ジーザス(エニックス)

jesus jesus
(c)ENIX

発売:エニックス(1987) 媒体:FD ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★★★
 今でもENIXの最高傑作として知られる、国産アドベンチャーゲームでも最高峰の名作です。作品としてはちょうどハレー彗星が再接近した時期に開発されており、作中でも西暦2061年、ハレー調査計画のために研究者が集まった宇宙ステーション、スカイラブ・ジーザスが舞台。ハレー彗星のガスを採取し、生命のルーツを調べるべく派遣された探査船「コメット」からの通信が途絶え、主人公である武麻速雄は快速艇に乗ってコメットに向かいます。速雄が目にしたのは息絶えた仲間と、恐るべきエイリアンの姿でした。

 システムはコマンド選択式、当時、言葉探しと謎解きが主体であったアドベンチャーゲームに映画のような手法を取りいれ、SFアニメーションのような映像にセンスのよい音楽、息をつかせぬ展開から驚愕の結末まで、物語として完成させている点は見事というほかありません。それでいて随所でミニゲームによる攻略やパズル性を取りいれ、推理が必要となる問題を用意して単純なコマンド総当りを許さないようにすることで演出やストーリーとゲーム性を調和させている点は脱帽ものです。特に前半「コメット」内の探索では円筒状の船内を歩きまわることでスリルを感じさせる一方で、後半の「ころな」ではブロックごとの移動を行うことで船の構造のちがいを演出しながら面倒さを感じさせない工夫をしています。
 各国から集まっている個性的な調査隊員たちや、速雄をサポートする小型端末FOJY(ENIXの並べ替えですね)との会話の楽しさなど、細部まで飽きさせないように作られた丁寧さはゲームが持っている作品としての可能性、疑似体験の魅力を構築しているといえば言いすぎでしょうか。シナリオみやおう、音楽すぎやまこういち、開発が芸夢狂人でグラフィックが眞島真太郎という豪華すぎる組み合わせもうなずける名作です。
>他の記事を見る