サージングオーラ(セガ)

surgingaura
(c)SEGA

発売:セガ(1995) 機種:メガドライブ ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★★☆
 メガロープレプロジェクトの一環としてメガドライブ後期、どころかほとんど最後の時期にぎりぎり間に合うようにして発表された作品で、ロールプレイグゲームに弱いとされていたセガがそれを覆すべく投入した作品のひとつです。キャラクターデザインにいのまたむつみを起用していることもあって「風の大陸」っぽさを感じるかもしれませんが、よくも悪くもシナリオや展開よりも意欲的なシステム「だけ」が強い印象に残ってしまうという、ある意味セガらしい作品かもしれません。

 物語の発端は20年前。アズラーの聖戦と呼ばれる戦いが巻き起こり、闇の呪法師ルフィードは敗北して英雄たちはパスファルダ王国を建国すると平穏な日々が過ぎていました。主人公はこの国の王子であるムウ、建国20周年の式典にかつての英雄である父や母たちと並んだ少年の目の前で事件は起こります。王宮に突然魔物の大群が襲い掛かり、戦火の中、王や王妃たちに守られてムウはかろうじて「呪法典の間」へ逃げ込みました。六つの呪法典が封印された結界が開かれますが、これあるを待ち構えていたルフィードが復活、仲間たちもろともムウは倒されてしまうと世界は滅び、すべては闇につつまれます。
 暗闇の中、気がついたムウの目の前にいるのは時のウサギを名乗る姿。時間を戻すことを許された少年は未来を託されると時代を越えて、ルフィードを倒すべく過去の世界へと旅立つことになりました。

 先に書いてしまうとシナリオは導入こそ工夫があって面白いですが、展開はありきたりですし時代を経た冒険も当時決して斬新であったとはいえません。ですがこの作品の主軸はストーリーでも展開でもなく戦闘時の呪文詠唱システムそのものにあり、リアルタイムで繰り広げられる魔法戦の攻防にこのゲームのほとんどすべての要素が凝縮されています。ありていに言えば、このシステムが面白いと思えばこの作品は秀作であり、なじむことができなければ最後まで楽しむことができないでしょう。
 こちらは主人公のムウを中心とした、最大3名のパーティ制ですが魔法使いはムウ一人だけで、他の二人は護衛役の戦士となります。呪文を唱えると詠唱が画面の上を流れていくのが特徴で、例えばサングバランの呪文を選ぶと「サングバランサートハレジュ・・・」と画面に流れていきこれが完了すると術が発動します。詠唱中に攻撃を受けると詠唱が中断、更にもう一回攻撃を受けるとキャンセルされてしまうので注意。戦士たちは敵の詠唱を止めるかムウの護衛をして、ムウは六系統六種類の計36種類存在する呪文の中から攻撃や補助や回復の呪文、あるいは特定の系統を打ち消すカウンターの呪文を使って戦闘を進めていかなければなりません。

 強力な呪文は詠唱に時間がかかり、カウンターは比較的早く詠唱が終わるといった特徴を活かして戦士たちへの回復とカウンターのどちらを優先するかを判断しつつ、チャンスがあれば攻撃呪文を狙うといった攻防になります。とにかく呪文の威力が強力で、当然のように敵も呪文を使ってくる上にもちろん戦闘はリアルタイムで一時停止すらできませんから、呪文の系統や効果を充分に理解して相手の詠唱が始まった時点で呪文の種類を見分けて対応しなければならないでしょう。経験値稼ぎやレベルアップではなく、プレイヤー自身が呪文をマスターすることによって戦闘が楽にも難しくもなっていきます。ある程度の雑魚が相手であれば戦士の力押しだけで戦っても勝つことができますが、最強クラスの攻撃呪文は威力も効果も戦士が及ぶものではなく、これをどれだけ自在に操れるかがポイント。
 呪文も最初からすべてが使える訳ではなく旅の中でひとつずつ覚えていくので、新しい地域で現れた敵が唱えてくる呪文に対抗するために、新しい呪文を手に入れていくとった展開が主になっています。特にボス戦では双方がどうやって強力な呪文を完成させるかのしのぎあいとなるので、緊迫感のある魔法戦闘が味わえるでしょう。

 個人的にはかなり好きな作品ですが、36種類ですら多く感じられる呪文をもう少し簡易にするという手もあったかもしれません。ある程度有効な呪文や戦闘のパターンを見つけていくことができれば、難易度もけっして高くないし派手で強力な呪文を景気よく使う楽しさは必見です。雑魚との遭遇率を減らしてしまい、一戦ごとの難易度と緊迫感をもっと上げてくれたほうがより好みだったでしょうか。経験値稼ぎよりもプレイヤーの能力が求められるという点で、ロールプレイングゲームではなくゲームとして評価したい作品です。
 当初、画面写真まで発表されてから一旦は開発が頓挫したらしくかなり間をおいての発売となった経緯がありますが、個人的にはキャラクターの顔グラフィックが表示される製品版よりも、背中からの姿が表示される開発版の画面のほうが好みです。
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