MSフィールド機動戦士ガンダム(ファミリーソフト)

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(c)FAMILY SOFT

発売:ファミリーソフト(1988) 媒体:FD ジャンル:シミュレーション
評価:★☆☆☆☆
 機動戦士ガンダムを題材にしたシミュレーションゲームで、所持しているポイントを使ってモビルスーツやモビルアーマーの機体や装備を揃えてパラメータを設定し、地上や宇宙その他多彩に用意されている戦闘フィールドを選んで一対一の対戦を行います。CPUを撃破すると相手の強さに応じた勝利ポイントが手に入るので、更に強力な機体や装備を手に入れることができるようになります。戦闘は完全に自動で行われますが、CPU戦以外に他のプレイヤーのデータやパスワードを読み込んでの対戦も可能です。
 と、ここまでの説明では面白そうに見えるのにMSX2の作品でも群を抜いてつまらないゲームの一つに挙げられるのは何故だと問えば、きっとボウヤだからでしょう。グラフィックの描きこみの密度がタイトル画面、女性キャラクター、パラメータ画面でのモビルスーツ、戦闘場面とだんだん雑になっていく様子にそこはかとない不安を感じさせてくれますが、本来この手のゲームでは戦闘画面がチープでもシステムの出来さえよければそれほど気になりません。ところがこのゲーム、肝心の機体セッティングとゲームのシステムこそ実にチープに出来ているのです。

 まず最初の所持コストでは一番弱い旧ザクに最低限の武器を持たせるくらいしかできません。さっそく一番弱いCPUの旧ザクと戦わせてみますが、フィールドに出た両機がランダムにそこらをうろうろしているだけで戦う素振りも見せず、二三十分もすればようやく決着がつくでしょう。もちろん勝敗なんて運まかせですから、この時点で熾烈なガンダムファイトを期待なされた方の八割ほどがフロッピーディスクを書き換えてしまうと思います。
 ところがこの原因、どうやら機体ごとに設定できるパラメータにあるようで、IQが高いとモビルスーツくんは自分の持っている装備を活かした戦いをしてくれますが、逆にIQが低いと相手と戦うことすら理解できないチンパンジー並みの知能にしかなりません。例えばNガンダムに遠隔攻撃可能なフィン・ファンネルを持たせると相手を接近させない戦いをしてくれますが、NガンダムのIQは100くらい設定できるのに旧ザクのIQは最大でも20。相手も旧ザクならチンパンvsチンパンになりますし、相手が強ければ所詮チンパン、敵うはずもないでしょう。

 それでもこのゲームを攻略してやろうというガンダマニアであれば、戦闘フィールドの中にアステロイド・ゾーンという小惑星だらけのとても狭いマップがあることに気がつきます。ここであれば開始早々から互いに狭い場所に閉じ込められて、殴り合うしかないので短時間で決着をつけられます。基本的に相手より低いコストで戦わないと勝利ポイントが手に入りませんが、この殴り合い・宇宙であれば銃もミサイルも要りませんし移動のパラメータも放棄できますから、かなり高確率で勝てるでしょう。
 これで何回か勝ってコストを稼いだら次の標的はガンタンク。こいつは殴り合いができないので、アステロイド・ゾーンではほとんど反撃ができません!グフあたりにヒートソードを持たせて、このガラクタを切り刻めば旧ザク相手では10しか入らなかった勝利ポイントが30、三倍手に入るようになります。ザクとは違うどころかシャア専用並みの収入です。

 宇宙空間でグフを使うという剛毅に飽きたらリック・ドム当たりに乗り換えても構いませんが、安定して勝てる相手が限られるので自信がなければひたすらガンタンク壊しに精勤してもいいでしょう。次の狙い目は大物ジオング、こいつは殴り合いこそ苦手でもそれなりに反撃してくるのでガンダムくらいではなかなか勝てませんが、ガンダムMk2なら勝てます。こちらの装備を剣と盾のいちばん良いものにして、総コストが相手より低ければいいのです。
 ジオングを倒せるようになればポイント稼ぎも楽になり、ZZガンダムやNガンダムが使えるようになれば後はどのマップでもどの相手でもたいてい勝てるでしょう。Nガンダムは機体コストは安いですが、フィン・ファンネルがものすごく高いので実質ZZよりも高価です。接近戦をさせないためにシールドとファンネル以外は何も装備する必要はありませんし、パラメータもIQと攻撃に特化すれば充分。これでほとんどのCPU相手に勝てるようになるでしょう。後はポイントを稼ぐ以外にすることがありませんから、実質ジオングが倒せるようになれば後は攻略も何もないということですね。

 初心者はチンパンジーをどうやって戦わせるかで悩み、それが分かれば後は確実に勝てる相手を探してポイント稼ぎをするというモンキー&チキンというべきゲームです。初心者には高い壁、慣れた人には低い壁しか用意されていないのですからどちらにしても攻略する楽しみはありません。せめて用意されたCPUを倒せば次の機体が順番に現れるというシステムにしていれば、ほんのちょっとだけ評価を高くすることもできたでしょう。すべてのCPUから勝利ポイントを手に入れる、という縛りを自分に設けて遊んでみてもいいでしょうか。
 とはいえ強い機体に最強の装備をすべて持たせれば必ず強くなる、という訳でもないので例えば友人相手にポイント上限1000、2000、4000の三種類で戦うといったルールにすればそれなりに遊べるかもしれません。もちろん初期データのポイント上限は300ですから、そこまでこのゲームを遊びこんだ気の毒な友人と気の毒な貴方の二人が存在するのが条件です。

 つーかこんなゲームをそんなにやり込んじゃいけませんよ!
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