三國志(光栄)

sangokushi sangokushi
(c)KOEI

発売:光栄(1986) 媒体:ROM ジャンル:シミュレーション
評価:★★★★☆
 今ではすっかり有名になった光栄の戦略シミュレーションゲームのシリーズ第一作、三國志のMSX1版です。ゲームの題材はいわずとしれた三國志、第一作にして総数255人という武将たちを駆って中国全土を統一するのが目的です。
 基本的には内政を充実させて資金と兵士と装備を集めて、隣国へ攻め込んで領土を拡大していくことの繰り返しになりますが、同社の信長の野望および全国版と比べた最大の違いが個性的な武将たちの存在。それぞれの能力や経験によって内政が得意とか戦闘が得意、健康に不安があったりなど得手不得手があるために場面によって使える武将や使えない武将を選んで扱わなければいけません。一方で知力や武力を上げたり、経験の数値を知力に代えることができるので、好みの武将を強くしていくことも可能です。
 MSX版は画像表示の制限があるので、SELECTキーでマップ表示を切り替えたり、戦場が一度にすべて表示されないなど細かい不便はありますが、画面表示も早く操作感が良いので慣れれば快適に遊べるのが魅力。ドットの粗い大きな画像に独特の迫力があって、武将の顔や災害の画像なんかはいっそこちらの方が好みに見えることもあります(特に洪水や疫病の画像は恐ろしげで秀逸)。

 演義をもとにしているせいか、シリーズ全体の傾向として蜀軍の武将が強くなっている反面で、魏軍や呉軍の能力が不公平なまでに低く扱われていることが人によっては残念なところでしょうか。また255人という武将数自体はかなりのものですが、領土の数に比べるとやはり少ないので終盤になれば領地を治めるための人が足りなくなりがちなこと、コンピュータに委任する統治が扱いづらく、やはり終盤になると内政が面倒になることも欠点。一方でやや大雑把なところもありますが、大人数による派手な戦闘が楽しく、十万人を越える規模の戦いや燎原を埋める大火といった実に三國志らしい場面をつくることができるのが最大の魅力ではないかと思います。
 戦闘では同シリーズの後の作品と異なり、敵に隣接するすべての部隊がそれぞれ一斉攻撃を行うことができるので例えば四部隊で囲えば一ターン中に4かける4で16撃の攻撃を加えることが可能となり、一斉攻撃の効果がとにかく高くなっている点が注目です。これに部隊散会を加えることで更に効果を上げることができますが、知力や経験が低い相手であればこれを計略で足止めして火計で撃退することもできるので、大軍で囲おうとする動きとこれを計略や罵りで阻みつつ火計や突撃で分断しようとする攻防が楽しい秀作です。

 わりと序盤にやりがちな失敗で、軍資金をあまりに持たずに戦争に出て資金不足で負けてしまうととても悲しいですね。
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