Scinario:悪霊の家/ピックマンのモデル


Scene1【2019.06.01更新】


 君たちが乗り合わせたマイクロバスは、山中の曲がりくねった県道を走っていた。高原のせいか、空気はひやりとして窓外には霧が立ち込めており、樺の立ち並ぶ林もぼんやりとしか見ることができない。谷間に沿う、ガードレールすらはっきりと見えないことに気づき、君たちは不安になる。それにしても霧が濃くなってきた。やがて運転席から、悪態をつく声が聞こえると、黒ずくめの運転手が振り返って、業務上許される最低限の不機嫌さを見せながら言う。霧が深く、これ以上車を走らせるのは危険と判断して、しばらく走行を中断致します、と。

 いささか落ち着かない様子で、座席に腰を下ろしていた「君」は、運転手が奇妙な様子でいることに気づく。理由はすぐにわかる。運転席に据えられているカー・ナビゲーション・システムに周囲の地図が何も映し出されていないのだ。十年前ならいざしらず、いまどき地図に載っていない道路なんて珍しいと思いながら様子を見ていたが、どうやら携帯電話も繋がらないらしく、何度もかけ直そうとしている。「君」も自分の携帯電話を取り出すが、画面を見てもアンテナの一本も立っていない。車の外なら繋がるかもしれないと思ったのか、運転手は、しばらくお待ちくださいと言ってから扉を開けると、1メートル先も見えない霧の中に姿を消してしまった。

 それから五分ほどが過ぎる。

 十分が過ぎる。

 三十分が過ぎる。

 時間が経つごとにバスの中に不安そうな空気が満ちていくが、とうとう一時間が過ぎても運転手は帰ってくる様子がない。ようやく霧が薄まってくると、君たちは驚くべき事実に気づく。マイクロバスはアスファルトの路面ではなく、四方を木々に囲まれた林の中にぽつねんと停められているのだ。運転手の姿はどこにも見えない。

 動揺を抑えることができた者は、これからどうしようかと同乗者たちに呼びかける。あまり選択肢はありそうにない。林の中では他の車が通りがかることは期待できない。車のカギは運転手が持って行ってしまった。何度ためしても携帯電話が繋がる様子はない・・・。

 思い切って車の外へ出ると、空気がひやりとして霧が服をとおして肌にまとわりついてくる。霧はだいぶ薄くなっていたが、もしもはぐれたら大変だと、君たちは互いに自己紹介をして、全員で9人いることを確認する。木々に遮られてあまり先を見通すことはできず、耳をそばだてて周囲の様子をうかがう。

[聞き耳]判定
 市古 25%:90
 エリカ75%:62 success
 草薙 60%:28 success
 篠田 25%:69 failed
 芝田 25%:23 success
 多田 25%:25 success
 冬真 25%:02 success
 松平 25%:55 failed
 紅  25%:74 failed

 そう遠くない木々の向こうから、獣がうなるような吠えるような声が聞こえてきて、ぞっとする。よほど現実的な危険に気がついた者たちは、背筋に寒気を覚える。

[SAN]判定
 エリカ75%:25 success
 草薙 70%:29 success
 芝田 70%:21 success
 多田 60%:03 success
 冬真 70%:02 success

 唐突に、エリカが口ずさむように歌を歌い始めて、ルージュは怪訝そうな顔をする。安心させるように、笑みを浮かべながら「ほら。はぐれないように、ね」という彼女だが、動かした視線が草薙や芝田、多田や冬真と合うと、互いに無言でうなずき合う。彼らにもうなり声が聞こえたのだろう。人がいることを知らせれば、動物は寄ってこないともいうし、気がついていない者に余計な不安を煽る必要もあるまい。

 あるいは、バスの中で大人しくしているべきだったろうか?
 後悔しかけたとき、林の中にけたたましい声が響く。それは、先ほどまで歌を口ずさんでいた、エリカの悲鳴だった。

[幸運]判定
 市古 50%:05 success
 エリカ75%:97 fumble! エリカは、とらばさみの罠にかかり、1d6=3の、怪我を負った。
 草薙 70%:52 success
 篠田 85%:04 success
 芝田 70%:64 success
 多田 60%:19 success
 冬真 70%:25 success
 松平 50%:44 success
 紅  55%:75 failed

 短い下草のかげに、とらばさみが隠されていて、踏み抜いたエリカの脚に深々と食い込んだ。慌てて駆け寄った市古や篠田たち数人が、耐えがたい痛みで暴れる彼女をむりやり押さえつけている間に、猟師の心得がある草薙が罠を外すと、忌々しげに投げ捨てた。偶然手に入るものではない。近年、この手の罠は使用が禁止されているのだ。

 驚きと痛みで、泥と涙によごれたエリカの頬を女性たちが拭おうとしているところに、今度こそ聞き間違えようのない、獣がうなるような声が聞こえてくる。聞き耳を立てる必要はない。なぜならばそれは木々のすぐ向こうから聞こえていて、痩せこけた何頭もの野犬たちの影が、すでに君たちの目には見えているからだ。1頭、2頭、3頭、ちょうど君たちの人数と同じ、9頭の野犬が木々の間から駆け出してくると、よだれをしたたらせた牙をむき出しにして、いっせいに襲いかかってくる。

野犬x9頭
 筋力07 体力11 体格5 敏捷13 耐久力08
 噛みつき 30% 1d6

ターン1
 芝田  DEX16-攻撃50%:61 failed
 市古  DEX14-攻撃50%:48 success 市古は、野犬Bを殴り、1d3=3の怪我を負わせた。野犬Bは逃げて行った。
 松平  DEX14-攻撃85%:84 success 松平は、野犬Cを組み伏せた。
 篠田  DEX13-攻撃50%:57 failed

 野犬A DEX13-攻撃30%:72 failed
 野犬C は組み伏せられている。
 野犬D DEX13-攻撃30%:79 failed
 野犬E DEX13-攻撃30%:21 success 草薙(回避24%:81)は、野犬Eに噛みつかれると、1d6=1の怪我を負った。
 野犬F DEX13-攻撃30%:24 success ルージュ(回避22%:18)は、野犬Fに噛みつかれたが、避けた。
 野犬G DEX13-攻撃30%:69 failed
 野犬H DEX13-攻撃30%:09 success エリカ(回避26%:40)は、野犬Hに噛みつかれると、1d6=6の怪我を負ったが、気絶(75%:53)はしなかった。
 野犬I DEX13-攻撃30%:70 failed

 草薙  DEX12-攻撃50%:80 failed
 紅   DEX11-攻撃50%:49 success ルージュは、野犬Fを殴り、1d3+1d4=6の怪我を負わせた。野犬Fは逃げて行った。
 多田  DEX08-攻撃50%:28 success 多田は、野犬Gを殴り、1d3=1の怪我を負わせた。野犬Gは逃げて行った。
 エリカ DEX07-攻撃50%:77 failed
 冬真  DEX06-攻撃70%:20 success 冬真は、野犬Iを杖で殴り、1d6=5の怪我を負わせた。野犬Iは逃げて行った。

 野犬の一頭が草薙にとびかかって、のどもとを狙うと、草薙はとっさにかばおうとした腕に牙を突き立てられて、痛みに顔をしかめる。もう一頭が、ろくに動けないでいるエリカにのしかかると、のどもとに深々と噛みついて悲鳴が上がる。誰の目にも、それがきわめて危険な状態だとわかる。この時代に、日本の山中で、人が野犬に食い殺されるなどと誰が考えるだろうか。君たちは、日常ではありえない恐怖を自覚する。

[SAN]判定
 市古 50%:31 success
 エリカ75%:95 failed SAN-1d2:2
 草薙 70%:14 success
 篠田 85%:90 failed SAN-1d2:2
 芝田 70%:71 failed SAN-1d2:1
 多田 60%:35 success
 冬真 70%:74 failed SAN-1d2:1
 松平 50%:47 success
 紅  55%:52 success

 吐き気がするような恐怖をこらえながら、野犬を殴りつけて追い払った市古とルージュ、冬真と多田の4人が仲間に加勢するために駆け寄ろうとする。松平も野犬を組み伏せて、すぐに加勢に向かうつもりで周囲の様子を見る。

ターン2
 芝田  DEX16-攻撃50%:94 failed
 市古  DEX14-攻撃50%:25 success 市古は、野犬Hを殴り、1d3=2の怪我を負わせた。野犬Hは逃げて行った。
 松平  DEX14-攻撃85%:10 success 松平は、組み伏せた野犬Cに、1d6+1d4=8の怪我を負わせた。野犬Cは死んだ。
 篠田  DEX13-攻撃50%:74 failed

 野犬A DEX13-攻撃30%:96 failed
 野犬D DEX13-攻撃30%:55 failed
 野犬E DEX13-攻撃30%:97 failed

 草薙  DEX12-攻撃50%:26 success 草薙は、野犬Eを殴り、1d3=2の怪我を負わせた。野犬Eは逃げて行った。
 紅   DEX11-攻撃50%:03 success ルージュは、野犬Aを殴り、1d3+1d4=3の怪我を負わせた。野犬Aは逃げて行った。
 多田  DEX08-攻撃50%:41 success 多田は、野犬Dを殴り、1d3=1の怪我を負わせた。野犬Dは逃げて行った。

 市古は殺陣の要領で軽い身さばきを披露すると、野犬の一頭を殴り倒してから、エリカにのしかかっていた一頭に駆け寄り、両の拳を思い切り背に振り下ろした。松平はフットボールそのままに野犬を組み伏せてしまい、思い切り首をひねると、ごきりという音がして、犬は二度と動かなくなってしまう。やりすぎにも思えたが、人が食い殺されそうなときにそのような余裕などない。

 草薙は、噛まれた腕とは逆の拳で、野犬の腹を殴りつける。ルージュはそのような扱い方に慣れているのか、振り回したハンドバッグで、野犬を打ち据えた。多田も年齢に似つかわしくない動きで、野犬を殴りつけ、冬真は杖をつき片足を引きずって、俊敏にはほど遠いが、その杖を刀剣のように突くと一頭を追い払うことができる。

