サクラ大戦(セガ)
(c)SEGA
発売:セガ(1996) 機種:セガサターン ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★★☆
当時、セガが技術の粋を結集して作った豪華でお莫迦なシリーズ第一弾であり、セガサターンを牽引する作品となった一つでもあります。時は「太正」時代、蒸気機関全盛のちょっと奇態な日本を舞台に、悪の集団黒之巣会と戦う秘密組織帝国華撃団のお話です。海軍士官学校を主席で卒業した主人公である大神一郎が帝都の平和を守るべく、意気揚々と訪れた配属先は何故か大帝国劇場。そこではうら若い女性たちが歌劇を演じて人々を沸かせていました。歌劇団のモギリとして働かされることになった「大神さん」は思わぬ待遇に戸惑うことになりますが、ステージを沸かせている彼女たちこそひとたび事件が起これば蒸気と霊力で動く霊子甲冑光武を駆って出撃する、帝国華撃団だったのです。
ゲームの基本はTVアニメーション風の一話完結仕立てで、劇場での生活を中心にストーリーを追うアドベンチャーパートと帝国華撃団・花組として敵と戦うシミュレーション調の戦闘パートに分かれています。アドベンチャーパートで隊員たちの好感度を上げていくと戦闘パートでの能力が上がるようになっていて、特にヒロインの能力が上がると合体攻撃まで使えるようになるので、思い入れのあるキャラクターが活躍できるようになっている作りは面白いところです。
中でも有名なのが会話シーンなどに導入しているLIPSというシステムで、時間制限があったりしばらくすると内容が入れ替わる選択肢など、コマンド選択式でありながらも感覚的な操作ができる工夫は面白いところです。ちなみにこのシステム名称や一話完結のシナリオ構成など、この作品が日本テレネットの「魔法の少女シルキーリップ」の影響を受けていることは有名な話ですね。
戦闘パートでは隊員ごとに特性の異なる、個性的なユニットを活用して雑魚を蹴散らしたらボスを倒してクリアとなりますが、欠点としてはこの戦闘パートがあまりにかんたんで緊張感に欠けるところでしょうか。特にヒロインによってはほとんどすべての雑魚を一撃で倒す攻撃が可能な上に、大神さんの特技である「かばう」コマンドによって無敵状態で突出させることができてきますのでまず負けることはないでしょう。
ゲームでも演出でも開発陣の力の入れようがうかがえる作品ですが、問題はシナリオで極端なまでにデフォルメされたストーリー自体には定番の魅力がある一方で、後半の展開があまりに酷くシナリオライターの良識を疑う内容になっている点は気になるところです。この内容であれば、正直ディスク1で完結してエンディングにしてもさほど文句はでなかったのではないでしょうか。
ちなみにこのゲームの第一印象が「メカはいからさんが通る」だった私としては、主人公を少尉と呼ぶすみれさんがヒロインになるのはごく当然の帰結だったでしょう。
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