モリコ脅迫事件(ソフトスタジオWING)

moriko
(c)SOFT STADIO WING

発売:ソフトスタジオWING(1985) 媒体:TAPE ジャンル:アドベンチャー
評価:★★☆☆☆
 各メーカーから発売されていたMSXのハードウェアには機種ごとにRAM容量の性能差があって、ほとんどのテープ版アドベンチャーゲームは32kB以上のメモリを必要とします。東芝のパソピアIQのように64kBが必要なゲームになると忍者タイガーやザ・ホビットなどごく一部に限られるため、たいていは32kBあれば充分ですが中にはカシオPV−7のようにたった8kBしかメモリがないMSXもありました。ゲームによってはROM版でも遊べない、この8kBのメモリで動くアドベンチャーゲームという売りで発売されたのがこのモリコ脅迫事件です。

 内容は怪人100面相を逮捕するために、刑事コロンダとなってモリコ脅迫事件の解決に挑むという、いろんな意味で当時でなければ出せなかったろう社会派アドベンチャーゲーム。ただし社会派アドベンチャーというところはうそです。
 操作はコマンド入力式で、少ないメモリでも対応できるようにとにかく展開が細かく区切られていて場面が進むたびにロードを行うのは難点ですが、8kBでコマンド入力式のアドベンチャーゲームを実現したというただ一点によって評価に値する作品。欠点は場面が細かく区切られていて、それぞれの場面の関連がないためにフラグ立て的な要素がなく、基本的に言葉探しゲームになってしまっている点でしょうか。単調さを防ぐためにミニゲームを随所に用意している点に工夫がうかがえますが、そのせいでかえって展開のぶつ切り感が大きくなってしまっています。なぜか工場名がクリコ工場になっていたりするところに、微妙な大人の苦労がうかがえて微笑ましくなくもありません。

 「モリコのおまけ」として収録されているザンビハウスというゲームがわりと面白いのでもう一推し。
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