ドラゴンシティX指定(フェアリーテール)

dragoncity
(c)Fairytale

発売:フェアリーテール(1991) 媒体:FD ジャンル:アドベンチャー
評価:★★☆☆☆
 フェアリーテール謹製のアダルトゲームですが、当時話題となった「沙織事件」の影響で自主回収になったことで知られている作品です。事件自体は当時発売されたゲームの万引き事件を契機にして、子供でも入手できるアダルトゲームを販売していたフェアリーテールの社長が摘発されたというもので、槍玉にあげられたきらいもありますが当時、アダルトゲームに対する規制が存在せずあまりに野放しになっていたのも事実でした。

 ある日、主人公が目を覚ますといきなり女の子が自分の(自主規制)をしゃぶっている場面からゲームは始まります。異世界から来ましたという彼女に連れられて、やってきたのがエレメンタル・ワールドにある都市ドラゴンシティ。玉座にいる女王が説明するにはエレメンタル・ワールドとは男性の夢と欲望を満たすために生まれた世界で、そのための教育を受けて働く女性たちが暮らす町がドラゴンシティということです。ところがこのドラゴンシティで昨今、平和を脅かす動きがあるらしく幾人かの男性を呼び出してはみたものの、彼らは快楽におぼれるまま誰も帰ってはきませんでした。そこで主人公は性戦士となり、女性たちを悦ばせて世界の平和を取り戻すのです。
 読んでいても目が腐るのではないかと思わせるほど、無理のありすぎるストーリーがいっそ気持ちのいいほどです。基本的にはコマンド選択式のアドベンチャーゲームの形式をとっていますが、さほど多くない選択を順に選んでいくだけで入れ替わり立ち替わり登場する女の子たちとひたすらいかがわしい行為に励むだけなので攻略といえる攻略はほとんどありません。シナリオも世界観も不条理、選択肢も展開も常軌を逸していて難易度は低いというのはある意味大したものですが、とにかくストレスを感じさせないつくりには好感が持てるでしょうか。何しろクライマックスとなるダンジョンでさえも迷路に見せかけて実際には一本道になっている上、ボスにたどりつけばあとはスペースキーを連打するだけで四人続けてHシーンを見ればエンディングとなってしまいます。

 こんなゲームで攻略を語るのはほとんど意味がありませんが、あえてポイントを挙げるならば一部の場面を除いて基本的に女の子がいる店や家では自分から外に出ず、自動的に外に出されるか別の場所に行く選択肢が出るまでコマンドを選び続けることと、道祖神の頭をなんども叩くことくらいでしょうか。妙な建物に入る数字12桁のパスワードはちょっと分かりにくいかもしれませんが、そのくらいは自分で調べてみてください。
 フェアリーテールの作品らしく、グラフィックも見事ですが背景に比べて女性の絵がときおり崩れるのは何となくほほえましく思えてしまいます。気合が入りまくっているお城の絵に比べると、たくさん登場する女性の絵がどうしても雑になってしまう、のかもしれません。

 ちなみに自主回収になったほどの過激なグラフィックかといえば、絵の好みや質は別としてたぶん最近のアダルトゲームのそれと比べても大きな違いはないでしょうが、当時の画像の色数やパターンが鮮明でないことを利用して男女の局部をわりと堂々と描いてしまっているあたりは規制されても仕方がないとは思えます。もっとも問題はそれらのゲームを小中学生でも買うことができたという、当時の業界そのものだったでしょう。
 沙織ともども公式にも存在を封印されてしまった作品ですが、ゲームとしてはあえて評価できる箇所が見当たらないのも事実です。とはいえアダルトゲームの原点というか目的を何のケレン味もなく見せてくれる、その点だけは潔さを認めてもいいでしょう。
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