サクラ大戦3〜巴里は燃えているか〜(セガ)

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(c)SEGA

発売:セガ(2001) 機種:ドリームキャスト ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★★★
 セガの豪華絢爛な莫迦ゲームシリーズ、サクラ大戦の第三作目でドリームキャストにハードを移しての作品です。時は太正十五年、前作で帝都防衛の任を果たした主人公の大神一郎が今度はフランスにある巴里に派遣されると、そこで新しい華撃団・花組を結成するというお話です。前作に勝る個性的かつ問題のある女性隊員たちを相手にして、帝都の騒動に劣らぬ破天荒な活劇が繰り広げられることになりました。

 システムの基本は隊員や巴里の人々と接しながらストーリーを追っていくアドベンチャーパートに、それに続く戦闘パートで構成された一話完結シナリオである点はこれまでと変わりませんが、ドリームキャストの性能を無意味に活かしまくった映像面やシステム面でも様々に新しい工夫が見られるようになっています。会話の中心となるLIPSのバリエーションも更に増加し、突発的に発生するイベントでの咄嗟の対応を求められたり、戦闘中にLIPSが登場するなどこれまで以上にシナリオの展開とLIPSが自然に連動するようになっているので、この手のゲームでありがちな「女性の好感度を上げるための選択肢」だけではなくなっているのが最大の魅力。戦闘パートもこれまでのマス目によるユニット配置ではなく、一定の行動力の中で旋回して移動し、攻撃まで行うというシステムに変更されているために、より細かい移動や配置を意識しながらも操作は易しい戦いが可能です。あえて希望を加えるなら戦闘パートでの機体のサイズがもう一回り小さければ、もう少し機動力を駆使した戦い方ができたかもしれないと思いますが、難易度も基本的には易しい一方で、充分にゲーム性が上がっているのも楽しいところでしょう。セガの作品ならではの充実したミニゲームの出来も流石です。
 また、このシリーズならではの定番にして破天荒なシナリオや演出も見事で、新メンバーとなる巴里華撃団の面々だけではなく脇役扱いとなる登場人物たちも丁寧に描かれていて、日本から帝国華撃団もゲスト登場したりとサービス満点。オープニング映像も更にパワーアップされていて、CGアニメーションの最高峰を思わせる技術をフレンチカンカンのスカートの揺れ方を見せるために発揮してみせた、その莫迦莫迦しさには脱帽して降伏するしかありません。

 ポイントとしては、サクラ大戦に限らずこうした作品では物語の主導がよりどりみどりのヒロインたちに向けられがちであるにも関わらず、この作品では「あなたである大神一郎」が明確に主人公となっている点で、そのためにごく自然に引き込まれやすいシナリオになっています。単に前作を遊んだ人が大神さんに浮気をさせないようにできるだけかもしれませんが、破天荒な世界と破天荒な登場人物を相手にして主人公の存在感が消えないというのは重要なことではないでしょうか。恋愛ゲームとして遊ぶ人であればそのヒロインを、そうでない人は自分が帰ったときに巴里華撃団を託すことになる副隊長を選ぶことになりますが、性格では一番まともなコクリコさんを選ぶのは犯罪以外の何ものでもなく花火さんは完璧に気を違えてしまっている存在、一番信頼できるロベリアさんは現役の犯罪者ということで間違えた貴族風のグリシーヌさんが消去法で副隊長に向いているでしょうか。メインヒロイン格のエリカさんはたぶんちょっとしたうっかりさんで華撃団を壊滅させてくれそうなので危険ですね。
 これまでのシリーズとしてのシステムもシナリオも継承しつつ、主人公を除く登場人物のほとんどを刷新した上でこれだけの完成度を見せることができた点で、前作の2は完成されたサクラ大戦という印象がありましたが今回の3はシリーズもののゲームとして究極の進化を見せたサクラ大戦とでもいいたくなる作品です。

 こまかいことは置いてもリボルバーカノンの衝撃だけでこれはものすごいゲームだが!
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