところ。あまり身長が高くなると普段着ている服が妙に似合わなくなるので、ドレスくらい買ってあげるといいでしょう。ドレスに合わせて気品や色気といった数値も変化するようになっていますが、ちなみにドレスが合うようにダイエットをさせるつもりなら夏の海に行くのが一番です。バカンスは他にも季節ごとに山または海に行くことが可能で、ストレスや感受性、体重などに影響しますがそれぞれにグラフィックが用意されているのでできれば色々行って欲しいところです。
能力値とは別に世間的な評価も存在して、戦士評価、魔法評価、社交評価、家事評価の四つが用意されています。ベースは関連する能力値の合計となっていますが、コンテストで入賞したり武者修行の成果によって更に評価を上げることができます。一方で娘が家出して補導されたりすると評価も下がってしまいます。
毎日のスケジュールを立ててアルバイトや習い事に精を出し、武者修行で力を試し、お城へ行って人脈を増やし、といった感じで娘が成長していく中で数多くのイベントにも出会うでしょう。自由な育て方と、それに応じた事件に会うことになる筈ですが、それこそ堕落した生活をさせるには親としての罪悪感と戦わなければなりません。妖精と踊り明かすこともあれば悪魔と取引をしたり、天空にある守護星に会いに行くことすら育て方次第で可能です。
八年が経って「運命の日」が訪れると、それまでの評価や出会ったイベント、能力値などによって職業から将来の結婚相手まで決まります。このとき娘自身から父に向けた言葉が綴られるのも楽しい演出ですが、働かされてばかりだったと不平を言われることもあって苦笑したくなるかもしれません。エンディングも様々に用意されていますが、もちろん最初から騎士にさせるつもりで戦士評価を上げていくといった育て方をするのも楽しいかと思います。結婚相手は王子様とのエンディングがある意味一番かんたんになっている一方で、執事のキューブや魔王、果てはアレとの結婚といういささかマグマな展開も用意されているのはゲームの自由度という範疇にしておいて下さい。
後に多くの機種に移植されている作品ですが、初期のPC版は膨大な枚数のフロッピーディスクが使われていた一方で、登場人物の紳士録といったガイドブックがついているのが魅力です。できれば後発の家庭用機版でも、設定資料なりとして入れて欲しかったところですね。
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