Romancing Saga-Minstrel Song-をやっぱり遊んでいます。
ロマンシングサ・ガも四週目に突入しましたが、ということはこのゲームのボスである気の毒な邪神サルーインはつごう三回も倒されてしまったことになります。千年前の神々の戦いで英雄ミルザに封印された屈辱に「ゴミみたいな人間どもに神が負けたのだぞ」と嘆いてみせる破壊神サルーインさんですが、詩人ジャミルに海賊ホーク、そして冒険者グレイと立て続けに負けてしまっているのですからなかなか言い訳のしようもありません。しかも復活のたびにディスティニーストーンを捧げられて強くなっている筈のサルーイン、未だ必殺技である剣の雨すら見せることなくあっさり倒されちまっているのです。
そのサルーインをジャミルやホークに続いて倒してみせたグレイさん。八人の主人公の中でも飛び抜けた実力を持つ人で、武器だろうが術だろうが殴り合いだろうがお好み次第で何でもできて、放っておいても勝手に強くなるというなかなか頼もしい存在です。出自不明の冒険者という触れ込みで一見すると長髪美形っぽい外見にオリエンタルな唐獅子風味の髪型もなかなか味がありますが、その正体は滅びた王国のやんごとなき血筋の人だとかアイルランドの独立戦争に身を投じていたとか水中でサメと戦うという噂もあったり無かったり、一見飄々として実はけっこう正義漢で熱血漢という人です。
辺境の離島リガウで財宝発掘の一行に加わっていたグレイですが、一本の古びた刀を見つけたことによってかつて滅びた王国の主がこの刀に込めた魂と彼の王国の衰亡とを追っていくことになります。ちなみにこのときの発掘隊の仲間が炎の魔術師ミリアムさんと不幸な聖戦士ガラハドの二人になりますが、実力では折り紙つきのミリアムに比べると通称ガラハゲまたはハゲと呼ばれているこの男、並外れたタフネスが逃げるには便利ですがこと戦いになればびっくりするほど足手まといでとても使えたものではありません。肉体バカというかバカな肉なので腕力と体力では人より勝っているにも関わらず、妙に打たれ弱いので実際の戦いになるとたおやかに倒れてばかりいるのです。こんなゴツイ顔で気絶が特技では誰もほめてくれないでしょう。
とはいえ腐っても聖戦士は聖戦士です。千年前の英雄ミルザの信奉者でもありますし、いくらできの悪い子でも捨てるには不憫だからと根気よく連れて行ってあげるうちに両手持ちの大剣やら短い槍なんかも少しずつ使えるようになったので、いるよりはマシからいないよりはマシくらいにはレベルアップすることができました。
そんなガラハドやミリアムらを連れていよいよ冒険も佳境という場面で、一行に立ちはだかったのが炎の魔人イフリート。全身が炎に包まれていて近づくだけで燃やされてしまうというおそろしい悪魔です。邪悪は許すまじと勇ましく構えたジャベリンを魔人に投げつけようとする聖戦士ガラハド、そこで閃いたのが新必殺技流星衝。輝く力を全身にまとい、まるで槍に乗って飛ぶかのように突進する聖戦士の姿・・・近づけば燃やされることを三歩歩いて忘れてしまったらしく、気の毒なハゲは消し炭にされてしまいました。
リガウ島を出た冒険者一行が船に乗って到着したのがバファル帝国の首都メルビル。マルディアス大陸でも最も伝統ある古い国で、石造りの都に世界的に有名な大図書館、豊富な金を際する鉱山などで知られていますが昨今では国力の衰退や皇位継承の混乱も目立ってどこか気だるい閉塞感がただよっている国です。ちなみにこの帝国ですが、メルビル地下を流れる大下水道や法務官ユリウスによって整備された帝国法の数々、今も図書館の記録や警備隊に遺されている武器や戦術など地中海周辺の古代中世史と文明を思わせる設定やエピソードの作り込みには感心させられます。さすが地中海まで取材旅行に行きながら突然退社、独立した旧ファイナルタンタジーXIIの開発スタッフに代わって制作を押しつけられた人たちの作品だけありますが、もちろんこれ自体はバファル帝国の歴史に何の関係もありませんね。
さてこれからどうしようかと港を出て町に入るグレイにお気楽な声をかけてきたのが彼の旧友を自称するジャンという男で、やけにフランクな顔と口調でお願いされたのが森の娘クローディアを護衛するという依頼でした。
弓を背負ってクマにオオカミを連れているという一風変わったこの娘こそ四人目の主人公でもありますが、その正体はなんと正真正銘のバファル帝国の皇女様。赤子の頃に暗殺者の手を逃れて森の魔女に預けられたという娘でした。ちなみにクローディアというのはクラウディウス氏の娘のことですから、やはりここはクローディアではなく貴族風にクラウディアと発音すべきでしょうか(元老院議員フロルス)。
そんなクローディアさん、森の娘としてすっかり森に順応していますが魔女に育てられたとは思えないほど頭が弱くて魔法や術にはまるで向いていません。とはいえ単なる野生児という訳でもなく、ひいき目抜きで自然に暮らす動物好きないい人です。もしもこれがチョコレートを与えるとガルルと唸りながら大人しくなるような野生の人だったら、矢吹丈とボクシングをすることはできてもとてもヒロインにはなれなかったでしょう。
