覇邪の封印(KGDソフト)

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(c)KGD SOFT

発売:KGDソフト(1987) 媒体:FD ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★☆☆
 聖アルカス王国に代々伝わる勇者イアソンの伝説、遥か昔に封じられた、恐怖と混乱をもたらす邪悪な通路の封印が解かれてしまい、現れた異次元の軍勢に奪われた「覇邪の封印」を手に入れるために、コサーマと呼ばれる語り部を探して旅立つ剣士のお話です。コズミックソルジャーを出した工画堂、KGDソフトによるファンタジー世界を舞台にしたロールプレイングゲームですが、独特の演出やシステムが印象的な作品。
 基本は上視点によるフィールドマップを歩きまわるという、オーソドックスなものですがまず驚かされるのが自分のいる周囲の地形すら見えない点。一歩歩いて水に落ちれば流されてしまうし森や山に立ち入れば恐ろしい怪物の餌食となってしまうでしょう。ですがこれは不親切に作っているのではなく、同梱されている地図とメタルフィギュアによって場所を確認しながらゲームをすることが前提になっているためで、地図を頼りに冒険しなければ道に迷うということをゲームと付属品の双方を使って表現したシステムとなっています。実際に町で遠めがねを買えば周囲が見渡せるようになり、道に迷った場合でも居場所の確認がしやすくなっています。

 また、怪物を倒すと牙を手に入れることができますが、お金は持っていないために序盤に資金を集めるなら盗賊や商人を襲わなければいけません。傷の治療はもとより、戦いで使った武器も鎧も鍛冶屋に修理を頼まなければいずれ壊れてしまうので、とあるお城で牙をお金に換えるライセンスを手に入れるまでは人間相手に経験稼ぎをしなければならないのです。普通の旅人や商人、または怪物でも地元獣と呼ばれる生き物は倒すと知名度が下がってしまい悪人と見なされてしまいます。鍛冶屋やまじない師を雇うことで戦闘後に武器の修復や傷の治療をお願いできるようになったり、船を買うことで水を渡れるようになったりと屋外のフィールドを中心にして様々な冒険ができるのが魅力で、町々や記念碑を巡って情報を集め、仲間を見つけながら「覇邪の封印」を探します。
 攻略の基本は、当初は知名度が下がることを気にせず商人や悪徳商人を襲ってとにかく金を稼ぎまくり、鍛冶屋を雇って遠めがねかできれば千里の玉を買うこと。あとはアペイダースの城でライセンスを手に入れることができれば資金と経験稼ぎが楽になるでしょう。ガリア北東部にいるローバル相手に経験と牙を稼ぎ、ある程度強くなったらオルコ北東にいるウンムタクを相手にして経験値が上がらなくなるまで強くなっておくと後が楽になるかと思います。とにかくこのゲーム、異常なまでに経験値稼ぎがめんどうな上に仲間の強さが出会った時点の自分の強さに揃えられてしまい、しかも経験稼ぎは自分と仲間を別々に行わなければいけないので、早いうちに仲間を見つけるほど攻略が面倒になってしまうので注意。レベルが最大になったら王様にまとめて牙を渡すことで伝説の武器をもらい、それから仲間を探しに行くといいでしょう。最初の仲間であるガイを見つけたら王様から次の武器をもらって二人目の仲間であるメディアを見つけて、更に武器を手に入れたら最後の仲間であるトレモスを探すこと。武器も防具も一人が一つずつしか持てないので仲間がいないうちに武器をもらってしまうと後でもらいなおしに行かなければいけません。

 とにかく経験稼ぎと知名度稼ぎが面倒極まりないのが欠点ですが、細かいところに見られる面白い試みや美しいグラフィックに独特の世界観も含めて、これに遊びやすさが伴っていれば珠玉の作品になっていたかもしれません。あとは主人公が連れている妖精の口の悪さも一部では有名で、ゲームオーバーになってしまうと「期待してたのにわりと役立たず」とか言ってくれるし、旅人や商人を倒して死体からお金を手に入れても無邪気に喜ぶ様はある意味とても妖精らしさを感じます。
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