スペースチャンネル5パート2(セガ)

spacech52
(c)SEGA

発売:セガ(2002) 機種:ドリームキャスト ジャンル:アクション
評価:★★★★★
 時は25世紀。宇宙から突然地球に襲来したモロ星人を、宇宙放送局スペースチャンネル5の新人リポーターうららは踊りパワーで撃退して、人類は平和を取り戻していました。それから2年。ギンガを救ったうららですがリポーターとして未熟なことには変わりなく、ディレクターのヒューズに怒鳴られる日々を送っていましたが、今度は謎のダンシング集団「踊り団」が地球に現れると人々を踊らせてはどこかに連れ去ってしまうという事件が発生します。スペースマイケル局長からの指示を受けて、再び謎の事件をリポートするためにうららは発進しました。

 奇作スペースチャンネル5の続編にあたる踊りゲームです。基本は音楽と映像に乗ってテンポよく流れる相手の動きに合わせて、同じ動きを入力するというシンプルなもの。上下左右の四方向に、攻撃と救出の二種類のビームを使い分けて踊り団に踊らされている人々を助け出していきましょう。「アップ」「ライト」「レフト」「ダウン」のそれぞれの掛け声に、前作からの変更点として二種類のビームの掛け声も「チュー」と「ヘイ」に分かれたのでより親切に分かりやすくなっています。掛け声も曲の一部になっている楽しいセンスに、今回は楽器バトルと称してさまざまな楽器が演奏されたり、曲中に歌も入るなどより映像と音楽を楽しむ要素が増えています。
 使用される音楽はテクノからワルツにお得意のスパイ系?ミュージックからマイケルジャクソンまで妙な幅広さは健在。より厳しいリズム感を要求された前作に比べて多少入力が甘くなっているのを物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、個人的にはリズムゲームとしては前作の方が優れていても、誰でも楽しめる音楽ゲームとしてはこのくらいがちょうどいいのではないでしょうか。

 あのマイケルジャクソンが興味を示したという時代を突き抜けたセンスも相変わらずで、徹底的に作りこまれている25世紀の世界にはスペース鳥使いやスペース日本人、スペースおばあちゃんやスペースマイケルジャクソン(本人)まで登場するいかがわしさと、昔ながらの宇宙デザインが独特の世界観を描き出しています。前作では開発期間の都合もあって、限定的な登場となったスペースマイケルジャクソンが今作では準主役級の扱いで登場し、数々のマイケルボイスやマイケル風ミュージックまで披露してくれています。声優陣の配役を含めて家庭用ゲームとは思えない豪華な陣容ながら、主役のうららやディレクターのヒューズを含め、主要人物はオーディション出身の素人や関係者で揃えた微妙な配役も見事。開発ディレクターとは思えないヒューズの美声は必聴ですが、榊原良子扮するパインさんのセクチーな声には踏まれたいと思う人もいるかもしれません。

 キテレツな世界にこれでもかと思わせる展開が圧巻の音楽で彩られ、ゲームとしても遊びやすく難易度も適度にかんたんで、再放送となる二周目や追加コスチュームといったオマケ要素まで揃えた長く遊ぶことができる作品です。そうした細かいことを置いても、本人の肉声で奏でられるマイケル風ミュージックだけですべてを持っていかれてしまうことでしょう。

 きっと彼は25世紀の未来で踊っているのだと思います。
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