ぎゅわんぶらあ自己中心派(ゲームアーツ)

gyuwan
(c)GAME ARTS

発売:ゲームアーツ(1988) 媒体:ROM ジャンル:テーブル
評価:★★★★★
 有名な漫画を原作にした、本格派の四人打ち麻雀ゲームです。もとはPCで発売されて、その後MSXやその他家庭用ゲーム機まで広く移植されていくことになる人気シリーズですが、個性的な数多くの登場人物による原作の雰囲気はもちろんゲームとしての楽しさと麻雀そのものの楽しさが見事に表現されている点が単なる版権ものの作品や、単なる麻雀ゲームを超えた完成度となっている作品。
 ゲームとしてはコンピュータによって運(ツキ)が操作されている、いわゆるインチキ麻雀ですがその感覚が絶妙でしかもコンピュータだけではなく自分のツキも操作されている点が珍しいところでしょう。実際の麻雀でも不思議にツキに恵まれていたり、その逆の人がいますがこれがごく自然に表現されていてここぞという場面でいい牌を引き当てる強さ、逆にここぞという場面で危険牌が手元にくる辛さがたまりません。全十二人の登場人物も原作に沿って、そうしたツキに妙に恵まれている人や逆に見放されている人がいて、強い相手や弱い相手、上手い相手や下手な相手と対局する楽しさが味わえます。打ちすじは下手糞なのにとんでもないツキに恵まれた人や、セオリーをきちんと守っているのになかなか勝てない人といった、いかにも現実にいそうな相手と遊べる楽しさは他の麻雀ゲームではなかなかお目にかかることができません。漫画ならではの常軌を逸した相手もいて、当たり牌を「これ、ちゃい」と言ってひっこめてしまうなど誰も考えつかなかった反則でしょう。

 もちろんこれらのルールやツキのあるなしの設定を自由に変えることも可能で、ツキなしモードでふつうの四人打ち麻雀としても遊べます。操作感もよく、各キャラクターに用意されているリアクションも秀逸で、あがるごとに勝ち誇る様やショックを受ける顔、ちょっとした一打ごとに漏らす台詞まで考えられた演出は、麻雀そのものがただ勝つだけではなく対局する相手とのやりとりを楽しむゲームであるという一面を思い出させてくれるといえば大げさでしょうか。
 ゲームアーツの技術力を思わせる、MSXとは思えない画面構成に親切で快適なゲーム性も見事ですが、驚かされるのがこのゲーム、同じカートリッジがMSXとMSX2双方に対応していることで、MSXに挿すとMSX版、MSX2に挿すとMSX2版のゲームが起動するようになっています。MSXモードではやや画面が狭く、捨て牌がすべて表示されませんがこれもコマンドで見えるようにすることが可能です。ゲームとして、麻雀として、そして麻雀ゲームとしてよく考えられた作品。
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