 かろうじてといった様子で、野犬をすべて追い払うと、血まみれで動けないでいるエリカに、皆が駆け寄る。クラブ活動で、応急手当ての方法を多少心得ていた松平が、女性の胸や脚に触れることにためらいながら、噛まれた傷口を洗うと手ぬぐいで拭い、脚を強く縛る。その間に、草薙も噛まれた腕の傷を自分で手当てする。死人がいなくて何よりだった、などと、おぞましいことを考えたことにぞっとする。何度か首を振ったところで、ぼうぜんとしていたエリカが、ようやく落ち着くと、足の怪我を気にしながらゆっくりと立ち上がる。

[応急手当]判定
 松平 70%:57 success 松平は、エリカの足の怪我を手当てして、1d3=1回復させた。
 松平 70%:32 success 松平は、エリカの胸の怪我を手当てして、1d3=2回復させた。
 草薙 30%:27 success 草薙は、自分の腕の怪我を手当てして、1d3=1回復させた。

 周囲を見て、重大なことに気づく。君たちが乗ってきたバスは影も形も見えず、居場所を見失ってしまった!右を見ても左を見ても、立ち並んでいる木々が目に入るだけで、薄らいでいるとはいえ、霧に遮られて遠くまで見通すことはできず、空を見上げても月はおろか星すらも見つけることができない。猟師の経験がある草薙が、方角だけでもわからないかと、少しでも手がかりを探そうとするが、諦めたように息をつく。こんな場所で、君たちは自分たちがどこにいるのかもわからなくなってしまい、恐怖が込み上げてくる。

[ナビゲート]判定
 草薙 25%:68 failed

[SAN]判定
 市古 50%:89 failed SAN-1
 エリカ73%:76 failed SAN-1
 草薙 70%:16 success
 篠田 83%:03 success
 芝田 69%:87 failed SAN-1
 多田 60%:84 failed SAN-1
 冬真 69%:94 failed SAN-1
 松平 50%:85 failed SAN-1
 紅  55%:30 success

 全員が霧に濡れそぼって、怪我をしている者もいる。いよいよどうしようかと思えてきたとき、誰かが、あっと声をあげると全員が同じ方角に目を向けた。

 わずかに漂っている霧の向こうに、古びた洋館が建っているのが見える。周囲に道路すらない、林のただ中に家があるなどということがあるのだろうか?館は廃屋めいていて、外から見る限り、明かりは灯されていないように見える。人がいれば、助けを呼ぶことができるかもしれない。誰もいなくても、霧を避けて、身を休めるていどのことはできるだろう。君たちは、ふらふらと何かに導かれていくかのように、洋館に近づいていく。正面にある、玄関の扉は少しく開いていて、風に揺れると、ぎぃぎぃという気味の悪い音を立てている。

 だが、君たちは後になって思うのだ。もっともよい手段は、あのままバスの中で文句を言いながら不安に耐えることだったに違いない。あるいは、野犬に怯えながら、濡れた身と恐怖の中で朝まで震えていることだったに違いない。あるいは、すべてはもう手遅れで、いまここにナイフの一本でもあれば、我が身を刺してしまうのがもっとも幸いであったかもしれない・・・。


Scene2【2019.06.15更新】


 全員が霧に濡れて冷えており、ことにエリカは明らかに顔色が悪く、少しでも休ませる場所を探したい。建物は二階建ての古めかしい洋館で、外観を見る限りではまったく手入れはされておらず、人が暮らしているかどうかも疑わしく思える。すぐに気がつくが、一階も二階も、建物のすべての窓に頑丈そうな格子がはめられている。

 玄関の扉は少し開いていて、きしむ扉を引き開けると、薄暗い屋敷に霧の混じった冷たい風が流れ込む。首をすくめるようにして、一人ずつ足を踏み入れる。中は明かりもついておらず、薄暗いが、外から漏れ入ってくる光のおかげで、かろうじて様子を見ることはできた。かびとほこりの臭いが鼻をついて、君たちは思わずむせ返りそうになる。

 気味の悪い雰囲気を少しでも和らげようと、何人かが、バスを降りたときに交わしていた自己紹介の続きを始める。京都で宿を営んでいるという篠田が、こういうできごとは当事者でなければ大好きなのに、と、冗談まじりに口を開く。フットボールの県合宿の帰りに、バスに乗り合わせていたという松平は、オカルトなんてテレビ番組でも見たことがありませんと言う。香港で古物商を営んでいるというルージュは、日本は貴重な骨董品が大切に保管されていることがあるが、この屋敷ではあまり期待できそうにないと冗談を飛ばす。見も知らぬ仲間が得体の知れぬ存在ではないと思うと、多少の安堵感が生まれる。

 薄暗さに目が慣れてきて、改めて、玄関ホールを見渡す。まず、正面の壁に大きな絵がかかっているのが目に入る。左手には二階へ上る階段があって、右手には廊下が伸びていくつかの部屋に面している。床には、ほこりがうず高く積まれていて、足跡がいくつも残されている。

 身をかがめて、足跡をたどろうとした芝田と草薙が、怪訝そうな視線を交わす。後ろからのぞき込むように、首を伸ばした多田が、頓狂な声を上げた。ほこりだらけの床で、足跡の一つに、靴でもスリッパでもない、裸足のものが混じっている。獣じゃあるまいし、よくもこんなところを裸足で歩こうという気になりますね。多田がわざわざそのように呟いた理由を、芝田も草薙も理解する。足跡は奇妙に長く、人というよりも大きな獣のものに見える。彼らの話を聞いていたルージュが、野犬の足跡ではないんだねと、不安そうに念を押すが、これが獣であれば、野犬よりもよほど大きな生き物になってしまうだろう。

[追跡]判定
 市古 10%:35 failed
 エリカ10%:23 failed
 草薙 60%:47 success
 篠田 10%:64 failed
 芝田 80%:59 success
 多田 10%:05 success
 冬真 10%:36 failed
 松平 10%:84 failed
 紅  10%:96 failed

  正面にかけられている大きな絵は、信じられないほど精緻に描かれているが、描かれている題材は、見る者をどこか不安にさせる。それが十八世紀の「マウント・オーバンに葬られたホームズ、ロウエル、ロングフェロー」という作品であることをルージュは知っていて、作者のリチャード・アプトン・ピックマンは、完璧に精緻な技法が高く評価されたが、冒涜的な題材を批判されて画壇を追放された人物としても知られている。

 絵には未知の地下納骨所で、一人の怪物が仲間に取り巻かれながら、彼らが望んでやまない地上世界を案内している姿が描かれている。ルージュの説明を聞いた篠田や冬真は、この気味が悪い屋敷にあまりにも似合っていますねと、冗談めかして笑っているが、冬真の目には、この絵に描かれている冒涜的な世界の姿が、おぞましい真実の一端を捉えているのだということを、理性によらず理解する。

[オカルトor芸術/絵画]判定
 市古 05%:88 failed
 エリカ05%:13 failed
 草薙 20%:87 failed
 篠田 85%:71 success
 芝田 05%:46 failed
 多田 05%:72 failed
 冬真 55%:05 special! 冬真は、魔道書「絵画:ピックマンのモデル」を理解した。[クトゥルフ神話]+1%
 松平 05%:39 failed
 紅  85%:42 success

[SAN]判定
 篠田 83%:06 success
 冬真 68%:13 success
 紅  55%:02 success

 絵のすぐ下には小さな台があって、古めかしい電話機が置かれていたが、ほこりまみれの送受話器を持ち上げても何も音が聞こえない。玄関の脇にある電灯のスイッチを動かしても、明かりが灯る様子もない。あまり期待はしていなかったが、この様子では、電気も電話も、とうに止められているのだろう。外は少しずつ薄暗くなっていて、少なくとも明かりになるものは見つけなければいけませんねと、多田が同行者たちに促す。

 玄関の裏は厨房になっていて、近づいただけで、何かがくさったようなひどい臭いが充満しているのが分かる。部屋の左手は階段室で、扉が頑丈そうな南京錠で閉ざされている。何か道具があれば開けられるだろうかと、芝田は考えたが、自分が逃亡中のスリであると気取られるような振る舞いはなるべくしたくない。警察や役人に類する人間が同行者の中にいる様子はないが、わざわざこんな廃屋のこんな扉を開ける必要があるとも思えなかった。

 あまりこういう場所は長居をすすめられないねと、ルージュが注意を促そうとしたが、遅かったらしい。誰かが食料棚の戸を開けると、棚の中は大きく破られた穴が空いていて、奥にいたらしい、数十匹ものネズミの群れが一斉に飛び出してくる。ほとんど無意識に、怪我をしているエリカを押しのけた松平の全身を、数十匹ものネズミが駆け上がる。人間がネズミに埋め尽くされる、おぞましい光景に悲鳴が上がり、青年が床を転げまわる。

[幸運]判定
 市古 50%:29 success
 エリカ75%:83 failed(+12)
 草薙 70%:59 success
 篠田 85%:45 success
 芝田 70%:27 success
 多田 60%:28 success
 冬真 70%:06 success
 松平 50%:71 failed 松平は、ネズミの群れに噛みつかれると、3d3=5の怪我を負った。
 紅  55%:47

[SAN]判定
 市古 49%:75 failed SAN-1d2:1
 エリカ72%:38 success
 草薙 70%:48 success
 篠田 83%:23 success
 芝田 68%:53 success
 多田 59%:70 failed SAN-1d2:2
 冬真 67%:94 failed SAN-1d2:1
 松平 49%:98 failed SAN-1d4:3
 紅  55%:97 failed SAN-1d2:2

 幸いなことに、ネズミは松平の全身を駆けずりまわると、すぐに逃げていく。まだ呆然としている松平の、あちこちをネズミに咬まれたあとが痛々しいが、篠田がハンカチとペットボトルの水を借りると間に合わせの手当てをする。テレビドラマのように、傷口を吸うてあげたらよいですか、というのは、少しでもこの場を和ませようとして若者をからかった冗談のようだ。

