デッドオブザブレイン(フェアリーテール)
(c)Fairytale
発売:フェアリーテール(1992) 媒体:FD ジャンル:アドベンチャー
評価:★★☆☆☆
家庭用ゲームソフトも末期になると、いわゆる18禁ゲームの発売への規制もゆるくなるのかいろいろと怪しげな作品が出るようになりますが、これもたぶんそうしたものに類するのであろう、問答無用の18禁ゲームです。発売元もその手のゲームでは第一人者であるフェアリーテール、なんですがこのゲームはあまりに壮絶な残酷描写によって18禁となっている点で当時稀有な作品となっています。
舞台は現代アメリカ。ある日、主人公のコールが友人であり科学者でもあるクーガーに呼び出されて、墓地の近くにある彼の研究所を訪れる場面から物語ははじまります。ノーベル賞ものの発明だと、死んだ生き物を甦らせる甦生薬を開発したというクーガーの言葉にまさかと思うコール。ですがこの薬には、生き返ったものに常軌を逸した怪力と凶暴性を与える副作用と、ヴィールスによるおそるべき感染性がありました。コールの目の前でネコを使った甦生実験を成功させるクーガーですが、喜んでいる二人のもとを訪れた警官がそのネコに襲われてしまいます。死霊となって甦った警官から逃げる二人、ですが驚くべきことに、町にはすでに死霊たちがあふれかえっていたのです・・・。
先によいところを書いてしまうと、とんでもなく美しい上に壮絶なグラフィック。死霊と呼ばれている、甦生薬の力で怪物と化した人間たちや、不幸な犠牲者たちの姿が血や脳漿まで飛び散る、グロテスクなほど凄惨な画像で描かれています。場面切り替え時の暗転と瞬間表示の演出も見事で、いわゆるスプラッタ映画的なおそろしさが画像と音楽とで実に効果的に描かれているという点では類を見ない作品でしょう。
とはいえ気になる点も多く、特にストーリーでは(賛否が分かれるかもしれませんが)伏線こそあれどんでん返しが大きすぎる気がしなくもありません。クーガーが発明した薬の影響がすでに町にはびこっていた理由や、思わぬ黒幕の存在など考えられていると思う一方で、突然そういわれても、という物語の展開についていきにくくなることがあるのはやはり気になってしまいます。あとはMSX2版では謎解きがコマンド総当りになっていることで、射撃時のポイント指定もコマンド選択をするだけなのでゲーム性の面で物足りなさは否めません。コマンド自体は少なく、ひたすら同じコマンドを何度も選択する面倒くささはあまりありませんが、即ゲームオーバーとなる選択が存在することを含めても難易度が低いのはゲームとしてはつらいところです。ビジュアルノベルの良作と思えば、ストレスも少なく画像と音楽の見事な演出を楽しむことはできますが、随所に影響を受けているスナッチャーと比べてしまうともったいなさを感じてしまう作品です。
ちなみにこの作品、18禁ゲームとしてはいわゆるエロシーンがほとんどないんですが、その唯一のシーンがヒロインのシーラさんではなくキャッシーさんが相手というのはある意味すごいですね。
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