シャイニング&ザ・ダクネス(セガ)

shiningdarkness
(c)SEGA

発売:セガ(1991) 機種:メガドライブ ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★★★
 舞台はストームサングの王国。平和と豊作を祝う年に一度の祭りの日に、神殿へと向かった王女クレアと騎士モトレードがこつぜんと姿を消したことから事件は始まりました。王国には闇の魔物たちが姿を現すようになり、王宮に集まった人々は事態に困惑する顔を隠せません。モトレードの息子である新米戦士は王に願い出ると、エルフの魔術師マーリンやホビットの僧侶ビルボといった仲間を連れて父を捜し、王女を助け出すべく神殿の暗い迷宮へと足を踏み入れました。

 後にクライマックスの有名なシリーズとなるシャイニング・シリーズの第一弾で、当時、セガがメガドライブ用にドラゴンクエストシリーズに対抗すべく送り出した作品です。内容は3Dダンジョンもののロールプレイングゲームですが、主な舞台となる迷宮の中だけではなく町や王宮、お店や酒場の中まで主人公視点で描かれる演出に感心させられます。マップ画面で城と町、いにしえの神殿を選んだあとは町中では周囲を見渡して入る店を選び、酒場であればそのときに訪れている人々に話しかけて、神殿の迷宮に入れば魔物たちが歩いてきたり曲がり角の向こうから姿を現して、その画面のまま戦闘に入ると攻撃や魔法の効果が画面狭しと広がります。
 ダンジョン・マスターのようなリアルタイム性がある訳でもなく、マイト・アンド・マジックIIIのように世界からモンスターの配置まで完全に3Dマップ内で構築されている訳でもなく、システムそのものはごく正統派のパーティ制ロールプレイングゲームに過ぎません。それを画面効果や演出だけで見せているのは見事ですが、より見事なのは後にシリーズに引き継がれる簡易な操作性とゲームとしての遊びやすさで、各コマンドを十字キーに割り当てることでテンポのよう操作が可能となっていたり、戦闘バランスや適度なレベルアップのタイミング、オートマッピング機能まで備えた親切さに飽きさせないイベントの進行までとにかく気を使って作られている作品です。

 ゲームシステムそのものに斬新さはなく、展開やイベントにも奇をてらったところがなく、だからこそ演出や表現力、親切な操作性のおかげで安心して遊ぶことができる点は見事というしかありません。煩雑なロールプレイングゲームをどれだけシンプルに実現するか、そのインタフェースが後のシリーズのスタンダードになったというだけでも評価に値するのではないでしょうか。敷居が高いジャンルをより幅広い人が楽しむことができる、かつてドラゴンクエストが挑戦した方向性を当時の技術力で実現してみせた名作です。

 死神舞うソウルスチルの魔法がとても格好良いですね。
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