[応急手当]判定
 篠田 80%:43 success 篠田は、松平の怪我を手当てして、1d3=3回復させた。

 一度、玄関に戻り、右手の廊下を進むと、左手と右手に扉が一つずつある。左手の扉は厨房の隣の部屋に面していて、食堂か居間のような広いつくりになっている。大きなテーブルと、奥には煉瓦で組まれた立派な暖炉がある。テーブルの上には何人分かの腐りきった食事が並べられていて、果たしてこの屋敷に人がいるのか、あるいはいつ頃まで暮らしていたのか分からなくなる。きたならしいテーブルごと部屋の隅に寄せてしまうと、暖炉の様子を見た草薙は、ここなら少しは暖が取れるだろうと言って暖炉の前に身を屈める。ライターは持っているし、焚き付けになるものがあればすぐにでも火を起こせそうだ。

 居間には男性の肖像画が二枚と、玄関と同じような大きな絵画が掛けられている。ルージュは知っているが、肖像画の一枚はリチャード・アプトン・ピックマンのもので、もう一枚は誰か分からないが、面差しが似ていて親族に思える。大きな絵画に描かれているのは、ピックマンの「教え」と呼ばれる作品で、教会の墓地で、怪物たちが自分達の子供と取り替えてきた人間の子供に、自分と同じように屍を喰う事を教えている光景が描かれている。胸が悪くなる教えが、きわめて精緻な表現で描かれていて、篠田と冬真の顔色が青ざめる。これは想像の情景ではなく、おぞましい事実を描写したルポルタージュなのである。

[オカルトor芸術/絵画]判定
 市古 05%:46 failed
 エリカ05%:45 failed
 草薙 20%:34 failed
 篠田 85%:03 special! 篠田は、魔道書「絵画:ピックマンのモデル」を理解した。[クトゥルフ神話]+1%
 芝田 05%:53 failed
 多田 05%:15 failed
 冬真 55%:01 special! 冬真は、魔道書「絵画:ピックマンのモデル」を理解した。
 松平 05%:42 failed
 紅  85%:25 success

[SAN]判定
 篠田 83%:71 success
 冬真 67%:05 success
 紅  53%:92 failed SAN-1

 廊下を挟んで、居間の反対側にある扉は、立て付けが悪いのかなかなか開かない。若い市古と松平の二人で、力を入れて揺らしてみると、きしんだ扉が開く。扉の向こうに何かが立てかけられるように引っかかっていたらしく、開けると同時に倒れ掛かってくる。倒れてきたのは、人間の胴体だけの石膏像で、薄汚れて、倒れた拍子にひびが入っている。彫像のようにリアルな出来栄えで、腹や背中に、模様のようなものが絵具で描かれている。内臓の場所やね、それも、かなり正確に。そう言ったのは篠田だが、なぜこのようなものがこのような場所にあるのかは分かるはずもない。

[医学]判定
 市古 05%:59 failed
 エリカ05%:24 failed
 草薙 05%:25 failed
 篠田 05%:05 success
 芝田 05%:87 failed
 多田 05%:57 failed
 冬真 05%:98 failed
 松平 05%:41 failed
 紅  05%:76 failed

 そこは物置か倉庫に使われている部屋で、広さは居間の半分もない。閉じられていたせいか、さらにひどい臭いが充満していて、鼻が曲がりそうになる。床には、足の踏み場もないほど、雑然と物が散らばっている。がらくたの中に、乾ききった画材や壊れたイーゼルの木枠、汚れた布などが混じっていて、屋敷の住人が画家であったことを想像させる。暖炉の焚きつけに使えるのではないかと、草薙が拾い上げた木枠をてきとうな長さに折ると、もう一本、丈夫そうな長めの木枠を杖か武器の代わりに持っていくことにする。冬真は木枠の何本かを手に取ると、もとは画材だったらしい、布と油を巻きつける。これに火をつければ松明になるだろう。

 居間に戻り、暖炉に火を入れる。草薙が、窓にかかっているぼろぼろのカーテンをひっぺがして、かんたんな衝立を作る。身をあたためるか、できれば服を乾かしたほうがいいと、エリカに椅子をすすめる。更に、草薙は、懐にしのばせていた金平糖を全員に一つずつ配る。甘いものを食うと、落ち着くものだ。そう言うと、冬真やルージュも荷物にしのばせていた飴玉を持ちよって、全員がひと息をつくが、残念なことに、それで目下の不安や恐怖が消えるわけではない。エリカと、松平の二人を置いて、もう一度、先ほどの物置を調べに戻る。

 足の踏み場を探しながら、狭い部屋の中を探していると、奥の壁の一面がセメントか何かで塗りこめられていることに気づく。ならされた壁には小柄な人間ていどの大きさの、不自然な染みがあって、よく見ると布や髪の毛のようなものがはみ出している。後じさりするように、壁から離れると、悪臭はますますひどく感じられて、まさかという気にさせられる。誰かの漏らした、ひぃ、という声が耳に届く。

[目星]判定
 市古 25%:97 failed
 草薙 65%:57 success
 篠田 25%:04 success
 芝田 85%:18 success
 多田 95%:51 success
 冬真 25%:22 success
 紅  25%:10 success

[SAN]判定
 草薙 70%: 95 failed SAN-1
 篠田 83%: 41 success
 芝田 68%: 99 failed SAN-1
 多田 57%: 41 success
 冬真 66%: 58 success
 紅  52%: 67 failed SAN-1

 恐ろしくなって、後じさるように廊下に出る。とたん、ルージュの悲鳴が聞こえて、暖炉で身を温めていたエリカと松平も、全員が慌てて駆けつける。彼らの頭上から、赤黒く、生臭いものが垂れかかっていて、ルージュの頭から肩までをべったりと濡らしている。見上げると、天井に大きな染みができていて、赤黒いものをしたたらせながら、今も広がっているのが分かる。目の前で、女性が血まみれになっていくのを見て、市古は顔面まで蒼白になり、エリカは金属質な叫び声を上げた。ルージュは我を忘れそうになる恐怖を必死にこらえながら、少しでも身を拭おうとする。

[幸運]判定
 草薙 70%:45 failed
 芝田 70%:62 failed
 紅  55%:87 failed

[SAN]判定
 市古 48%:92 failed SAN-1d2:2
 エリカ72%:74 failed SAN-1d2:2
 草薙 69%:38 success
 篠田 83%:66 success
 芝田 67%:56 success
 多田 57%:13 success
 冬真 66%:52 success
 松平 46%:16 success
 紅  51%:73 failed SAN-1d4:4

 悲鳴や、どたどたいう足音が途切れて、反動のように周囲が静謐に満たされる。
 すると、頭上から、ぎぃという音が聞こえたと思うと、またすぐに静かになる。
 気のせいだったのかもしれない。だが、このまま放ってもおけない。誰とはなしに、君たちは声をひそめると、身をすくめるようにして互いの顔を見合わせた。


Scene3【2019.06.29更新】


 天井から滴っている、赤黒い液体を避けるようにして、君たちは玄関ホールに戻る。頭から赤黒い液体にひたされたルージュに、草薙が手ぬぐいを差し出すが、容易には落ちず髪も服も嫌なにおいが消えない。それが大量の血であろうことは、誰もが思いながら、誰も口にしない。ここを出たら、新しい服を買って温泉で休んでいくといい、と、草薙があえて穏やかな笑みを浮かべて言う。その口調と表情に少し空気が和みかけるが、玄関から聞こえてきた声で皆の様子が変わる。

 何ごとかと駆けつけてみると、市古や芝田が扉を押し開こうとしている姿と、がちゃがちゃという音で事情が知れる。頑丈な鎖のようなもので、扉が外から閉ざされているのだ。屋敷に閉じ込められたという恐怖以上に、誰かが君たちを屋敷に閉じ込めたのだという事実に、背筋が冷える思いがする。

[SAN]判定
 市古 46%:50 failed SAN-1
 エリカ70%:76 failed SAN-1
 草薙 69%:95 failed SAN-1
 篠田 83%:58 success
 芝田 67%:72 failed SAN-1
 多田 57%:37 success
 冬真 66%:15 success
 松平 46%:43 success
 紅  47%:25 success

 扉はすぐに壊せるようなものではなく、窓にはわざわざ格子がはめられている。恐ろしいのは事実だが、まずはできることをするべきだと、それぞれが目を交わしてうなずきあう。エリカの手には、暖炉で拾ってきたらしい、灰かき棒が握られている。非力な彼女なりに、皆を守るのだという意思なのだろう。冬真は倉庫で拾った木切れや布を使って即席の松明を何本か作る。彼自身は、ふだん杖をついているから、他の者に数本を渡して明かりにしてもらう。

 草薙はメモ書きを手に取ると、書き写していた一階の間取りを見返す。他に、外に出られそうな箇所はないかと、扉や窓の場所を確認するが、その脇に書き込んでいた記述については、言及しない。あちこちの床に残されている獣のような足跡は、猿のようにも犬のようにも見えるが、そのどちらよりもずっと大きくて、ありていにいえば人と変わらない大きさの生き物のそれに見える。アフリカや、逃げ出した動物園の類人猿でもあれば、こんな大きな獣がいるだろうか。あるいは、気のふれた人間が獣に扮することはあるだろうか。そう思いながら、倉庫で拾ったナイフがポケットに放り込まれていることを確認する。

[追跡]判定
 草薙 60%:17 special!

