アンジェラス(エニックス)

angelus angelus
(c)ENIX

発売:エニックス(1988) 媒体:FD ジャンル:アドベンチャー
評価:★★☆☆☆
 あのエニックスが鳴り物入り?で世に排出した、アニメーション映画仕立てのオカルトホラーアドベンチャーゲーム。正直なところ、あまりよい出来とはいえないのですが個人的には決して嫌いではない作品です。
 舞台は南米ペルーと日本。主人公である雑誌記者ブライアンが乗っていた飛行機で、同席していた男が突然苦しみだすと全身が緑色になってひからびた姿になって倒れてしまいます。その同時刻に日本でも、とある少女が同じ奇病で倒れたことを知ったブライアンは同僚のエリスと調査に乗り出しました。犠牲者が手にしていた青い石の存在とそれが発掘されたというペルーの遺跡を調べるうちに、ブライアンは「悪魔の福音」と呼ばれる本に記されたセヴァとユーシスの神々の争いにまつわる言い伝えを知り、彼らを襲う謎の集団、グノーシス教団の儀式に巻き込まれていくことになります。

 オープニングから音楽とアニメーションを活かした演出が見事で映画風の表現ではかの名作「ジーザス」にも勝り、複雑な事件の全貌が明らかになっていく展開や、かの「エンゼルハート」を思い出す独特のエンディングもよくできている一方で、肝心のゲームとしてはコマンドをひたすら順番に選んでいくだけとなっているので事件を解く楽しみに欠けるのが欠点。一度ゲームをクリアすると、最初からお話だけを流して見ることができるモードが用意されており、そちらで見たほうがよほど面白いというのがこの作品のゲームとしての問題点を象徴しているかと思います。MSX2版はファンクションキーでコマンドを選ぶ方法を取っていますが、これによって画面下にコマンド表示を行うことでグラフィックを大きく見せることができる一方、操作性が犠牲になっているのもこのゲームらしいといえばらしいでしょうか。
 音楽すぎやまこういちにグラフィックが土器手司、と豪華なメンバーを集めているのもエニックスらしく、それだけに演出に傾倒してゲームがおざなりになってしまった点が本当に残念な作品です。続編製作の噂もありましたが、このラストであれば敢えてその必要はないのではないかと思います。
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