渋滞パニックトラフィック(SONY)

traffic
(c)SONY

発売:SONY(1986) 媒体:ROM ジャンル:アクション
評価:★★★★★
 MSXの隠れた名作のひとつで、信号機が故障して切り替わらなくなってしまった町で、パニックと交通渋滞を防ぐためにあちこちにある信号機をひたすら手動で切り替えるというゲームです。操作は単純で選んだ信号機を赤と青に切り替えるだけ、車が町を通り抜けていくごとにスコアが上がっていくので各マップごとのターゲット数を超えればクリアです。それぞれの信号や画面外で渋滞している車が増えすぎてしまうか、サイレンを鳴らして走る救急車が一定時間内に町を通り抜けできないとゲームオーバーになってしまいます。

 基本的にはシミュレーションではなくアクションゲームなので、計画的に車の流れを作るのではなく、せわしなくやってくる車を捌いて渋滞解消をしていくことになりますが、なんといってもこのゲームの魅力は町を俯瞰する不思議なリアリティの存在。一見してチープな画面に、大きさもスピードもまちまちな四角い箱の流れていく様子が眺めていると本当に乗用車やトレーラー、バスやバイクなどに見えてきます。ときおり現れる救急車のサイレンを聞けば急いで道を空けてあげなければいけませんし、のんきに走っている車があるかと思えば信号が変わると同時にすごいスピードを出す車もあって、実に生き生きした町の姿を感じることができるでしょう。
 かんたんそうに見えて渋滞が続くと思いがけないあせりと忙しさが感じられるので、それこそ混雑している信号を青に切り替えたのに先頭の車がのろのろ走っていたりすると「速く走れよこの野郎」とでも言いたくなります。3面4面と面が進むと、ちゃんと道路が混在しやすい配置になり難易度が上がるのも見事でしょうか。やってみないと分からない楽しさと、ゲームならではの不思議な疑似体験がおすすめできる作品です。
>他の記事を見る