 二階を調べようという話になるが、芝田が強硬に反対する。こんな屋敷を家探ししても意味がないではないか。誰かがいるというなら、なおさら闇雲にうろつくものではない。怪我人だっているのだから、下で大人しくしているほうがいい。臆病風に吹かれたのかもしれないが、彼の意見ももっともだろう。結局、芝田と松平とエリカ、それに多田の四人が一階に留まり、他の者たちが上を調べることにする。

 床板をきしませながら、市古と草薙、篠田と冬真、それにルージュの五人が階段を上がる。ルージュは残った方がよいのではないかという声もあったが、本人は好奇心を優先したのかもしれない。古びた床板が抜けはしないかと、慎重に足を運びながら、何ごともなく二階にたどり着く。

 松明をかざした先には、まっすぐに廊下が伸びていて、左手に四つほど扉が見える。一番手前の部屋は、他よりも明らかに小さく、開いたままの引き戸の奥に、かび臭い洗面台や浴槽が据えられている。浴槽は縁まで黒々とにごった水で満たされている。ルージュが不機嫌そうに、ここで体を洗う気にはなれないね、と冗談口を叩く。血の臭いを漂わせていては、何に襲われるか分かったものではないが、それで腐った水に身を浸そうとは思わない。

 廊下に戻り、草薙が耳をそばだてるが、誰かがいる様子も気配もない。だが、それで何者かが息をひそめていないとはいえませんと、冬真に言われて、一つずつ慎重に扉を開けていくことにする。何が出てくるかしれないから、扉を開くときに正面に立たないほうがいい。冬真の言葉がもっともに思われるほど、この屋敷が異常な状態にあることは明らかだった。

[聞き耳]判定
 市古 25%:90 failed
 草薙 60%:26 success
 篠田 25%:80 failed
 冬真 25%:25 success
 紅  25%:52 failed

 三つある部屋の、最初の扉を開ける。中は薄暗いが、松明の火と窓ごしに入ってくる明かりで様子を窺うことができる。部屋は寝室で、隅に大きなベッドが据えられていて、傍らには、ほこりにまみれた小さなテーブルや棚が置かれている。テーブルの上には、凝った装丁の本と、インク壺やペンが置かれている。ベッドと反対側の壁には、額に入れられた大きな絵が飾られている。

 本を開いてみるが、日記らしい記述はすべて英文で書かれている。篠田と冬真が単語を追ってみると、fear、cults、blasphemyといったいかがわしい数語を拾うことができるが、さすがに読むことはできそうにない。後でエリカに見てもらうしかないだろう。

[英語]判定
 篠田 01%:79 failed
 冬真 01%:81 failed

 二人が日記をたどっている間、他の者が部屋の方々を見てまわる。窓が壊れていて、あるいはここから降りることができないかと調べてみるが、外にはやはり格子が打ち付けられて外すのは難しい。調べているうちに、ルージュが割れた窓で腕をざっくりと切ってしまう。怪我はたいしたものではないが、今はちょっとした怪我が命に係わるかもしれない。すぐに草薙が手当てをしてことなきを得る。

[目星]判定
 市古 25%:40 failed
 草薙 65%:57 success
 紅  25%:99 famble! ルージュは、割れた窓で腕を切り、1d2=1の怪我を負った。

[応急手当]判定
 草薙 30%:03 success 草薙は、ルージュの怪我を手当てして、1d3=2回復させた。

 壁にかけられている絵はピックマンの「地下鉄の事件」で、怪物たちが群れをなして、未知の地下納骨所から、地下鉄の駅の床の割れ目を抜けて現れると、人々に襲いかかる光景が描かれている。あまりにもリアルな描写に、草薙や篠田が胸の悪そうな顔をする。屋敷のあちこちにかけられている絵には、何か意味があるのだろうか?そう考えて、ルージュは首を振る。屋敷の持ち主が、自分を絵の怪物になぞらえて、描かれている「教導」でも行おうとしているのか。憶測でしかないが、いずれにせよ気分のよいものではない。

[オカルトor芸術/絵画]判定
 市古 05%:57 failed
 草薙 20%:19 success
 篠田 85%:50 success
 冬真 55%:62 failed
 紅  85%:50 success

 寝室を出ると、隣の部屋へ足を踏み入れる。そこは書斎に使われていて、壁沿いに並んでいる、四つほどの書架に収められている古い本を見ると、ルージュが口に出して、こいつはたいしたもんだねと呟く。本はほとんどが絵画にまつわるもので、残りはオカルトめいたものが混じっているらしい。その中で、他の本に隠されるように立てられていた一冊を、ルージュが手にとる。なにかの写本の一部を綴じたもので、真っ黒な皮の装丁に、中は英文と図柄がびっしりと書き込まれている。これも、読むのであればエリカに頼るしかないだろうか?大判の本は持ちやすいものではないが、ハンドバッグから出した袋に入れると、抱えるようにして携える。

[図書館]判定
 市古 25%:21 success
 草薙 25%:54 failed
 篠田 25%:83 failed
 芝田 25%:89 failed
 冬真 85%:93 failed
 紅  85%:32 success ルージュは、黒い装丁の本を手に入れた。

 この部屋にも、ピックマンの絵画「食事をする食屍鬼」がかけられている。怪物が人間の屍を貪り食うという、言い訳のしようもない、おぞましい情景が描かれているが、いよいよ感覚が麻痺したのか、それがこの屋敷では当たり前のことのように思えていることに気が付いて愕然とする。正気を取り戻したかのように、冬真は息をつくと、何度も首を振る。

[オカルトor芸術/絵画]判定
 市古 05%:14 failed
 草薙 20%:08 success
 篠田 85%:49 success
 冬真 55%:22 success
 紅  85%:36 success

 扉を出て、廊下の一番奥の、最後の部屋に向かう。扉の前の床が、大きく赤黒く濡れていて、天井の染みがここから垂れたものであることがわかる。血だまりは床だけではなく、扉や壁にも赤黒い染みが飛び散っていて、そこらには獣のような足跡や、何か大きなものが引きずられた跡がある。君たちは、いつまでもこの屋敷にいてはいけないのだということを強く認識させられる。

[SAN]判定
 市古 45%:54 failed SAN-1d3:3
 草薙 68%:92 failed SAN-1d3:2
 篠田 83%:04 success
 冬真 66%:90 failed SAN-1d3:3
 紅  46%:67 failed SAN-1d3:1

 部屋の中はアトリエになっていて、ほこりとカビのにおいに混じって、炭や油のにおいがする。雑然とした部屋中に、描きかけの絵や描きあがった絵が置かれている。どれも優れた絵ではあるのだろうが、壁にかけられていたピックマンの絵画ほどのリアルな迫力は感じられない。その中で、三枚ほど、強烈な印象を与える作品があるが、それは描き手の技術ではなく、描かれているモチーフが理由だった。

 一枚は「生きている壁」といい、人間が、生きたまま壁に塗りこめられて発狂するさまが描かれている。君たちは、その壁が一階の倉庫に塗られていた壁によく似ていることに気がつくと、思わず吐き気をこらえるように口元を手で押さえる。

 もう一枚は「水没」といい、人間が縛られたまま、横たえられている浴槽に、ゆっくりと水が満たされていく様子が描かれている。君たちは、それが先ほど見た、浴室と同じ場所であることにいやがおうでも気づかされる。

 そして、まだ下書きではあるが、描きかけの作品が一枚ある。題名は書かれていないが、人間が、全身からすべての血を抜き取られていくさまが描かれている。君たちは、それが君たちが乗ってきたバスの運転手に似た風貌をしていること、その場所が、いま君たちがいるアトリエのすぐ外、血まみれの廊下であることに気づく。

[SAN]判定
 市古 42%:80 failed SAN-1d3:3
 草薙 66%:38 success
 篠田 83%:83 success
 冬真 63%:75 failed SAN-1d3:1
 紅  45%:84 failed SAN-1d3:3

 その間、一階に残った四人は、暖炉に火をおこすと、古びた椅子に腰を下ろして、身を休めていた。芝田はきょろきょろとして落ち着きがないが、この忌々しい屋敷から逃げる方法がないものか、必死に考えているように見える。松平が、入り口の近くに座っているのは、おそらく、いざというときに他の者を少しでも守るつもりでいるのだろう。

 四人ともが無言のまま、気まずいような静けさがしばらく続くが、ふと、エリカが顔を上げる。何かが聞こえた。彼女の鋭敏な耳は、隣の厨房か、玄関の方から聞こえた、戸が開くような音に気づく。様子を見に行くべきだろうか?訊ねるが、そのつもりがない芝田は、とんでもないと言い、多田は、怪我人がいるのにあまり動くべきではないでしょうという。それでも、放ってもおけないだろうと、松平が一人で厨房に向かうことにする。様子を見たら戻ります、と、青年の姿が扉の向こうに消えるが、エリカは、このときのことをすぐに後悔することになる。

[聞き耳]判定
 エリカ75%:12 special!
 芝田 25%:67 failed
 多田 25%:59 failed
 松平 25%:27 failed

 長身を少しかがめるようにして、松平が厨房に入るが、一見して変わった様子はない。厨房は静かで何も聞こえないが、彼にもう少しだけ注意力があれば、いくつかのことに気がついただろう。例えば、床にある、獣のような足跡に新しいものが増えていることが。

[アイデア]判定
 松平 60%:81 failed

 物陰から、なにか大きなものがおどり出ると、松平の背後からとびかかる。とっさに避けることもできず、うつぶせに倒れた青年の上にそれがのしかかると、倒れた厨房のテーブルや器が大きな音を立てて、隣の部屋にいたエリカたちの耳にも届く。

 慌てて駆け付けると、青年の上に、人ほども大きい、獣のようなものがのしかかっている。暗がりの中に開いた口は、黄色い牙からしたたるよだれで濡れている。暖炉から持ち出した火を芝田がかざすと、おぞましい生き物の姿が暗闇に浮かび上がる。それは一見して犬のようにも見えたが、前かがみに背を丸めた人間のようにも見える。ゴムのような弾力のある皮膚をしていて、足は獣のようで、両手にはかぎ爪が生えている。自分を殺そうとしているものの正体を目の当たりにして、松平は、極度の恐怖に囚われると、全身が硬直したように指先まで動けなくなってしまう。

