ファイナルファンタジー(マイクロキャビン)

finalfantasy
(c)MICRO CABIN/SQUARE

発売:マイクロキャビン(1989) 媒体:FD ジャンル:ロールプレイング
評価:★★☆☆☆
 スクウェアが世に輩出した有名な国産RPG、ファイナルファンタジーのシリーズ一作目をマイクロキャビンが移植した作品です。世界を支える四つのクリスタルの輝きが失われ、滅亡へと向かう世界にクリスタルを手にした四人の光の戦士が現れるというお話。盗賊だろうが赤魔導師だろうがクリスタルを持っているのは何だと思わなくもありませんが、開始早々囚われのお姫様を救うという一見ありきたりなエピソードを終えた後に、オープニングがはじまるというなかなか意欲的な導入部でも知られています。
 システムは地上地下を問わずウルティマ式(この場合はドラゴンクエスト式と言った方が適切かも)の見下ろし視点で移動、戦闘はサイドビューと呼ばれる横視点風になっています。ファミコン当時では画期的であった四人パーティ制や攻撃回数の導入、回復魔法ひとつをとっても安定しない数値のランダム幅の大きさなど、ウィザードリィ等のPC版RPGを意識して作りこまれている点が特徴でしょうか。ことにグラフィックの美しさは相当なもので、ファミコンの作品をMSX2で移植せざるを得なかった点だけでも驚愕ものですが、そのMSX2版ですらクレセントレイクの預言者を表示するのにスプライト欠けが起きるのを見ても力の入れようを感じさせます。

 一方でゲームとしては詰め込みすぎの印象が拭えず、なんでも採用してしまったせいで雑多な騒々しさを感じてしまうのが残念なところでしょうか。船を手に入れるために町が海賊に襲われていたり、道を通れなくするためにドワーフの工事が遅れていたりと、あまりに都合よく事件が起こっているのはどうしても無理を感ずにはいられません。オチューやウーズをはじめとする、日本では珍しいモンスターを採用した点も画期的ですが、やはり何でも出してしまっているせいで例えば陸地に現れるモンスターを見て、その大陸や地方の雰囲気を感じることもしにくくなっています。地図としては一本道で、頻繁にイベントが起こるにもかかわらず、単調で地域性がなく道に迷いやすいのは勿体無いところかと。
 その他エンカウント率の妙な高さや、装備や魔法を店で買うときに性能や誰が装備できるか分からないといった不親切な点も多くゲーム性が落ちているのも欠点。作品としてはお薦めできませんが、最初に選ぶパーティ編成によって難易度が驚くほど変わるために攻略しつづける要素が強く、シーフ×4人パーティとかに挑戦してみるのもよいかもしれません。MSX2版ではBGMが格段によくなっているのは魅力だと思います。

 画像は有名なビホルダー戦を用意してみました。
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