タウヒード(チャンピオンソフト)

touhead
(c)CHANPION SOFT

発売:チャンピオンソフト(1989) 媒体:FD ジャンル:アドベンチャー
評価:★★☆☆☆
 今はおそらくアリスソフトに名前を変えている、チャンピオンソフトが出したアドベンチャーゲームです。両社とも18禁ゲームを出していることで知られていますが、この作品は18禁ゲームではありませんので念のため。

 舞台は西暦2031年の未来世界。もと戦場カメラマンから、今ではその戦争で破壊された遺跡を撮影するカメラマンに転向していた主人公の大沼天池が、中東で取材をしていた折りに出会った不思議な少女リズことエリザベス・ジョーンズを助けて、古代世界のカギを探すというストーリーです。ESP能力を持つリズに惹かれながらも、秘密結社テンペストの追手から彼女を守るべく主人公は世界中を奔走するのでした。
 システムは定番の選択式アドベンチャーですが、正直なところゲームとしては単調にコマンドを選択して先の画面に進んでいくというだけですので、特筆できる類のものではありません。コマンド総当りや無意味なフラグ立てのような攻略は必要がない一方で、選ぶ選択肢にも工夫や意外さがないために難易度の面ではどうしても物足りなさを感じてしまいます。二箇所ほど間違えるとゲームオーバーになる選択肢もありますが、ゲームの難易度に影響を与えるほどでもありません。

 正直なところゲームとしては物足りない点がある一方で演出ではいくつか見事な点があり、特に背景画像の美しさと、アラビア風の世界観を活かした設定はこの作品の最大の魅力でしょうか。たくましさと敬虔さを秘めた中東世界の描写を行いながらもESPや超常現象といった特異な現象を扱い、しかも未来世界を舞台にした技術や設定がごく自然に導入されており、それらが物語として融合されているシナリオは見事としかいいようがありません。ストーリーの展開もやや強引なところはあっても飽きさせない内容ですが、惜しむらくはエンディング周辺の話が一気に終わってしまい、余韻が残りにくい点にあるでしょうか。この出来であればいっそゲーム性を放棄して、物語を読ませることだけを目的にした作りにしてしまっても、それはそれで良かったのではないかと思うのでした。
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