[SAN]判定
 エリカ70%:84 failed SAN1d6=4
 芝田 67%:99 failed SAN1d6=1
 多田 57%:09 success
 松平 46%:79 failed SAN1d6=5 松平は、一時的狂気[5]に囚われると、その場から動けなくなった(狂人の洞察60%:51)。

獣のようなもの
 筋力17 体力13 体格13 敏捷10 耐久力13
 鉤爪   30% 1d6+1d4
 鉤爪   30% 1d6+1d4
 噛みつき 30% 1d6+1d4

ターン1
 獣?  DEX10 攻撃30%:56 failed
     DEX10 攻撃30%:86 failed
     DEX10 攻撃30%:13 success松平は、獣のようなものに噛みつかれると、1d6+1d4=10の怪我を負うが、気絶(80%:53)はしなかった。

ターン2
 エリカ DEX13-灰かき棒25%:31
 獣のようなものは、逃げていった。

 大きく口を開いた、獣のようなものが、組み伏せられている松平の首すじに深々と歯を突き立てると、鎖骨のあたりがぼきりという嫌な音を立てる。エリカは自分が野犬にのしかかられたおぞましい体験を、目の前に見せられたように思い、叫び声を上げそうになるが、唇を噛んでこらえると、手にしていた灰かき棒を握る手に力を込める。獣のようなものの背中に向けて、思い切り振り下ろすが、力み過ぎて床を強く叩いてしまう。だが、獣のようなものは、それで驚いたのか、青年から離れると、部屋の外に駆け去ってしまう。扉がぎいぎいと揺れる音がする。

 エリカが、力が抜けたように床にへたり込む。多田が慌てたように松平に駆け寄ると、危険な状態だが、まだ息をしているのが分かる。見よう見まねでしかないが、応急処置をするとかろうじて血が止まり、荒い息をして青年が目を開く。エリカは大きな声を出して、二階にいる者たちに助けてと叫び、芝田は、あの化け物がもう一度襲いかかってくるのではないかと、気が気ではない様子であちこちに視線を向けている。

[応急手当]判定
 芝田 30%:75 failed
 多田 30%:17 success 多田は、松平の怪我を手当てして、1d3=2回復させた。

 階下での騒ぎは、二階の奥にいた者たちには、すぐには届かなかったが、この屋敷がおぞましい場所であることは疑念の余地がない。血だまりに背を向けて、一階に戻ろうとするが、戸が開かれたままになっている浴室を目にして、まさかと考えてしまう。

 確かめるべきだろうか。自問しながら、おそるおそるとでもいうように、浴槽に近づくと、細い鎖でつながれている栓を抜く。どろりとした黒い水が、つまりかけた配管から流れていく音が聞こえると、みるみる水かさが減っていく。そして君たちは目にしたのだ。そこには、縛られて、膨れ上がった人間の死体が、沈められていたのである。

[SAN]判定
 市古 38%:76 failed SAN-1d4+1:4 市古は、不定の狂気[7]に囚われると、心因性の視覚障害に陥った。
 草薙 66%:56 success
 篠田 83%:93 failed SAN-1d4+1:3
 冬真 61%:32 success
 紅  41%:35 success

 ありえない叫び声が上がる。それが市古のものであることは、彼自身は気がついてもいない。張り続けていた、精神の糸が切れると、まるでろうそくの火が消えたかのように、唐突に視界が暗くなって何も見えなくなる。それが心因性のショックによるものだ、などと、気がつけるならそもそもこのような事態に陥ったりはしないだろう。助けてくれと叫ぶと、階下からも、エリカが助けを呼ぶ声が耳に届く。動けるものがお互いに駆け付ける。

 全員がひどい有り様で、このおぞましい屋敷に起きている出来事を伝え合うが、まずは怪我人を介抱しなければならない。松平の怪我は深刻で、切った厚布でむりやり縛り付けて、なんとか自力で動けるようになるが、すぐにでも病院に連れて行くべきだろう。市古の目は心因性のもので、エリカが、大丈夫、見えるようになりますと落ち着かせると、かろうじてだが、本当に視界が戻ってくる。一時的な措置に過ぎず、また再発するかもしれないので、病院に連れて行く必要があるのは、松平と同様だった。

[精神分析]判定
 エリカ51%:50 success エリカは、市古の不定の狂気を治療(1d3=2)した。

 居間に集まると、松平と市古の二人を休ませながら、二階で見つけてきた二冊の本を、ルージュがテーブルに乗せる。英文の読めるエリカに読み上げてもらうと、日記はウォルター・コービット・ピックマンが記したもので、画家ピックマンの孫にあたる人物らしい。コービット自身も、新古典主義の画家のようだが、ほとんど無名で、ルージュにも心当たりはない。日記の記述にも、彼が祖父に遠く及ばない苦悩がたびたび綴られていた。

 しばらく日記を読み進めていた、エリカの指が止まる。祖父の絵画とともに、失われた断本を手に入れた、おそるべき、冒涜的、といった記述が散見されて、それ以後、彼は折りかけた筆をとると絵を描き続けているらしい。おそらく、断本というものが、黒い装丁の本だろうと思える。試しに少し開いてみるが、こちらははるかに難解な内容で、読み解くには数週間はかかるだろう。「屍食教典儀」という表題を見ても、まっとうな内容が書かれているとは思えない。

 コービットの日記は数日から数週間おきに綴られていて、その中に、一人目のモデル、二人目のモデルに関する記述が残されている。彼らは本当に屋敷に迷い込んだ者たちだったが、ピックマンの絵画も、コービットの芸術も理解しないのだと、乱暴な調子で批判されていた。もっとも新しい記述には、三人目のモデル、という語が書かれていて、彼がこれまで試みた、猟奇的な「芸術」の手法が、ところどころ曖昧な表現にぼかしながらも、はっきりと記されている。彼が屋敷のまわりに解き放っている野犬たちや、いかがわしい儀式の記述も見つけることができた。

 もはや疑う余地はない。この屋敷には、ウォルター・コービットが、気のふれた殺人鬼が潜んでいる。そして彼は窓をふさぎ、玄関を閉ざして、君たちをこの屋敷に閉じ込めている!

 まだ、逃げ道は、ある。そのことに気がついたのは、多田とルージュである。玄関の扉は、外から鎖をかけられている。つまり、もしも鎖をかけたのがコービットなら、彼は、その後でどこからか屋敷の中に戻っている。そこから、逃げることができる。彼らが、そのことを言うと、君たちは、まだ希望が存在することを知って、少しだけ安堵した表情を浮かべる。

 会話に加わらず、無言のままでいる芝田は別のことも考えている。ウォルター・コービットの目的が、この猟奇的な殺人を犯すことそのものだとすれば、逃げ遅れた、最後の一人が襲われることになるのではないか。松平が襲われたのは、彼が一人のときだったではないか。ならば、逃げ道を見つけたら、誰かが殺人鬼を足止めしているあいだに逃げるのが、もっとも大勢が助かる方法かもしれない。

 そのような提案は受け入れてもらえないだろう。そして彼らは、一階の階段室に閉ざされていた南京錠、地下室へ通じる扉が、今は開けられていることに気がついた。

[アイデア]判定
 市古 70%:75 failed
 エリカ70%:76 failed
 草薙 70%:96 failed
 篠田 80%:95 failed
 芝田 60%:13 success
 多田 85%:64 success
 冬真 85%:87 failed
 松平 60%:62 failed
 紅  75%:55 success


Scene4【2019.07.14更新】


 階段室の扉が半ば開いている。きしんだ音を立てて、扉がゆっくりと揺れているのは、地下から風が吹きあがっているせいだろうか。中に入るか、という誰かの呟きに、こんなものは罠に決まっているだろう、と芝田が拒否の態度を見せる。

 屋敷の中に、ウォルター・コービットが、気のふれた殺人鬼が隠れているという事実は動かしがたい。そういえば、と前置きをした篠田が、扉にかけられていた錠前はどこにいったのかしらねと呟くと、冬真が、眼鏡の位置を指で直しながら口を開く。殺人鬼は、玄関の扉を鎖で縛って、外からカギをかけた。その殺人鬼が、屋敷の中にいるなら、どこかから、屋敷の中に入る場所がある筈だ。一階と二階に、そのような出入り口はなかったのだから、外との出入り口が、地下にあるのかもしれない。ただ、芝田のいう通り、殺人鬼がそこに罠を置いていても不思議はない。

 日記の記述を信じるなら、ウォルター・コービットは、人間が死ぬ姿を絵のモデルにするために、おぞましい行為を繰り返しているかに見える。狭い地下室に入り込んだあげく、襲われでもしたら、たまらない。だが、この状況で何もしないわけにもいかない。

 できる準備はすべてするべきだろうと、草薙が提案する。手近な椅子を躊躇なく壊すと、倉庫にあった角材や、カーテンを使って、しっかりとした縄ばしごを一つ、組み上げてしまう。誰に持たせようかと考えたが、松平に渡したのは、屋敷からの出口が見つかったときに、怪我をした彼を、最初に逃がすことができるかもしれないと考えてのことである。一番若い彼を一番先に逃がそうというのは、ほとんどの者が共有している暗黙の了解らしい。

 もう少し、武器になるものが作れないかと、草薙や多田が試みるが、先にナイフをくくり付けた槍を一本作るのがせいぜいだった。古来から、槍は足軽や兵隊に与えられたほど優れた武器でした、とは多田の言葉である。槍は草薙が、多田は長い箒の柄を手にすると、握り心地を確かめる。外に出ても、まだ野犬がうろついているかもしれないから、一人で遠くには行かないようにと皆に念を押しておく。

[アイデア]判定
 市古 70%:89 failed
 エリカ70%:37 success
 草薙 70%:41 success
 篠田 80%:26 success
 芝田 60%:18 success
 多田 85%:62 success
 冬真 85%:28 success
 松平 60%:81 failed
 紅  75%:98 failed

[制作]判定(縄ばしごの作成)
 草薙 05%x2=10%:03 critical!

