第六回大会


 西暦2001年10月、中本工業主催ストライク・バック第6回大会。開催数の増加に伴って各機体の特徴と優位性、距離に向いた戦術や装備の適性が見えるようになってくるようになった。例えば前回第5回大会では火力集中による全距離攻勢、中間距離による優位性確保、近接ブリッツ主体戦闘等が見られた中でテムウ・ガルナとスノウディアーの地対地ミサイルが優勝をさらったという結果は注目に値するだろう。
 また大会前、次回大会より博打性の強い特殊装甲が廃止されその他のオプション装備が導入される案が発表された。現在の強化装甲に樹脂コーティングと鏡面処理を施した複合強化装甲として改善、その他強化センサー、フラッシュジャマー、加速ブースターの試験導入が行われるが、いずれにしても今大会は既存のルールと装備とで実施される。


Aブロック一回戦

 第一試合。神代進騎乗、前大会で圧倒的な火力と攻撃力とを見せつけた重攻撃型ホウオウに対するはおなじみのリザーバー、新庄ジュンペイ騎乗の奇怪王。大型兵器同士の派手な激突が期待される。
 試合は遠距離からの開始、奇怪王のロケットブローがホウオウに命中するが厚い装甲に阻まれてダメージ軽微、反対にホウオウのメテオウイングは直撃してかなりの被害を与える。得意の近接戦での殴り合いを企図する奇怪王は接近を図るがホウオウは距離を問わずにレイウイングを射出、掠っただけだが相手に与えるプレッシャーはやはり大きい。距離を空けられてメテオウイングとロケットブローの撃ち合いは両者直撃、互いにかなりのダメージを与える。更に離れて攻撃、ホウオウの攻撃は確実に命中して奇怪王のダメージが50%を越えるが、奇怪王の反撃はホウオウの装甲によってかなり軽減されてしまう。ここまで完全にホウオウのペース。
 しつこく近接を図る奇怪王はホウオウのレイウイングで更にダメージを受けながらも、ようやく接敵に成功。ここまでに受けたダメージが大きく機動停止寸前になりながらも必殺の奇怪王パンチはかわされ、ホウオウのヒートウイングも外れ。全距離対応のホウオウ相手に続いての奇怪王パンチは命中するがやはり装甲を破れず、反撃を受けるがダメージ軽微。一旦距離を取ったホウオウがレイウイングを射出、掠っただけだが接近を狙った奇怪王にヒートウイングが命中。奇怪王パンチも命中するがついに戦局を変える事はできなかった。

○重攻撃型ホウオウ(9分機動停止)奇怪王× 21vs-1


Aブロック一回戦

 続いては前回の雪辱を図る両機、シャル・マクニコル騎乗のハーフリング3rdと山本いそべ騎乗のKUSUNOTEC社謹製猫たーぼV12。噂では機体名は社長の山本いそべが勝手に命名しているらしい。装甲の薄い紫電機をベースにした機体は極めて高い戦闘力と機動力とを兼ね備えている。
 中間距離、猫たーぼの両爪から発射される光学レーザー、猫のつめがハーフリングに襲い掛かるがパイロットの操縦技能に定評のあるハーフリングはこれを難なく回避。しかし機動力なら軽量機にも負けない猫たーぼは中間距離を維持し、反撃手段の無いハーフリングに続けて猫のつめを発射。初弾、二発目、更に続けて三発目、四発目と命中してかなりのダメージ。ハーフリングも攻撃が掠る程度に防ぎつつ続けての攻撃は完全回避するが、どうしても有効距離が取れずに猫たーぼの攻撃が今度は直撃、被害率が50%に達してしまった。
 或いはこのまま一方的に行くかと思われたが、連続優勝の経験まであるハーフリングもこれで引き下がりはせず待望の遠距離を確保、ロックオンレーザーを直撃させて反撃開始。一度は中間距離に持ち込まれるが機動力を活かして猫のつめを回避、距離を離して二発目のロックオンレーザーを命中させる。更に命中精度の高さを活かして三発目、四発目、五発目、六発目と連続で着弾、戦況を完全に逆転させた。
 だが互いに完全な距離の取り合いとなった一戦、ここで猫たーぼが三度中間距離に戻すと猫のつめを連続射出、命中させて反撃開始。続けての命中で戦況を五分に戻し更に追撃、掠った所に追い打ちの一発が命中。装甲を削りきった猫たーぼが辛くも勝利した。

