殺人倶楽部(マイクロキャビン)

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(c)MICRO CABIN/REVERHILL SOFT

発売:マイクロキャビン(1988) 媒体:FD/ROM ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★★☆
 リバーヒルソフトの名作推理アドベンチャーゲーム、J.B.ハロルドのシリーズ第一作のマイクロキャビンによる移植作です。舞台はアメリカの小さな町リバティタウン、大学の駐車場に停められていた車から青年事業家ビル・ロビンズの死体が発見され、刑事J.B.ハロルドが事件の解決に挑むことになります。
 ゲームシステムはコマンド選択式で、リバティタウンのあちこちを歩き回って関係者に話を聞き、事件の核心に迫ることになりますが、使うことのできるコマンドがほぼすべて決まっており、基本的には聞き込みと家宅捜索、取り調べだけで謎を解きほぐしていかなければなりません。言葉探しもなければパズル的な攻略も必要ではなく、ドラマ的な盛り上がりもないまま地道な捜査を繰り返すゲームとなっています。

 にも関わらず、ゲームの魅力も捜査の楽しさも損ねていないのはとにかく豊富に用意されている場面と関係者の存在で、関係者一人一人に聞き込みを続けているうちに新たな事実や証言の矛盾を見つけ、そこから捜査令状や逮捕状を取ることができれば家宅捜索や取り調べを行うことができるようになり、証拠をつきつけて供述を得ていくことになります。何も考えず単にすべてのコマンドを選ぶだけではあまりに長い時間がかかってしまうので、関係者の証言を聞きながら推理を行うことになるでしょう。不利な証拠に関係者が突然口ごもったり、思わぬ人から意外な人物の関係があらわになっていく、そんな自分の推理によって謎が解けていく楽しみがたまりません。
 被害者のビル・ロビンズが強引な手腕による経営と女性関係によって多くの人に恨みを買われていたことから、事件は多くの側面を見せていくことになりますがタイトルにある殺人倶楽部の意味が分かる頃になれば、過去に連なる事件の全貌も明らかになることでしょう。複雑に構築された人間関係と、センスのよい画像がゲームの雰囲気をとてもよくしてくれています。

 中断時に、捜査状況がパーセントで表示されるのは面白いアイデアだと思います。
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