バーチャファイター(セガ)

virtuafighter1
(c)SEGA

発売:セガ(1993) 機種:アーケード ジャンル:対戦格闘
評価:★★★★★
 バーチャレーシングで使用した、ポリゴンによる3D表示技術を対戦格闘ゲームに使用した初の作品であり、それまではカプコンのストリートファイターシリーズに代表されていた格闘ゲームに新しいコンセプトを導入した作品でもあります。ポリゴン表示すら画期的だった当時に実現された、モデリングされた人間が戦う画面だけでも衝撃的なものでしたが、それ以上にシンプルで爽快な遊びやすさのおかげでこの手の対戦格闘ゲームをまるで遊んだことのない初心者の多くをゲームセンターに呼び込むことに成功しました。
 とにかく操作系がシンプルでわかりやすく、多くの格闘ゲームで六つにまで増えていたボタン配置をパンチ、キック、ガードの三つにして、複雑な必殺技コマンドを廃するなどかんたんな操作で爽快な攻防が可能になっているのが最大の魅力です。登場するキャラクターたちが(一部を除き)実在する格闘技を扱うのもリアルな印象を与えていて、八極拳やジークンドーといった中国拳法を中心に、プロレスやパンクラチオンなどを加えた選定も見事でゲームではなく格闘技が好きな人に受け入れやすい格闘ゲームとなっています。それでいて打撃が当たったときの音に実際の打撃音ではなく、技が当たったときに感じるイメージを音にしているので派手さと豪快さも失われていません。

 対戦ゲームとしては豪快な反面、大味なところもあって特にキャラクターごとの性能があまりに異なるのでラウやジャッキーといった強力なキャラクターを使われると、パイのような弱いキャラクターでは上級者でも初心者に勝つのが難しいといった傾向があります。一方で、だからこそ初心者も上級者も関係なく対戦することができるので、一部の特に弱いキャラクターが使えないことを除けば大きな問題ではありませんでした。
 後にセガサターンを牽引する移植タイトルとなり進化した続編を世に送り出していくことになりますが、初心者上級者を問わないゲームとしての遊びやすさと、まるで痛みが伝わってくるような衝撃を与えてくれる表現力の見事さでは今でもシリーズ随一の作品となっているのではないかと思います。
>他の記事を見る