バーチャファイター2(セガ)

virtuafighter2
(c)SEGA

発売:セガ(1994) 機種:アーケード ジャンル:対戦格闘
評価:★★★★★
 3D対戦格闘ゲームのパイオニアとなった、バーチャファイターの続編となる作品です。当時の新型アーケード基盤であるModel2を使用した映像と表現力は圧巻で、ポリゴン表示によるキャラクター造形の表面にテクスチャーを貼り付けることによって角ばった外見を解消しているだけではなく、秒間の描画速度も前作の30フレームから60フレームへと倍増させています。これにより画像だけではなく動きまでがなめらかで曲線的なものになり、初めて画面を見たときの衝撃でも前作に勝るものとなりました。その象徴がオープニングデモで披露されている演舞で、新キャラクターである舜帝がかのジャッキー・チェンの映画「酔拳」で見せた動きを見事に再現している様は必見です。

 基本システムは前作と同様、レバーに加えてパンチ、キック、ガードの三ボタンによる操作となっており、複雑なコマンドがほとんどなく初心者でも遊びやすいのが魅力。登場するキャラクターは前作の八人に加えて先の舜帝と蟷螂拳を使うリオンの両名で、中国拳法、それも功夫映画で知られる格闘技が中心になっている点でも独特の印象と分かりやすさを与えています。ゲームは知らない人でもジャッキー・チェンの酔拳は知っているという人の、目を止めるだけの表現力はさすがというべきでしょう。
 いわゆる削りダメージのない打撃と投げとガードの攻防を中心にした、前作以来の技も追加やリニューアルがされていますが、操作の基本は変えずに投げ抜けや裂け移動、足位置の変更といった新しい要素が加わっていること、当て身」と称する打撃への反撃技が増えていることなど前作そのままの操作を可能にしながら新しい技を使うことができるという、続編らしい作りとなっています。また秒間60フレーム内で調整されている技の隙やバランスなども攻防の奥深さに拍車をかけており、相手の打撃をガードして硬直している瞬間の反撃や、攻撃を空振りさせての反撃を確定させるといった戦いが魅力です。

 あまり気にされることはありませんがいちおう背景設定があるらしく、前作で開催された世界格闘トーナメントで優勝した伝説の虎燕拳使いラウに敗れた主人公の結城晶が、自らの八極拳に磨きをかけて第二回トーナメントに参加するというものです。3D格闘を意識しながらも従来の対戦格闘ゲームから脱却できていない部分もあり、空中コンボやしゃがみパンチといった格闘技らしくない技も使われていますが、ゲームを知らない初心者でも参加しやすい魅力と上級者が追及できる攻防の奥深さの双方を備えた名作といえるでしょう。

 対戦格闘ゲームとしては社会現象に近いほどの流行となり、全国や海外での大会や有名プレイヤーの登場、詳細な攻防の解説書が出版されたりしましたが、そうした上級者が登場することによって逆に初心者の敷居を高くしてしまった感があるのは残念なところでしょうか。1995年にゲーム性をほぼオリジナルと同じ水準で再現したセガサターン版が発売されたこともあって、長命を誇る作品となりましたが後年は上級者のためのゲームとなってしまった感は否めません。難しい連続攻撃や返し技、空中コンボを「知らない人」はゲームセンターで遊べない、一方でセガサターンでは友人や兄弟で対戦していますとなったときに流行も終息したのだろうと思いますがそれでもこの作品がバーチャファイターの魅力と楽しさを発展させたことは間違いないでしょう。

 余談ですが、自分ではジークンドー使いのサラと酔拳使いの舜帝を主に使っていました。ですがこのゲーム、対戦相手の特性を知っていると対処がまるで違ってくるので、十人のキャラクター全員の操作と技はひととおり把握して使えるようにしています。もちろんセガサターン版があるからこそそれができた訳ですが、続編となればキャラクターが増えて数十人も珍しくはないという作品が増えてくると例え家庭用機に移植されたところで全員の技を覚えるつもりにはなれません。
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