ハイドライドII(T&Eソフト)
(c)T&E SOFT
発売:T&Eソフト(1986) 媒体:ROM ジャンル:アクションロールプレイング
評価:★★☆☆☆
名作アクションロールプレイングゲームである、ハイドライドのシリーズ第二作目でサブタイトルは「SHINE OF DARKNESS」。舞台は勇者ジムが悪魔バラリスを倒してアン王女を救い出した後のフェアリーランドで、覚醒した邪悪な意識体エビルクリスタルの脅威が世界を脅かしますが平和に浸りきった人々は修道僧が唱える警告の言葉に耳を傾けようとしません。神はまだ心が汚れていない一人の男の子を召喚すると、エビルクリスタルを打倒すべくフェアリーランドに遣わしたというお話です。前作に比べてマップが六倍に広くなったという売りで、システムも大幅に拡張されており様々な魔法の存在や善悪の心のパラメータの設定、有名な地底湖やデュアルダンジョンを構える広大な地下帝国の迷路や秘められた多くの謎など、続編の名に恥じないボリュームとなっています。
ただしゲームとしての軽快さや謎解きの楽しさでは前作に比べて大幅に劣ってしまい、迷路の多い地形ではアクションを駆使して敵の左右後ろに回りこんでの攻撃がしにくかったり、新要素となる魔法も攻撃魔法がリアルタイムで飛ばないなど、とにかくアクション性が損なわれてしまっています。会話や善悪のカルマといった新要素も地下帝国ではほとんど意味がありませんし、武器防具の装備変更や寺院でのミニゲームによる攻撃力の増加など、細かい演出が増えている一方でそれがわずらわしかったり早々に最強装備を手に入れたらほとんど変更が必要なかったりと、ゲームの進行といまひとつ連携していないのもつらいところでしょうか。
ゲーム自体は前作を踏襲したアクションロールプレイングとなっていますが、謎解きのヒントがほとんどないために実際にはほぼノーヒントで挑まなければならず、砂漠の街や地下帝国の見つけ方はまだしも、いきなり像にFIREの魔法をぶつけるレッドクリスタルの見つけ方などはあまりに不親切で知らないとまず分からないでしょう(デュアルダンジョンなどは偶然見つけましたが・・・)。スタート地点となる地上を人々が歩きまわっているために、開始早々にそこらで戦って遊ぶというアクションゲームとしての楽しみ方ができないのも欠点でしょうか。
MSXとしては初めてカートリッジに直接セーブができるバッテリーバックアップ方式を取っていたり、PCG処理を利用して川や溶岩が流れる演出を使っていたりと技術面での工夫はさすがT&Eといいたくなりますが、ゲームとしては正直ちょっと難しすぎて敷居を高くしてしまっている作品です。
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