サカつくDS タッチandダイレクト(セガ)

sakatukuds
(c)SEGA

発売:セガ(2008) 機種:ニンテンドーDS ジャンル:シミュレーション
評価:★★★☆☆
 セガの定番サカつくシリーズの移植作。なのですが他機種の作品に比べて初心者向けに大幅なシステム変更が行われていて、よくいえばはるかに遊びやすく、悪くいえばはるかに底が浅くなっています。もとはサッカークラブ運営シミュレーション、だったはずですが今作品ではスポーツ育成シミュレーションとなっているのにそうした事情が関係あるかはわかりません。

 ゲームはオリジナルのサッカークラブでJリーグに参戦、チームを強く大きくしていくのが目的で、地元となる市区町村を選んでチーム名やユニフォームを決めたらJ2から参戦して強豪クラブを目指します。DS版最大の特徴が選手の発掘と育成で、カップ戦で対戦した相手の選手を「スクラッチカード風のくじびき」で手に入れたらあとは試合に出場するだけでレベルが上がって強くなります。そのためシリーズの特徴である設備やスタッフを揃えて育成方針を決めて、という行為がまったく必要ありません!正直育成ではなく選手集めを楽しむコレクションゲームなので、いっそ欲しい選手をひたすら集めるゲームに特化するのもよかったのではと思うほどです。
 逆に既存のシリーズに比べてよくなったのが試合がダイジェストではなくフルタイム中継になり、試合中の指示ができることで監督風の立場で遊べる点は魅力。選手の配置をうまく考えればサイドから駆け上がってクロスからシュート、弾かれたところを二列目が決めるなんて展開も意外と見られて感心もの。ゴールキックが相手のゴールラインを越えるとかお茶目な動きもありますが、デフォルメ頭身の選手もかえって見やすくよい感じです。

 と、既存のサカつくを知っている人にはまるでちがうゲームに思えるかもしれませんが、違う作品だと承知していればこれはこれで楽しい作品でもあります。惜しむらくは選手コレクションとして考えると、特に海外選手や架空選手を集める魅力が少なくJリーグ各チームとの対戦のほうが楽しいのに、難易度が低いのでJリーグ各チームが相手だと倒しがいがないところでしょうか。架空日本人選手はモンタージュみたいな顔ばかりで、ガイジン選手はキャプテン翼よりも同じ顔ばかりなので、たとえばガンバ大阪や浦和レッズと対戦するのは楽しくても、ウルグアイやコロンビアと対戦してもどちらがどちらかさえわからないのです。
 いっそJFLからスタートしてJ1制覇をめざしつつ、勝ち進んだらACLやCWCに挑戦するようにして海外の選手は有名どころだけを用意したほうがシンプルでよかったのではないでしょうか。Jリーグよりも日本代表のほうが人気がある事情はもちろんですが、だったら自分のチームから召集された選手が入っている日本代表チームでワールドカップ本戦に挑むイベントくらいで充分かと思います。

 ちなみにクラブ運営そのものについては選手の年棒が存在しない中で設備投資にお金が必要というちょっとわけのわからないシステムになっていて、お金の用途は毎月訪れる怪しげなサラリーマンからアイテムを購入するのがメインなので経営もなにもありません。あるいは育成込みの戦術シミュレーションくらいに割り切った作品にしてもよかったろうにと思うなど、いろいろな意味で惜しいところがあるので、なまじ遊びやすいだけにもったいなさを感じさせる作品です。
 あるいはチームを「強くならないように」しつつJ1昇格と降格を繰り返すくらいの力を維持できればゲームとして楽しいのかもしれませんが、それってもはや本末がひっくり返ってますね。
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