ゼルダの伝説 風のタクト(任天堂)

windmaker
(c)Nintendo

発売:任天堂(2002) 機種:ゲームキューブ ジャンル:アクションロールプレイング
評価:★★★★★
 かの名作アクションロールプレイングゲーム、ゼルダの伝説のゲームキューブ版として発売された作品です。まず目につくのがいわゆるトゥーンレンダリングを使って独特のデフォルメ絵を動かしていることで、これまで表情を表現するのに動きやテンポを利用していたところに、顔の表情そのものを使えるようになったのが最大のポイントでしょうか。ゲーム性自体はそれまでの「時のオカリナ」や「ムジュラの仮面」を引き継いでいますが、とにかく主人公の男の子や世界中の人々が歩き方から目線にいたるまで、その人だけの個性的な表情を見せてくれるので、驚くほど自然な動きを感じることができます。更に作品の主題にもなっている、流れる風と広がる海の表現、遠景がかすれる表現にいたっては近年でもこれを越える作品が見当たらないほどの美しさかと思います。

 ゲーム内容はこれまでのN64版ゼルダを継承する3Dアクションで、剣やブーメランや弓に爆弾などを駆使して魔物と戦い、ロープやデクの葉を使ってあちこちを飛びまわり、風を操り大海原を船で疾走したりと多彩な冒険の旅をしてまわります。シリーズを踏襲する魔物やアイテムの種類は決して多いものではありませんが、個々の動きが実に特徴的で飽きさせないのはシリーズに共通した魅力。数あるボス敵の多様さや攻略法の多彩さには感心させられることしきりです。
 物語は時の勇者によって世界が救われてより遥か後の時代。広い海原に浮かぶ小さなプロロ島に住む一人の男の子が怪鳥にさらわれた妹を助けるために魔獣の島へと乗り込んで、言葉を話す不思議な船に助けられて旅に出るというものです。勇気ある少年がおそろしい敵や冒険に挑む、冒険小説を思わせる展開が秀逸で、クライマックスの前後のガノンドロフの邂逅やハイラル王が子供たちに送る言葉は感涙ものでしょう。これに芸術的なまでの表情と音楽が演出を助けてくれます。

 欲を言えばこれまでのゼルダシリーズの中でもかなり難易度が下がっていることで、人によってはアクションの物足りなさを感じる一方でどうせならもっと謎解きを簡単にして多彩な遊びやすいゲームにしても良かったかと思います。失われた勇気のトライフォース探しがちと大変にすぎますが、その苦難を乗り越えれば男の子が持つ本当の勇気を知ることができるでしょう。
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