帝国側の事情を見てみれば、皇帝には世継ぎがおらずようやく生まれた皇女も行方不明とあって国内の混乱は酷いものでした。順当に行けば皇帝の妹でローバーン公コルネリオに嫁いでいるマチルダが女帝になるのではないかと言われていましたが、野心家のローバーン公は皇帝が死ねば皇位継承も確実かと陰謀から呪いまで盛りだくさんの計略を巡らせ、これに対抗する親衛隊との確執は日々大きなものとなっていきます。
ですがこれで単純にローバーン公を悪人と決めつけるのはちと気の毒かもしれません。誰に言われずとも帝国は明らかに破綻しつつあり兵士は弱体化して交易は停滞、官憲は事件を民間に頼って自分で解決することもできないという有様で、妻が女帝になり自分が摂政になれば帝国を改革できると、最前線のローバーンで防衛に当たっている公が考えたとしても決して不思議はありません。ちょっと台詞を咬む癖こそあれ彼は有能な人物なのです。
ローバーン公は海賊ブッチャーと結託してこれを懐柔しつつ騒乱による皇帝と親衛隊の権威の失墜を図りますが、彼らが自分たちの手で始末できる騒乱を望んでいたのとは別に陰謀を知ったサルーインの信徒がバファル帝国の壊滅を画策します。ブッチャー討伐に海軍が出立する間、潜伏していた海賊がメルビルでひと騒動起こしてこれをローバーン公が鎮圧するというのが彼らのシナリオだったようですが、邪神サルーインの信徒はこの期に魔物を解き放って騒乱を拡大、王城と皇帝を襲わせます。かのキャプテン・ホークがブッチャーを討伐、グレイやクローディアらが皇帝を守らなければメルビルは陥落していたかもしれません。
公の野心を憂う人々が帝国や皇帝の近辺にいたことは事実ですが、では彼らが何をしていたかはグレイにクローディアを紹介したジャンという男を追えば事情が見えてくるでしょう。親衛隊員にして諜報員というこの男、過去にグレイに助けられた恩があると言いますがグレイ本人はそんなことは覚えがないなと言い捨てます。グレイさんのことですから感謝されてとぼけることはあるかもしれません。ですがとぼけているのはグレイではなくてジャンなのです。
このジャンですが皇女の噂を聞いて森に入れば獣に襲われて、当のクローディアに助けられるとローバーン公と暗殺者の目が光るメルビルに彼女を誘い、公の身辺調査に乗り出せばあっさり捕まって皇女を誘う囮に使われるという体たらく。頭を下げて言う言葉が「とんだ事に巻き込んでしまってどーもすみません」という有り様で、彼らがローバーン公やサルーインの信徒の画策を止められずとも誰を責めることができるでしょうか。
退廃したバファル帝国で様々な陰謀や画策に巻き込まれる人々がいる中で、金塊強奪事件の濡れ衣を着せられて謹慎処分にされてしまったのが財務大臣のパトリック。驚くほど紳士的でハンサム、甘い声をしたナイスガイで若い頃はさぞ多くのご婦人方をときめかせたのではないかという人です。自分のことを「年寄り」と呼んで謙遜するにも関わらず、剣にも槍にも通じた戦士で仲間に背を向けて敵に顔をさらすという頼れる男、口では聖戦士を名乗りながら消し炭になるしか能がない、どこぞのハゲよりよほど実力派の人物でしょう。財務大臣の任についていますが先の金塊強奪事件で、襲撃のあった鉱山に自ら駆けつけている様子を見ても帝国の金庫を警護する役目も負っているのだと思います。
この人が帝国を守っていることに一抹の救いを見出しながらも、そのパトリックを証拠のない疑惑だけで更迭してしまう帝国と皇帝のことなかれ主義には辟易するしかありません。
ですがこれ自体もローバーン公の謀略の一端で、頼れるパトリックが更迭されたことで手薄になった鉱山に今度は大規模な襲撃が行われると、メルビルを警護する部隊もそちらに割かれてしまいます。この状況でパトリックはグレイやクローディアらと行動を伴にして帝国を狙う陰謀に自ら立ち向かい、巨大なドラゴンまでもが徘徊する鉱山の魔物どもに挑むのでした。
内憂が外患を呼ぶ惨状の帝国ですが、その間、国を主導すべき皇帝フェル六世はといえば忠臣パトリックを更迭した件でも分かるように万事に無気力で事なかれ主義、良く言っても冷めたピザか薄めた粥のような存在でした。皇帝の無気力の原因が皇女を失ったことに由来するかは分かりませんが、例えそうだとしても彼が幼い我が子を暗殺者から守ることができなかった責任を指摘しない訳にはいかないでしょう。邪な呪いに倒れた皇帝が臥せってしまうとグレイやクローディアらによって救われますが、ノーブラにTシャツを着た姿に水をかけられてセクシーさを競うという、全米濡れTシャツコンテストに優勝した際のコメント。
「パンツはいてなかったのが良かったみたい」
途中から別のテキストが混じってしまったかもしれません。
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