ザイゾログ(タイトー)

xyxolog
(c)TAITO

発売:タイトー(1985) 媒体:ROM ジャンル:アクション
評価:★★★★☆
 慣性を利用した移動処理のシミュレーションはコンピュータプログラムの十八番で、プログラムではXとYの座標に加えてXAとYAの加速度変数を与えるだけでわりと簡単に表現することが可能になっています。たとえばX座標が100、Y座標が100の場所に自分がいるときに右に移動するたびにXを右側に増やしていくのが普通の移動になりますが、慣性がある場合には右に移動するたびにXAを増やして、X座標が右側にXA分増えていくようにすれば、加減速しながら移動することができます。この移動方法を利用したゲームはいくつかありますが、その中でもいくつか面白い要素やプログラムを使っているのがこの作品です。

 基本は一画面のアクションゲームで、赤いボールを転がして、うにうに動いている緑色の敵を避けながら赤く光っているマスをすべて通れば面クリアとなります。転がるボールの移動には慣性が働いていて、柱や画面の端にぶつかると弾んではねかえるようになっているので、これをうまく利用しながらボールの向きを変えるのがコツです。
 シンプルな画面と合わせて、これだけならゲームとしてはありがちな投稿ゲームレベルの作品になりそうですが、それに終わっていないのが傾斜の存在。ステージ中で坂になっているところは、登るためにはかなり勢いをつけてボールを転がさねばならず、転げ落ちることもあるので、勢いをつけながらも正確な動作が要求される、アクションゲームの難しさと楽しさとを見せています。傾斜の色が四方向で異なっているところを見ると座標下の色で坂の判定をしているのかなあと感心してしまいますが、プログラムとしてもゲームとしても楽しい良作アクションゲーム。

 個人的にはこれで敵の動きも坂の影響を受けて、しかもボールが転がるときにグラフィックのパターンが変わるようになっていれば文句なしの作品になっていたかと思います。
>他の記事を見る