○猫たーぼV12(16分機動停止)ハーフリング3rd× 10vs-1


Bブロック一回戦

 続いては前大会優勝者の登場、テムウ・ガルナは優勝機スノウディアーを乗り換えて軽量機に変更、リムストックスに騎乗する。対するは前大会決勝戦でセクレタリアトIIに騎乗するも惜しくも敗退したロストヴァ・トゥルビヨン、やはり機体を乗り換えてネイティブダンサーに騎乗する。
 両機カタパルトより射出後まずは中間距離から開始、この距離なら自分のものとばかりにネイティブダンサーがLucidusを一斉発射。初弾のせいかやや命中精度が低く、機動力を活かしてリムストックスが回避するが一発だけ命中。リムストックスもアークスライドで反撃、これは掠ったのみ。続けて相対位置を捕捉してからのネイティブダンサーの攻撃、収束した高出力レーザーが襲い掛かり今度もリムストックが辛うじて回避するがそれでも二発命中、ダメージ大。リムストックの反撃は命中せず。更にLucidusが射出され、二発が直撃!多少の反撃を受けるもここまで完全にネイティブダンサーのペース。
 ここでようやく遠距離を確保したリムストックスの反撃はサイクロントレーサーを発射、熱線砲二発を的確に命中させるがまたもネイティブダンサーに距離を詰められて中間距離での撃ち合い、アークスライドで確実に装甲を削るがLucidusの出力には及ばず。このあたり、ネイティブダンサーの距離の取り方は見事と言うほかはない。だが続けての撃ち合いはダメージ軽微で互角、更にLucidusを完全回避したリムストックはアークスライドを何とか掠らせ、牽制してから遠距離へ。サイクロントレーサーを直撃させてペースの巻き返しを図る。しかしここで中間距離に移行したネイティブダンサーがLucidusを射出、確実に命中させて勝負を制した。リムストックの反撃は命中するも及ばず、パイロットの熟練が勝敗を分けたか。

○ネイティブダンサー(9分機動停止)リムストック× 6vs-2


Bブロック一回戦

 のんびりエターニア、その機体名もパイロットの静志津香も攻撃性とはほど遠い印象を受けるが、大なり小なりの企業がプライドを賭けて選出する人間が無能である筈が無かった。対するアークロイアル、レイモンド・オースは常連ながら後一歩が及ばない例が多く、ここで新入りの後塵を拝する訳にはいかなかった。
 近接戦闘からの開始、のんびりエターニアのレーザーメスは回避され、アークロイアルがブリッツで確実に相手の装甲を削る。更に距離を取った相手にヒートキャノンを命中させ、まずはアークロイアルのペース。ここで近接戦闘に戻るが、ブリッツを命中させるアークロイアルにのんびりエターニアのレーザーメスが命中!紫電ベースの装甲の薄さが災いして大ダメージを受ける。続けて本来命中精度を重視したレーザーメスがアークロイアルの薄い装甲を激しく削る。ブリッツの反撃も確実に命中してはいるがダメージで及ばず、近距離を狙うアークロイアルには思わぬ展開に。更に三撃目、四撃目のレーザーメスが命中して完全に形勢逆転、ここで中間距離を取ったアークロイアルがヒートキャノンで反撃するが時既に遅く、結局近接してのレーザーメスで装甲を破壊された。レイモンド・オースにしてみれば完璧な計算ミスか。

○のんびりエターニア(8分機動停止)アークロイアル× 18vs0


Aブロック準決勝

 一回戦が終了し、Aブロック側準決勝。全距離対応攻撃の重攻撃型ホウオウに対するは新人、山本いそべ騎乗の猫たーぼV12。猫たーぼは大型兵器搭載、戦闘力重視の機体であるが、装甲の面ではホウオウに大きく軍配が上がる。
 まずは中間距離の撃ち合い、ホウオウのレイウイングを回避した猫たーぼは反撃の猫のつめを二発いきなりの直撃、機動性能の差を見せつける。続けての撃ち合いは両機共に命中させるが出力と装甲ではホウオウが上、ダメージは猫たーぼの方が大きい。展開はこのまま中間距離での撃ち合いになり、命中精度に劣るホウオウが攻撃を外し、猫たーぼの猫のつめは一撃命中。続けて両機命中させるが猫たーぼが一発直撃させてここまでのペースを握る。ホウオウの反撃、猫たーぼの撃ち合いは双方掠ったのみ。
 更に反撃を図るホウオウのレイウイングがようやく一弾命中、猫たーぼの反撃は掠っただけ、猫のつめ連弾もやはり掠っただけ。固い装甲に阻まれながらも猫たーぼが追い打ち、ホウオウは被害甚大になるがここから反撃を図る。レイウイング二発命中、ダメージ軽微の後に今度は直撃!こちらも反撃を受けるが一気に戦況を引き戻すが続けての撃ち合いで双方の攻撃が直撃、それまでのダメージが災いしてホウオウが機動停止した。

