夢幻戦士ヴァリス（日本テレネット）

valis valis
(c)TELENET

発売：日本テレネット(1986)　媒体：ＲＯＭ　ジャンル：アクション
評価：★★☆☆☆
　ステージ間にビジュアルシーンを設けた、キャラクターゲームやギャルゲーと呼ばれる作品のパイオニアのひとつとされているアクションゲームです。主人公の麻生優子はごく普通の女子高生として暮らしていましたが、明と暗のバランスがとれた、この世で最も等しい心を持つ者として明の幻想世界であるヴァニティへと呼び出されます。ヴァニティの女王ヴァリアによってヴァリスの戦士として選ばれた優子は、夢幻王ログレスと彼の率いる軍団を倒し、ファンタズム・ジュエリーの力を取り戻すべく次元を越えた戦いへと足を踏み入れました。

　という定番ですがなかなか凝ったストーリーに、ゲームの内容としては横視点でジャンプと攻撃を駆使したアクションゲームで、セーラー服またはビキニアーマー姿の少女が剣をふりまわすというけれんみのない作品となっています。画面上に出る矢印にしたがって移動しながら、敵が持っている玉や各所に置かれているパワーアップ武器を集めながら、各ステージにいるボスを倒せば面クリアとなり、各面を突破して夢幻王ログレスを倒すのが目的です。
　広大なステージと爽快なアクション、ステージ間に設けられているビジュアルステージが売りという作品ですが、移植作となるＭＳＸ版では大胆にもそのビジュアルステージがばっさりと削られている上に、ステージ数自体も減っているのは残念なところ。背景こそ美しくつくられていますが、スプライト単色表示の敵や敵弾にちらつきが多く、アクションとしてはかなりストレスがたまる出来映えになってしまっています。なまじステージが広く、ボスの居場所こそ矢印で示されていますがパワーアップ武器を探すために結局はステージの配置を覚えておかねばならず、しかもその武器も３ＷＡＹショットのように敵弾を相殺できないものを選んでしまうと難易度がかえって上がってしまうのは辛いところでしょうか。ダメージを受けると派手にのけぞってしまうせいで、多量の敵弾を受けるとそのまま固められてしまったり、足場を踏み外すとひたすら下に落ちてしまうステージの作りもかなりストレスがたまるところです。

　正直なところ、ゲーム性よりもビジュアルシーンを重視したゲームの移植としてそのビジュアルシーンを削っているのだから厳しい出来と言わざるをえないのですが、操作感自体は他機種版と比べても軽妙なのでもう少しジャンプアクションとしての楽しさがあれば良かったのではないかと思える作品です。とはいえ、この作品以降に女性が剣をぶんぶんと振りまわす横視点アクションゲームがどれほど出たかを思えばパイオニアとしての価値が大きい作品。
＞他の記事を見る