ヤングシャーロック〜ドイルの遺産〜(パック・イン・ビデオ)

sherlock
(c)PACK IN VIDEO

発売:パック・イン・ビデオ(1987) 媒体:ROM ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★☆☆
 MSX1でカートリッジ版のアドベンチャーゲームといえばけっこう珍しくて、しかも一枚絵の画面を用いるものとなると天使たちの午後とかそのへんを思い出してしまうかもしれませんが(普通は軽井沢誘拐案内とかアニマルランド殺人事件でしょうか?)、つくりも本格的で難易度もそれほど高くない良作です。当時あったヤングシャーロックという映画に想を得た、「もしもシャーロック・ホームズとワトソンが少年時代に知り合っていたら」という内容で、若き日のホームズが友人の婚約者に着せられた殺人の嫌疑を晴らすというお話。
 ゲームはコマンド選択式で、軽井沢誘拐案内のように2Dマップのフィールド上を移動して、特定の場所でコマンドを開くと一枚絵の画面に移動するのでそこで調査や会話を行いながら、謎を解いていくことになります。ややマップ上の建物の区別がしづらいですが、それほど広い舞台ではないので慣れれば迷うことも少なく、難しいひねりも謎もないのでかんたんに進めていくことができるでしょう。

 殺された資産家ドイル氏とドイル商会のことを調べていくうちに続いて起こる第二、第三の殺人事件、そして彼らが昔エジプトで行っていた遺跡発掘の実態へとストーリーが進展していきますが、よくいえば定番、悪くいえばありきたりの展開は推理の余地が少ないため、この手のゲームとしては好みが分かれるかもしれません。
 単色の粗い画像と少ない音楽も、1987年の時点ではいくらMSXでも他に見劣りがしてしまいますが、画像の雰囲気やメロディーを活かした演出など、工夫された使い方が印象に残ります。意外さに欠けるという点で推理アドベンチャーとしては物足りないですが、親切でわかりやすいのでこの手のゲームをやったことがない人にはおすすめできる作品です。
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