オホーツクに消ゆ(ログインソフト)

ohotuku ohotuku
(c)LOGIN SOFT

発売:ログインソフト(1985) 媒体:TAPE ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★★★
 国産アドベンチャーゲームではジーザスと並び1、2を争う名作だと言われる、堀井雄二原作の推理ものアドベンチャーです。晴海ふ頭で発見された男の死体から、事件を追って北海道に飛んだ貴方は現地でパートナーとなる猿渡俊介を部下に、釧路や網走など各地を駆け回ります。北海道で起きる第二第三の殺人事件を追っていくうちに、事件は思わぬ過去の姿を浮かび上がらせていくことになっていきます。
 ゲームシステムは当時初の試みとなった、テンキーによるコマンド入力方式。単なるコマンド総当りをするのではなく、状況を考えながら必要な行動を行うことで捜査を進めていくことができるゲームバランスが実に見事で、その後同種のコマンド選択式ゲームでもここまでしっかり作られているものはほとんど見かけることがありません。登場人物と事件が複雑にからんでいくストーリーと、マリゴケやニポポ人形など北海道らしさを印象づける作りが調和していて、良質なサスペンスドラマを見ているような気分にさせてくれます。

 攻略というほどではありませんが、基本的にゲームオーバーがない一方で一箇所、涙を流しているニポポ人形を手に入れることができないと致命的なハマリになってしまうので一度はそこで詰まってしまうかもしれません。メッセージや場面をろくに見ずにゲームを進めてしまうことを防ぐために、要所で推理が要求されるポイントもありますがゲームとしての難易度そのものは高くないので、根気よく事件を追っていけばいずれ感動のエンディングを見ることができると思います。
 エンディングに至るまで各所に散りばめられている伏線や、捜査を難解にさせるミスディレクション、驚愕の事実から一気にクライマックスにつなげる展開まで、全編を通じての丁寧なつくりは脱帽もの。MSX版はおそらくメモリの容量とドット数の関係でグラフィックを完全に描きなおしているのですが、独特の風味があって個人的にはたいへん好みです。テープセーブをするかわりにパスワード制をとっていることと、シーン4から5に移るときにはテープを自動読み込みするためにデータレコーダの読み込みをオンにしておかないといけない点だけは注意してください。

 参考までに。「かにがくいたい」「きりのましゅうこ」「わたしはまりも」ですね。
>他の記事を見る