[制作]判定(武器の作成)
 草薙 05%x5=25%:19 success
 多田 05%x5=25%:73 failed

 ゆっくりと扉を開いて、暗い中に篠田が松明をかざしてみると、地下に降りる細い階段が続いているのが見える。階段はそれほど深くはないのだろうが、下のほうは真っ暗で、降りてみないと様子までは分かりそうにない。木製の階段は幅がせまく、普通に歩けば一人ずつしか降りることができそうにない。最初に、松明を手にした篠田が、続いて、アトリエにあった絵を一枚携えたルージュが、踏み外さないようにそろそろと足を下ろす。ルージュは、絵を盾にすれば、殺人鬼も躊躇するのではないかと考えていて、卑怯かと思わなくもなかったが、命に代えられるものではない。二階で見つけた本は、袋に入れて体にくくり付けている。

 更にその後ろから、松平とエリカ、それに松明を手にした多田が続く。市古と草薙、冬真と芝田の四人は、階上で周囲の様子に目を配る。こちらは、草薙と芝田が、一本ずつ松明を手にしていて、暗い屋敷に灯りを投げかけている。不安と恐怖がないわけではないが、武器と灯りを手にしているだけ、多少は平静を保つ役に立つ。

 暗い地下室は、屋敷よりもさらにかび臭い上に、よどんだ空気の中に、更に不快な臭いが混じっているのが分かる。篠田と多田が灯りをかかげると、そこは殺風景な場所で、十メートル四方くらいの空間が何本もの柱で支えられている。床は固められた土がむき出しになっているが、柱や梁は木で組まれているから、うっかり松明の火が燃え移らないように気を付けたほうがよさそうだ。

 そこらに壊れた木箱や、麻袋らしきものが転がっていて、一見して誰かが隠れている様子はない。奥のほうに、床に横たわっている、黒っぽいものがある。おそるおそる近寄ってみると、それが、君たちが乗ってきたマイクロバスの運転手であることに気づく。見覚えのある、黒い服を着た男は、上着にべったりと赤黒いものがこびりついた跡があり、首が異様な方向に曲がっていて、息をしていないことは誰の目にもわかる。

[SAN]判定
 エリカ66%:72 failed SAN-1d3:2
 篠田 80%:93 failed SAN-1d3:2
 多田 57%:07 success
 松平 41%:81 failed SAN-1d3:2 松平は、不定の狂気[5]に囚われると、死体に対するフェティッシュに陥った。
 紅  41%:57 failed SAN-1d3:1

 松平の顔色がみるみる蒼白になると、頭の中で、あの死体が今にも立ち上がってくるのだと信じて疑うことができなくなる。今のうちに、頭でも足でも潰してしまえば、死体が動いても大丈夫ですよねと、半ば震えながら呟いた言葉に、仰天したエリカが優しく諭すと、すぐに平静を取り戻したらしく、すみませんと頭を下げる。

[精神分析]判定
 エリカ51%:07 critical! エリカは、松平の不定の狂気を治療(1d3=2)した。

 エリカは、松平を元気づけるように笑みを向けてから、今度は気が進まないように息をつくと、動かない死体の傍らに屈みこんで、血まみれの上着を探ってみる。灯りをかかげた篠田が、何をしているのかとのぞき込むが、すぐに得心する。エリカがつまみ上げたのは、彼らが乗ってきたマイクロバスのカギだった。これで、バスに戻れば、逃げることができる。わずかでも、屋敷から逃げた後のことを考えることができて、君たちの顔が少しだけ明るくなる。

 更に、死体が転がっているすぐ近く、柱の陰になっているあたりに、灯りを向けると、壁の一画に、数十センチほどの大きさの四角い穴が開いているのを見つける。穴のまわりの床に散らばっている、石や土くれを見るに、地上からゴミや石炭を落とすためのシュートらしい。狭苦しいが、人ひとりであれば充分に通れそうな広さがある!垂直に伸びていて、上は真っ暗で様子が分からないが、手足を踏ん張れば一人でも登れそうだし、下から持ち上げるか、あるいは縄ばしごを垂らすことができれば、容易に登れるだろう。

 だが、君たちが一縷の望みに、目を奪われたとき、背後で空気が動いた気配がする。振り返ると、首がねじまがった、黒服の運転手の死体が立ち上がっていて、ふらふらとした動きで近づいてくる!複数の悲鳴が、地下室の壁に反響する。

[SAN]判定
 エリカ64%:97 failed SAN-1d8:1
 篠田 78%:88 failed SAN-1d8:8 篠田は、一時的狂気[0]に囚われると、昏迷した(狂人の洞察70%:61)。
 多田 57%:17 success SAN-1
 松平 41%:98 failed SAN-1d8:3
 紅  40%:57 failed SAN-1d8:7 ルージュは、不定の狂気[2]に囚われると、死体に対する激しい恐怖症に陥った(狂人の洞察75%:98)。

 それまで平静に振舞っていたルージュが、明らかに精神の平衡を失って、携えていた絵も、脳裏に抱えていた計画もすべて放り捨てると、目の前の恐怖からただ逃げ出そうと、背を向けて階段を駆け上がる。篠田も、完全に自我を失って、すべての現実を放棄すると、ただ呆然とその場に立ち尽くして、手にしていた松明も落とすと、床の上でぱちぱちと燃え続けるに任せている。まさかこの場面で、これまで頼りになっていた二人の女性がパニックに陥るとは思いもよらず、地下室が騒然とする。

運転手の死体
 筋力22 体力18 体格14 敏捷07 耐久力16
 噛みつき 30% 1d3
 ダメージ半減

ターン1
 松平  DEX14 松平は、死体を取り押さえようとする。
 篠田  DEX13 篠田は、昏迷して立ち尽くしている(1/8)。
 エリカ DEX13 エリカは、大声で助けを呼ぶと、灰かき棒を握りしめた。
 紅   DEX11 ルージュは、恐ろしくなって、階段を駆け上がった。
 多田  DEX08 多田は、死体を取り押さえようとする。
 死体  DEX07 自動成功 篠田は、死体に組み付かれると、押し倒された。

 死体はまっすぐに、篠田に近づくが、彼女はそれを避けようとするそぶりもない。組みつかれて、そのまま押し倒されるが、抵抗すらしない。エリカが助けを呼んで叫び、ルージュが階段を駆け上がってくる姿を見て、階上の四人も地下で何ごとかが起きていることを知らされる。

ターン2
 市古  DEX14 市古は、階段を上ってきたルージュを捕まえた。
 松平  DEX14 筋力(11-22)00%:70 failed 松平は、篠田から死体を引き剥がそうとするが、抵抗された。
 篠田  DEX13 篠田は、死体にのしかかられている(2/8)。
 エリカ DEX13 攻撃25%:35 failed エリカは、死体を灰かき棒(1d8)で殴りつけるが、外れた。
 草薙  DEX12 草薙は、階段を降りると、篠田が死体に襲われている姿を目にした。
 紅   DEX11 ルージュは、市古に抱えられている。
 多田  DEX08 攻撃25%:67 failed 多田は、死体を長柄(1d6)で殴りつけるが、外れた。
 死体  DEX07 自動成功 篠田は、死体に噛みつかれると、1d3=3の怪我を負った(耐久13/16)。
 冬真  DEX06 冬真は、周囲を警戒している。
 芝田  DEX00 芝田は、周囲を警戒している(行動順を遅らせている)。

[SAN]判定
 草薙 66%:96 failed SAN-1d8:4

 駆け上がってきたルージュに抱き着かれた市古は、彼女を必死になだめようとする。入れ替わるように、草薙が、松明を手にしたまま階段を下りていく。地下室では、首のねじ曲がった死体が篠田にのしかかっていて、松平と、エリカと、多田が必死に引きはがそうとしている姿が目に入る。死体は、信じられないほどの怪力で松平を振りほどくと、黄色い歯で、篠田の細い首筋にかぶりつく。動物の牙のような鋭さはないが、人間の死体が人間を食い殺そうとする、おぞましい姿に気をくじかれそうになる。

 草薙が駆け寄りながら、逃げ道を探してもらうよう多田に言うと、未来のある若者よりも、年寄りが危険を引き受けますと返されるが、草薙が、私も年寄りだから、若い者を先導してくれと言うと、多田もしぶしぶうなずいて、松明と、松平が放っていた縄ばしごを拾う。

ターン3
 市古  DEX14 市古は、ルージュをなだめている。
 松平  DEX14 松平は、草薙と力を合わせて、死体を引き剥がそうとする(筋力11+11=22)。
 篠田  DEX13 篠田は、死体にのしかかられている(3/8)。
 エリカ DEX13 攻撃25%:14 エリカは、死体を灰かき棒(1d8)で殴り、1d8÷2=4の傷を負わせた(耐久12/16)。
 草薙  DEX12 筋力(22-22)50%:70 failed 草薙と松平は、篠田から死体を引き剥がそうとするが、抵抗された。
 紅   DEX11 ルージュは、市古に抱えられている。
 多田  DEX08 多田は、松明をかざして、シュートに近づいた。
 死体  DEX07 自動成功 篠田は、死体に噛みつかれると、1d3=1の怪我を負った(耐久12/16)。
 冬真  DEX06 冬真は、階段を降りると、篠田が死体に襲われている姿を目にした。
 芝田  DEX00 芝田は、獣のようなものが、すさまじい吠え声とともに、階段を駆け下りてくるのを見た。

 松平と草薙は、二人がかりで死体を引きはがそうとするが、化け物は力任せに振りほどくと、黄色い歯を篠田に突き立てる。エリカが思い切り振り下ろした灰かき棒で、死体の首の後ろあたりを打ち据える。ふつうの人間なら昏倒するところだろうが、化け物は痛みすら感じていないように見える。多田は松明をかざして、シュートの上の様子を窺うと、四角い垂直な穴を数メートル登ったところが、金属の蓋で閉じられているのが見える。裏から思い切りたたけば、蓋を外せるかもしれない。

