ロードス島戦記(ハミングバードソフト)

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(c)Humming Bird Soft

発売:ハミングバードソフト(1989) 媒体:FD ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★★☆
 グループSNE監修の、一時期国内のヒロイックファンタジーの火付け役となった作品をもとにしたRPGです。舞台は呪われた島ロードスで、暗黒の国マーモが侵攻を開始した折り、辺境のターバ神殿に住む司祭ニースに頼まれて彼女の娘レイリアを探して旅立つ冒険者一行のお話。やがてロードス全土を巻き込む戦乱が起こり、その裏側で暗躍する「灰色の魔女」と呼ばれる人物の存在が明らかとなっていきます。
 システムはいわゆるウルティマ方式ですが、テーブルトークRPGで行うキャンペーンシナリオを意識したつくりになっており、イベントによって物語が進むと同時に行き先が広がり、個々のダンジョンや戦闘をクリアすることでシナリオクリアの経験値が入るシステムになっています。通常の戦闘でも経験値やアイテムが手に入るためにシナリオを進める楽しさと、シナリオを外れて探索や戦闘を楽しむ感覚の双方を味わうことができるバランスは見事。原作のあるゲームとしてはめずらしく、原作を外れた独自のシナリオやイベントもあって、帰らずの森を抜ける方法が二通り用意されていたり、ミノタウロスの迷宮やバンパイアの村、宿屋での襲撃などゲームクリアに影響がないイベントが多数用意されています。

 戦闘は見下ろし型で、魔法の範囲や敵味方の位置を考えながら戦うことができるようになっています。特に範囲攻撃は味方を巻き込むことがあるために離れているうちに先制して一撃、戦士たちが踊りこむといった戦い方が可能でこのあたりはテーブルトークRPGの戦闘を意識した感があります。難をあげれば戦闘のバリエーションが決して多くないところで、例えば奇襲された場合に混戦状態で戦闘が始まったり、洞窟内であれば一人二人しか通れないような狭い場所で戦うといった場面があれば文句のつけようもなかったでしょうか。
 その他、原作「灰色の魔女」の登場人物をPCとして使用できるほかにもオリジナルキャラクターで遊ぶことも可能で、所持品の名前を自由に変更できたり、多彩なアイテムの存在など細かいところまで気を使った作品です。個人的には原作パーティとオリジナルパーティの二つを用意して、イベントによってパーティを入れ替えて進めるという趣味的な遊び方がおすすめ。
 あとはディスクへのアクセス時間が格別長いことだけは慣れてくださいとしか言えませんね。
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