ファンタシースターオンライン(セガ)

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(c)SEGA/SONIC TEAM

発売:セガ(2000) 機種:ドリームキャスト ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★★★
 メガドライブの時代から家庭用ネットワーク端末構想に言及していた、故大川功会長のご存命中に実現したことにセガユーザーであれば安堵の息を漏らすであろう、コンシューマ機によるネットワークゲームのスタンダードの一つを作り出した作品です。世界観はセガのロールプレイングゲームのシリーズであるファンタシースターを踏襲しながらも本シリーズ用に作り直したSF風世界。恒星間移民船パイオニア1に乗って惑星ラグオルに植民が行われてから七年後、後続の移民船パイオニア2が訪れたときにラグオル地表で謎の爆発が発生して、地上からの通信が完全に途絶しました。総督府からの依頼によってハンターズと呼ばれる人々がラグオルの探査に赴き、パイオニア1の英雄レッドリング・リコの足跡を追いますが、そこには秘匿されていた計画の数々と1000年周期で甦る災厄の存在が隠されていました。
 ネットワークに接続したオンラインゲームだけではなく、オフラインによる単独でのゲームも可能。参加者はハンターズの一人となってラグオル地表に向かいます。基本は3D視点によるアクションロールプレイングゲームで、近接武器攻撃を主体にしたハンター、射撃のエキスパートであるレンジャー、テクニックと呼ばれる術を使いこなす王子の中から自分のクラスと種族を選びます。ひたすら敵と戦ってレベルを稼いだり珍しい武器防具を集めるだけの内容ですが、アクションの出来が良いことと相当にレベルを上げても歯が立たないほどの難易度が用意されているためにひたすら探索を繰り返して飽きさせない、というタイプのゲームになっています。システムは単純ですが自分の好きなスタイルで遊べる点が魅力で、多少の不利を承知でお気に入りの装備を使ったり、派手なテクニックを駆使することが可能。オンラインでは最大四人までの協力プレイが可能なために、能力が劣る仲間をフォローしながら戦ったり、一人が敵を誘いながら他のメンバーが射撃やテクニックを狙うといった方法も可能です。

 天文学的な確率でしか登場しないレアアイテムがあることもあって、すでにオンラインサービスが停止した現在でも根強く遊んでいる人もいる作品ですが、この作品が革新的であったのはやはりネットワークゲームとしての完成度の高さにあるでしょう。ドリームキャストの機能を活かした、電話線をつなげるだけでオンラインゲームに参加ができるというシステムが難しい設定を不要にしていることもありますが、キーボードによる文字入力ができなくても会話ができるように配慮されていたり、感意的な翻訳機能まで備えていたりと国内外を問わないコミュニケーションが家庭用ゲーム機&電話線だけでできるという点が最大のポイント。実際に海外の参加者が日本のサーバに接続してプレイしていた例も多く、大仰なPCが必要ない家庭用ネットワーク端末としてのドリームキャストの面目躍如といえる作品でしょう。脱線するとこのドリームキャスト、グループ社員に無償で配られて家庭用情報端末として保険や組合の連絡用端末に使われたりとかなり斬新な試みが行われた機器でもあります。
 ゲームとしては初期バージョンと、いくつかの問題点を改善した上に難易度を上げたアルティメットモードその他を追加したバージョン2が後に発売されています。システムの充実度やレアアイテムの種類、新規シナリオの追加など、後に任天堂ゲームキューブで発売されるエピソード1&2が最も完成されているのではないかと思いますが、ファンタシースターオンラインそのもののお手軽さを最も体現している作品として忘れることができない作品です。ちなみにDC版では攻撃力偏重にしてマシンガンで接近戦をするレイマーのUSA、GC版ではやっぱり攻撃力偏重にしてデモリションコメットを振り回すハニュエールのAYRさんを使ってました。

 ぐふ。
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