信長の野望戦国群雄伝(光栄)

nobusen
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発売:光栄(1989) 媒体:FD/ROM ジャンル:シミュレーション
評価:★★★★☆
 信長の野望シリーズ三作目にあたり、前作の全国版に比べるとよく言えば大幅にパワーアップ、悪く言えばその分だけ三國志などの他シリーズと似通ったシステムになった印象が強い作品です。最大の特徴は大名だけではなく配下の武将が使えるようになったことで、例えば織田信長であれば羽柴秀吉とか柴田勝家といった有名な家臣を抱えて彼らを扱うことができるようになりました。また、これによって前作のように老齢の有力大名がゲーム直後に老衰で死んでしまうためにクリアできないという問題もなくなり、後継者を指名することでゲームを続けることができます。舞台は東北以北と九州がなくなり、シナリオも二種類のみとなっているのはボリューム的に物足りなく思う人がいるかもしれませんが、個人的にこの手のゲームは後半になると強敵がおらず面白味に欠けるようになってしまうので、無闇に地図を広くする必要はあまり感じません。

 武将ごとの行動力が政治の値によって決められており、行動力が残っている限り何度でもコマンド入力ができるシステムが面白いですが、一方で政治の値が低い武将が非常に使いづらいのは残念。例えば北条家の風魔小太郎のように政治の値がべらぼうに低く戦闘の値が高い武将は、他国から攻め込まれた場合の守りとしては使えますが自分から行動することがほとんどできません。大名を守る近衛か親衛隊らしいと言えば言えるかもしれませんが、行動力がなくて兵士の訓練すらろくにできない点にはシステムの甘さを感じます。それこそ政治と戦闘を合わせた値の半分を行動力の基本値とする、だけで解決できた問題かと。
 また一部の例外を除くと鉄砲隊が使えて戦闘の値が高い武将がほとんどいないという、鉄砲が強すぎるシステムに合わせて武将の能力値を決めてしまった不自然さを感じてしまいます。これも武将により足軽、騎馬、鉄砲のどの部隊が使えるかを決めてしまうのではなく、地域によって馬や鉄砲の入手しやすさを決めるようにすれば大名ごとの個性を維持することができたでしょう。

 正直なところシステムの作り込みの面で細かい疑問を感じてしまいますが、光栄のシミュレーションゲームとしてはバランスが良く遊びやすい作品ではないかと思います。織田家臣の能力値が優遇されているきらいがある点については、これはもう光栄らしいと言うしかないでしょうね。
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