 階上では、市古が、ルージュを必死になだめている。正気を失っている女性を抑えるのは容易ではないが、辛うじて抱きかかえていることはできる。冬真が、草薙に続いて階段を降りると、おぞましい惨状に息をのむが、平静は失わずに、冷静に事態を把握する。灰かき棒を渡してください、とエリカに言うと、上に行ってルージュを落ち着かせるように頼む。このときはまだ、獣のようなものが、二階から階段を駆け下りてくる姿に冬真は気がついていなかった。

[SAN]判定
 冬真 61%:79 failed SAN-1d8:2

獣のようなもの(ウォルター・コービット)
 筋力17 体力13 体格13 敏捷10 耐久力13
 鉤爪   30% 1d6+1d4
 鉤爪   30% 1d6+1d4
 噛みつき 30% 1d6+1d4

ターン4
 芝田  DEX16 芝田は、身構えながら、獣のようなものを挑発する。
 市古  DEX14 市古は、ルージュをなだめている。
 松平  DEX14 松平は、草薙と力を合わせて、死体を引き剥がそうとする(筋力11+11=22)。
 篠田  DEX13 篠田は、死体にのしかかられている(4/8)。
 エリカ DEX13 エリカは、灰かき棒を冬真に手渡すと、階段を駆け上がった。
 草薙  DEX12 筋力(22-22)50%:80 failed 草薙と松平は、篠田から死体を引き剥がそうとするが、抵抗された。
 紅   DEX11 ルージュは、市古に抱えられている。
 獣?  DEX10 攻撃30%:34 failed
     DEX10 攻撃30%:86 failed
     DEX10 攻撃30%:43 failed
 多田  DEX08 多田は、シュートを登ろうとしたが、失敗した(登攀40%:94)。
 死体  DEX07 自動成功 篠田は、死体に噛みつかれると、1d3=3の怪我を負った耐久(09/16)。
 冬真  DEX06 攻撃70%:62 success 冬真は、死体を灰かき棒(1d8)で殴り、1d8÷2=3の傷を負わせた(耐久09/16)。

[SAN]判定
 市古 36%:34 success
 紅  33%:16 success

 芝田は、化け物からよく見える場所に立つと、いっそ扉でも窓でも破らせることができないかと挑発する。だが、階段の途中で止まった化け物は、自分に怯んでいない芝田の様子に不満そうに顔をゆがめると、爪と牙をむき出して恐ろしげに振り回す。思惑が外れた芝田だが、そのおかげで重大な事実を知ることができる。ゴムのような弾力のある皮膚を持つ、牙のある犬のような顔に、鉤爪のある手を持ったこの化け物は、純然たる知性を持っている。この人ならぬものが、殺人鬼ウォルター・コービットなのだということを確信する!

 逃げ道はあったのかと、芝田が背後に向けて叫ぶと、ちょうど階段を上ってきたエリカが、驚いた声で、はい、と答える。こっちは任せて、中国の姉さんを何とかして逃げるんだ、という芝田の言葉に、まさか一番利己的に見えていた彼がそのようなことを言うとは思いもよらず、エリカはもう一度、はい、と答えた。

ターン5
 芝田  DEX16 芝田は、身構えながら、獣のようなものを挑発する。
 市古  DEX14 市古は、ルージュをエリカに預けると、角材を手に取った。
 松平  DEX14 松平は、草薙と力を合わせて、死体を引き剥がそうとする(筋力11+11=22)。
 篠田  DEX13 篠田は、死体にのしかかられている(5/8)。
 エリカ DEX13 エリカは、ルージュを落ち着かせようとするが、うまくいかなかった(精神分析51%:54)。
 草薙  DEX12 筋力(22-22)50%:16 success 草薙と松平は、死体を力ずくで引き剥がした。
 紅   DEX11 ルージュは、エリカになだめられている。
 獣?  DEX10 攻撃30%:03 success 芝田(回避52%:89)は、コービットに引き裂かれると、1d6+1d4=6の怪我を負うが、気絶(60%:32)はしなかった(耐久06/12)。
     DEX10 攻撃30%:58 failed
     DEX10 攻撃30%:44 failed
 多田  DEX08 多田は、シュートをよじ登ると、蓋を叩きあけて、屋敷の外に出た(登攀40%:40)。
 死体  DEX07 死体は、篠田から引きはがされた。
 冬真  DEX06 攻撃70%:45 success 冬真は、死体を灰かき棒(1d8)で殴り、1d8÷2=2の傷を負わせた(耐久07/16)。

 エリカが市古からルージュを任されると、興奮した彼女をなだめようとするが、焦りが先に立ってしまい、うまくいかない。その間、芝田は、少しでも時間を稼ごうとするが、コービットの鉤爪に引き裂かれて、赤い鮮血が階段に飛び散った。手の空いた市古が、角材を手に、加勢に向かおうとする。

 地下室では、松平と草薙が、ようやく篠田から死体を引きはがして、そのまま二人で羽交い絞めにすると、冬真が灰かき棒で殴りつける。死体は痛みを感じるそぶりすら見せないが、それなら、動けなくなるまで、殴り倒せばよい。篠田はまだ呆然としているが、うめき声を上げていて、じきに正気を取り戻しそうに見える。

 多田は松明を床に置いて、縄ばしごだけを携えると狭いシュートをよじ登る。てっぺんが金属の蓋で閉じられているが、思い切り叩くと外に開いて、霧か霞にけぶっている屋敷の外が見える。これで皆が助かるかもしれないと、ひやりと濡れている、土の地面に身を乗り出した。

ターン6
 芝田  DEX16 芝田は、市古と入れ替わると、後ろに下がった。
 市古  DEX14 攻撃80%:04 success 市古は、コービットを角材(1d6)で殴り、1d6=2の怪我を負わせた(耐久11/13)。
 松平  DEX14 松平は、草薙と力を合わせて、死体を羽交い絞めにする(筋力11+11=22)。
 篠田  DEX13 篠田は、呆然としている(6/8)。
 エリカ DEX13 エリカは、ルージュをなだめると、落ち着かせた(精神分析51%:18 1d3=1)。
 草薙  DEX12 筋力(22-22)50%:31 success 草薙と松平は、死体を羽交い絞めにしている。
 紅   DEX11 ルージュは、エリカになだめられて、平静を取り戻した。
 獣?  DEX10 攻撃30%:63 failed
     DEX10 攻撃30%:10 success 市古(回避68%:57)は、コービットに引き裂かれそうになったが、避けた。
     DEX10 攻撃30%:61 failed
 多田  DEX08 多田は、シュートの上から、縄ばしごを下ろした。
 死体  DEX07 死体は、松平と草薙に、羽交い絞めにされている。
 冬真  DEX06 攻撃70%:45 success 冬真は、死体を灰かき棒(1d8)で殴り、1d8÷2=4の傷を負わせた(耐久03/16)。

 階上では、芝田と入れ替わった市古が、加勢つかまつる、と、芝居がかった口調で角材を振り下ろす。時代劇の殺陣で学んだ技術だが、得物を振り回す動きはさまになっていて、コービットを打ち据えると、鉤爪の一撃もかわしてみせた。エリカはその間に、ルージュをなだめて、平静を失っていた彼女の目の色が戻るのを見ると、安堵の息をつく。

 地下室では、松平と草薙が、篠田から引き剥がした死体をそのまま羽交い絞めにして、冬真が灰かき棒で殴りつけると、ようやく動きが鈍くなってきたかに見える。地上に出た多田は、携えていた縄ばしごをシュートに下ろして、これで皆を逃す準備ができる。

ターン7
 芝田  DEX16 芝田は、後ろに下がると、様子を見ている。
 市古  DEX14 攻撃80%:43 success 市古は、コービットを角材(1d6)で殴り、1d6=5の怪我を負わせた(耐久6/13)。
 松平  DEX14 松平は、草薙と力を合わせて、死体を羽交い絞めにする(筋力11+11=22)。
 篠田  DEX13 篠田は、呆然としている(7/8)。
 エリカ DEX13 エリカは、ルージュを抱えながら、階段を降りた。
 草薙  DEX12 筋力(22-22)50%:15 success 草薙と松平は、死体を羽交い絞めにしている。
 紅   DEX11 ルージュは、エリカに抱えられて、階段を降りた。
 獣?  DEX10 攻撃30%:16 success 市古(回避68%:36)は、コービットに引き裂かれそうになったが、避けた。
     DEX10 攻撃30%:23 success 市古(回避68%:69)は、コービットに引き裂かれると、1d6+1d4=10の怪我を負うが、気絶(65%:18)はしなかった(耐久03/13)。
     DEX10 攻撃30%:62 failed
 多田  DEX08 多田は、屋敷の周囲の様子を見ている。
 死体  DEX07 死体は、松平と草薙に、羽交い絞めにされている。
 冬真  DEX06 攻撃70%:44 success 冬真は、死体を灰かき棒(1d8)で殴り、1d8÷2=3の傷を負わせて、倒した(耐久00/16)。

 エリカはルージュを抱えるようにして、狭い階段を一歩ずつ降りる。死体を見て、恐怖症が再発するかもしれないから、なるべく自分の体でルージュの視線を遮るように、気を遣いながら降りていくと、松平と草薙が羽交い絞めにした死体を冬真が殴りつけて、崩れ落ちた死体が、今度こそ二度と動かない、本物の死体になったところを目の当たりにする。

 これで逃げることができる。そう考えたエリカの背後から、悲鳴が聞こえる。肉切り包丁のようなコービットの鉤爪で、深々と引き裂かれた市古が、大きくよろけてバランスを崩していた。裂かれた傷の大きさも、吹き出した血の量を見ても、尋常な怪我ではない。

 この状況で、芝田は迷わずに身を翻すと、地下に続く階段に飛び込んだ。誰だって自分の身が惜しいのだから、当然の行為である。だが、芝田は、お前も飛べ、と背後を振り向きもせずに叫ぶと、階段を駆け下りるのではなく、あえて跳躍して飛び降りた。下には仲間がいる。化け物の鉤爪で引き裂かれるよりも、降り損なって怪我をする方が、まだしも生きていられるかもしれないではないか!

