うる星やつら恋のサバイバルバースデイ(マイクロキャビン)

urusei
(c)MICRO CABIN

発売:マイクロキャビン(1987) 媒体:FD ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★★★
 わりと有名なコミックをもとにした原作もののアドベンチャーゲームですが、驚くほど巧妙なつくりによって名手マイクロキャビンの作品の中でも名作に数えられる一つです。シナリオはゲーム用にオリジナルに用意されたもので、面堂家の娘さんの誕生日パーティに招待された主人公諸星あたると鬼娘ラムの二人が、広大な敷地に設けられたトラップ満載の巨大迷路を突破して、他の競争者を出し抜きながらゴールをめざすというものです。強引で無茶な展開は原作でも売りになっているので、ある意味実にゲーム向きの世界観かもしれません。原作を知らない人にも登場人物の説明をしてくれる、かなり親切なつくりになっています。
 基本はコマンド選択式で、東西南北から地下通路まで広がる面堂家の巨大迷路を抜ける道を探していくことになりますが、きちんと地図が描ける明確な位置関係と各所に設けられた仕掛けや罠の数々はさすがにかの「ミステリーハウス」を出したマイクロキャビンという出来映え。そして何より画期的なのが、他の参加者たちが同じように抜け道を探しながら迷路を歩き回っている点です。道に迷ってランダムに歩いていたり、罠にかかっていたり、執拗にあたるやラムを追いかけてきたりと様々で、しかも仕掛けを解いて迷路が先に進めるようになると彼らもそこに出没するように行動パターンが変化するので、脱落者を出しながら競走している感覚が見事。その上で迷路の仕掛けと登場人物の動きの双方がパズルのように構築されているので、難易度の高さと攻略の楽しさの双方を充分に満たすことができるでしょう。

 家の敷地に地雷原まで設けられているといった原作の理不尽さは別にして、仕掛けや謎解きには理不尽なものが少ないのできちんと推理をしていけばきっとゴールにたどりつくことができると思います。一部にノーヒントで正しいヒモを引く選択や、地雷原のように踏み込むだけで一発ゲームオーバーになるような仕掛けもありますが、邪魔な競争者を出し抜いたりトラップを避ける方法を探したりと頭を悩ませることが楽しいアドベンチャーゲームの傑作です。コマンド総当りでは解くことができず、にも関わらず解き方さえ分かればテンポよく攻略できるシステムの妙を楽しんでくださいませ。
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