ラストハルマゲドン(ブレイングレイ)

lastarmagedoon
(c)BRAIN GRAY

発売:ブレイングレイ(1988) 媒体:FD ジャンル:ロールプレイング
評価:★★☆☆☆
 ブレイングレイが抜忍伝説に続けて出した奇作RPGです。すべてが滅びた世界が舞台となり、新たな支配者として魔界から地上へと姿を現した魔族たちの前に、謎のエイリアンが襲来するお話。12の種族から選ばれた12体のモンスターが主人公となって、昼と夜、そして月に一度おとずれるサルバンの破砕日に活動する三つのパーティに分かれて世界を探索することになります。
 世界中に散らばっている108枚の石版に書かれた黙示録、遺棄された建物や宇宙船と、復活を夢見て息絶えた者たちのメッセージを聞き、愚かな人類が歩んだ足跡を残す「戻らずの塔」を登ったとき、魔族たちは彼らが思いもしなかった歴史と世界の姿と、人類が望んだものを知ることができるでしょう。

 特異な世界とテーマ、迫力のある音楽が魅力の作品ですがゲーム自体は単純な戦闘ゲームであり、行動によって変化するパラメータごとのレベルアップシステムが面白い一方で戦闘そのものが単調なためにひたすら同じ行動を繰り返す、悪い意味での経験値稼ぎが攻略の主軸になっています。特に重要になる防御力のパラメータを上げておくために、毎戦闘ごとに数回以上の防御行動を必ず取っておく必要があるので単調さを助長しているのが難点。
 モンスターたちは5、9、13レベルになると種族に応じた変身を行い、17レベルと34レベルになると他の魔族の細胞を合体させて新たな怪物に姿を変えることができます。合体によってそのモンスターの能力を得ることもできるために、多彩な攻撃力と魔法を持つ怪物に強力な武器防具が装備できるモンスターを合体させたり、パーティに欠けている能力を合体で補うことが可能になります。武器防具や道具の作成、飛行能力、千里眼に記憶力などの他にも、石化や体力回復の魔法など強力な能力は一回目の合体で揃えておくのが基本です。
 質の良いグラフィックに、個性的な合体モンスターの存在がなかなかかっこうよい一方で、エイリアンの姿や能力にいまひとつ個性が薄く、覚えづらいのは欠点でしょうか。MSX2でも随一と呼ばれるロード時間の長さとあいまって、とにかく攻略には時間と根気が必要になるのが辛いところですが退廃と皮肉に彩られた歴史の姿に、モンスターたちが「進化」していく展開は独特に引き込まれるものがあり、誰が怪物で誰がエイリアンで、そして誰が人なのかを知ることができるでしょう。戻らずの塔で語られる言葉だけでも引き込まれてしまいますが、ゲームとしてもう少し練りこまれていればとつくづく思わせる作品です。

 エモノがいたぜ。
>他の記事を見る