○猫たーぼV12(11分機動停止)重攻撃型ホウオウ× 3vs-4


Bブロック準決勝

 決勝進出のもう一枠を賭け、ネイティブダンサーとのんびりエターニアの激突。中距離ならネイティブダンサーの高出力レーザーLucidusが、遠距離ならのんびりエターニアのロックオンレーザーが物を言う展開が予想された。
 カタパルト射出後、相対距離は中距離から。いきなりのLucidus発射は二発命中、ネイティブダンサーが先制し更に追い打ち、これは一発のみ命中。そして自分の間合いが取れないでいるのんびりエターニアに畳み掛けるように、ネイティブダンサーが容赦のないLucidus連続射出。二発命中、更に二発直撃で一方的な展開に。ここで辛うじて遠距離の確保に成功したのんびりエターニアがロックオンレーザー発射、一撃目こそ回避されるが二発目は確実に命中、しかし中距離に戻されてLucidus一弾直撃、更に止めとばかりに収束した高出力レーザーが四発、のんびりエターニアの装甲を完全に貫き機動停止に追い込んだ。

○ネイティブダンサー(8分機動停止)のんびりエターニア× 33vs-15


NAKAMOTOストライク・バック第六回大会決勝戦

 中間距離での砲戦が主体となったストライク・バック第六回大会決勝戦。機動性能重視の猫たーぼV12対高出力レーザーを持つネイティブダンサー。火力と装甲で勝るネイティブダンサーに機動力で猫たーぼが如何に対応するかが勝敗の鍵になると思われた。
 カタパルトに設置された機体のフォルムでは、名の通り猫型をイメージしたずんぐり体型の猫たーぼに、Lucidusの射出口が凶悪に設置されているネイティブダンサーと、何れも洗練よりも威圧感を感じさせる。フィールド外周を滑る両機が切り放された所でタイムカウントが始まり、決勝戦が開始された。

 相対距離は互いに狙う中間間合い、ネイティブダンサーの抜き打ちのLucidusは一発のみ命中、猫たーぼが猫のつめを確実に命中させてダメージ互角。続けて相手を捕捉してからのLucidusは機動力を活かした猫たーぼが完全回避、反撃の猫のつめは一発掠っただけで展開はほぼ互角のまま。
 ここで猫たーぼが続けて攻撃を命中させるがネイティブダンサーの反撃が二発直撃!互いに相手を完全に正面から捕捉するとほぼ反射的にであろう、同時に最大出力での収束レーザー砲が交錯し、両機を互いに刺し貫いた。

 猫のつめ光学レーザーが二発直撃、Lucidus高出力レーザーが四発超撃。勝負は一瞬で決着し、猫たーぼが機動停止しストライク・バック二人目となる二度目の優勝者が誕生した。

○ネイティブダンサー(4分機動停止)猫たーぼV12× 18vs-3

cut


総合成績

ロストヴァ・トゥルビヨン ネイティブダンサー   3戦3勝 通算12戦9勝
山本いそべ        猫たーぼV12     3戦2勝 通算 5戦3勝
神代進          重攻撃型ホウオウ    2戦1勝 通算 7戦3勝
静志津香         のんびりエターニア   2戦1勝 通算 5戦2勝
シャル・マクニコル    ハーフリング3rd   1戦0勝 通算12戦8勝
テムウ・ガルナ      リムストック      1戦0勝 通算10戦6勝
レイモンド・オース    アークロイアル     1戦0勝 通算10戦4勝
新庄ジュンペイ      奇怪王         1戦0勝 通算 4戦1勝
ネス・フェザード     スレイヴバイパー    0戦0勝 通算 8戦4勝
中石譲          ねぷた祭り       0戦0勝 通算 2戦1勝
マクシミリアン      アウグストゥス     0戦0勝 通算 2戦0勝


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