三國志III(光栄)

sangokushi3
(c)KOEI

発売:光栄(1992) 機種:メガドライブ/メガCD ジャンル:シミュレーション
評価:★★★★☆
 光栄の有名な三国志シリーズの中では、個人的に最もできのよい作品ではないかと思っている第三作の移植版で、メガドライブ版とメガCD版の双方が発売されています。舞台は今更ですが古代中国の三国時代、群雄と武将をあやつって大陸統一をめざすというものです。前作までと比べて領土が城単位に分けられ、道を設けたことで隣接する拠点への侵攻ルートが制限されていたり、要所に関所や特殊な戦場を設けているのが最大の特徴でしょうか。戦闘では前作2ではできなかった数万人規模の大人数部隊の投入も可能になっていて、一騎打ちの改善やさまざまな計略も増えており多彩な内容になっています。他にも幾つかのシナリオイベントも用意されていて、貂蝉が武将として仲間になる(!)連環の計や有名な三顧の礼、袁術が皇帝を僭称するイベントなどが面白いところ。好みは分かれるでしょうが、オリジナルの君主や武将をつくるシステムも好きな人にはたまらないでしょう。
 難点としては多くの新要素を取り入れた一方でそれを活かしきれておらず、先ほどの関所もそうですが呉軍を象徴する水軍を扱える戦場がほとんどないことや、三国志の見せ場である火計の炎がすぐに消えてしまうのでほとんど役に立たないこと、さまざまな計略が増えているがいまいち効果が薄いか、またはバランスを崩すほど強すぎるあたりは問題でしょうか。同盟を破棄させて敵武将の忠誠度を下げて引き抜くとか、システムを活かした強力すぎる技は基本的に禁じ手にしないとかんたんにゲームが崩壊してしまうので要注意かと思います。他にも都市や戦場があることによって洛陽に進軍するために虎牢関を陥とすといった進軍ができる一方で、自軍領土内の移動に別段時間も資金も消費しないので、進軍ルートを考える楽しみまでは実現できていないのはちともったいないかもしれません。城の地形効果があまりに強い一方で、関所の防御効果がまるでないために、関所を避けるのではなく関所におびき出して敵の数を減らしたほうが戦いやすいのも関所の意味をなしていないので残念です(あるいは市街戦のリスクがもっと高ければよかったんですが)。細かいところでは弩兵が強弩兵の劣化版にすぎないので、例えば射程が短くて攻撃力が高い弩兵と、射程が長い弓兵に分けてくれれば双方を活かせたのではないかと思います。

 あいかわらず蜀軍贔屓の能力値設定がされているとか、色々な欠点はありますが南蛮まで含めた武将数の充実や各種アイテムなど、三国志の世界に浸るためのゲームとしては実に魅力的な作品だと思います。厳密に禁じ手を設定して対人戦をするか、または敵武将を自分で操作して強くしてからCPUに変えての一人プレイにすると手ごたえがあって楽しいかもしれません。この手のゲームでは、楽しいほど要望が多くなるのはお約束ですね。
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