ターン8
 芝田  DEX16 芝田は、階段から飛び降りる(跳躍25%:39)と、落下して、1d6=3の怪我を負い、気絶(60%:61)した(耐久03/12)。
 市古  DEX14 市古は、階段から飛び降りる(跳躍25%:03)と、無事に床に降りることができた。
 獣?  DEX10 コービットは、頭上から地下を見下ろしている。

 バランスを崩した芝田は、背中を強く打つと、打ちどころが悪かったのか、そのまま気を失ってしまう。彼に続いて飛び降りた市古は、アクション映画のように華麗に降りると、そのまま背後を、頭上を見上げる。鋭い鉤爪を持ち、むき出した牙からはよだれをしたたらせているウォルター・コービットは、血に飢えた獣のように追いかけては来ず、明らかに地下に降りるのを躊躇している。

 コービットには知性があり、すでに痛めつけられている彼が、武器を手にした人々の中に飛び込んだとしても、全員で押さえつけられたところを袋叩きにされてしまいかねない。彼は恐れを知らない、ただの化け物ではない。

 その間に、草薙が気つけをして芝田の目を覚まさせる。ひどい怪我だが、手当をするのは逃げてからだと叱咤されて、不満そうな顔で垂らされていた縄ばしごをよじ登る。階段の前に、灰かき棒を構えた冬真が立ちはだかって、その間に、ルージュとエリカが、正気を取り戻した篠田が、市古と松平が、次々と縄ばしごを登っていく。

 人を殺しても、殺されることを恐れるコービットは、殺人鬼としても三流なのだ。すべてを察した草薙が、槍を構えて階段を駆け上がると、化け物は驚いて二階へと逃げていく。すぐに取って返して地下に降りると、冬真に続いて縄ばしごを登る。これで全員が屋敷の外に出ることができた。傷ついた者ばかりだが、誰も逃げ損ねた者はいない。

 ルージュが忌々しげに、アトリエから持ち出していた油を地下室の出口にぶちまける。止める暇もなく、芝田が松明を放り投げて、大きなものではないが火が屋敷に燃え移った。あわてて消し止められるかもしれないし、こんなおぞましい屋敷が燃えてしまうならそれでもよい。だが、今は逃げるだけの時間が稼げればそれでよい。芝田はそのまま、生存本能のままに、霧と霞の中で皆を先導するように森の中に向かう。不思議と、誰も彼を疑わず、十分ほど歩いたところに、彼らが乗ってきたマイクロバスが停められているのを見つける。全員が車に飛び込み、中からカギをかけると、どこも見えない中をむやみに走り出すのではなく、朝を待って全員が身を休めることを選ぶ。

[ナビゲート]判定
 市古 10%:58 failed
 エリカ10%:58 failed
 草薙 25%:53 failed
 篠田 10%:71 failed
 芝田 10%:07 success
 多田 10%:27 failed
 冬真 10%:46 failed
 松平 10%:24 failed
 紅  10%:35 failed

 長い長い夜が明けた。しばらくは木々の間をたゆたっている霞に視界が奪われていたが、数刻もしないうちに、晴れてきて周囲が見渡せるようになる。エリカがキーを取り出して、エンジンを動かすと、周囲に気を配りながらマイクロバスを走らせる。彼らの緊張は、車道が見つかるまで、そして、彼らのいる場所がカー・ナビゲーション・システムの画面に映し出されるまで続いたが、人間の世界に戻ることができると、あの屋敷はどうなったのか、どこにあったのかを気にしながら、やがて安堵の中に恐怖を忘れてしまう。日が差し込んできて、ようやく、恐る恐るといった体で、窓を開けることができる。

 君たちは、ひどい事故で怪我人が出た、野犬のような動物に襲われた、そう言って近くの病院に駆け込んだ。警察にも事情を聞かれたが、君たちの怪我は確かに牙や爪によるもので、あまりにもひどい怪我なので、大きなクマにでも襲われたのかもしれないと結論づけられる。だが行方不明になった不幸な運転手の姿は見つかることがなかったし、山狩りをしても一頭の野犬すらも見つけることはできなかった。

 このおぞましいできごとを、誰も記憶にとどめようとはせず、君たちの何人かは、治療や療養の中で、その後も会う機会があったかもしれない。一枚の絵が、香港の古物商に流れてきて、女主人はそれを撮影すると彼女の知り合いの数人に送った。それは製作者は不明とされているが、彼を知る者には、彼の生涯でも最もすぐれた作品であると認めることができる。炎の中に自らを焼く姿を描いたその作品は、題名を「絶望」といった。

絵




総評・解説


【シナリオの背景】
 屋敷の主人である、ウォルター・コービットは、祖父ピックマンと同じ屍食鬼の血を引く一族である。祖父は「描いた絵が魔道書扱いになる」ほどの天才的な画家で、コービットは祖父に遠く及ばなかったが、ある時、祖父の絵画と魔道書「屍食教典儀」の断本を手に入れる。彼がもとから正気を失っていたのか、魔道書を読み進めていくうちに正気を失っていったのかは今となっては知る由もない。
 やがて、コービットは屋敷に迷い込んだ者を殺害して、その姿をモチーフに絵を描くようになった。マイクロバスの運転手を殺害したコービットは、乗客の君たちも屋敷に誘い込もうとしている。

【シナリオの達成条件】
 TRUE:全員生きて逃げた
 NEUTRAL:屋敷から逃げた
 BAD:コービットにころされる以外の犠牲者がいた(じさつふくむ)

【シナリオのポイント】
・暖炉には、シナリオ最強の武器「灰かき棒(1d8+1)」がある。
・書斎には、魔道書「屍食教典儀の断本」がある。
 クトゥルフ神話+4%、黒い束縛、食屍鬼との接触、復活
・ピックマンの絵画は、オカルトまたは芸術/絵画判定にクリティカル成功すると、クトゥルフ神話+1%を得ることができる。
・地下室から脱出するためのシュートは、登攀判定で上ることができる。
・運転手の死体が、マイクロバスのキーを持っている。
・黒い束縛の儀式は一週間を要するが、
 コービットはこれを復活と組み合わせることですぐに効果があるものにした。
 皮肉なことに、この点で彼は天才だった。

【シーン4における、コービットたちの行動】
・コービットは、人間並みの知能を持ち、攻撃力が高いが耐久は人間並みで行動順が遅い。
 探索者が一人か二人になると襲いかかる。
・運転手の死体は、知性はなく、攻撃力は低いがダメージ半減の特性を持っている。
 コービットの命令で、シュートに近づいた、一番弱そうな者に襲いかかる。
・野犬は、探索者と同じ頭数いる。
 コービットの命令で、屋敷から少し離れたところで、通りがかった者に襲いかかる。
 ただし、本来臆病で、しかも傷ついているので、自分たちの半分以下の人数でなければ襲ってこない。

【総評】
 シナリオの難易度は高めにしたつもりで、一人二人は犠牲者が出る想定のバランスにしていましたので、全員生還は意外でした。シーン4で芝田さんの方針が「仲間を見捨てる:Yes」だったので、あそこで芝田さんが逃げたら市古さんも逃げるよね、という処理にしていますが(明らかに一階ぶんの落下ダメージよりコービットに殴られる方が痛いですから)、それがなければ犠牲者が出ていたと思います。
 上記もあって、個人的な評価ですが、MVPは行動方針により全員脱出のきっかけを作った芝田さんを。準MVPは灰かき棒を発見して、逃げるための車に言及したエリカさんと、バスのキーに言及して、縄ばしごを用意した草薙さんを挙げたいと思います。


探索者の紹介(五十音順)


絵  名前:市古 涼輔(いちこ・りょうすけ) 21歳・男 出身:富山 職業:役者(エンターテイナー) 口調:テンションが上がると時代がかった口調
 正気度36/49 耐久力03/13 アイデア70 幸運50 知識80 db+0
 筋力12 体力09 体格12 知性14 精神10 敏捷14 外見13 教育16
 主な技能(%)
  職320:言いくるめ05、回避28+40、聞き耳25、芸術(演技)05+80、信用15+60、心理学05、変装01+80、刀剣20+60
  他140:母国語(日本語)80+10、応急手当30+10、写真術10+60、運転(自動車)20+60、クトゥルフ神話00
 基本方針:知恵と勇気

絵  名前:エリカ 20代・女 出身:イギリス 職業:歌手(エンターテイナー) 口調:〜よ。〜わ。
 正気度63/72 耐久力06/12 アイデア70 幸運75 知識65 db+0
 筋力10 体力13 体格11 知性14 精神15 敏捷13 外見15 教育13
 主な技能(%)
  職260:言いくるめ05、回避26、聞き耳25+50、芸術(歌)05+90、信用15+50、心理学05+20、変装01、精神分析01+50
  他140:母国語(英語)65+20、言語(日本語)01+80、運転(自動車)20+40、クトゥルフ神話00
 基本方針:知恵と勇気

絵  名前:草薙 泰雄(くさなぎ・やすお) 56歳・男 出身:日本 職業:猟師(狩人) 口調:穏やかな男性口調
 正気度62/70 耐久力13/13 アイデア70 幸運70 知識75 db+1D4
 筋力12-1 体力11 体格14 知性14 精神14 敏捷13-1 外見16 教育13+2
 主な技能(%)
  職300:武器(ライフル)25+65、隠れる10+40、聞き耳25+35、忍び歩き10+50、追跡10+50、登攀40+20、目星25+40、応急手当30
  他140:MA01+45、信用15+05、博物学10+40、オカルト05+15、ナビゲート10+15、製作(料理)05+20、回避24、母国語(日本語)75、クトゥルフ神話00
 基本方針:知恵と勇気

絵  名前:篠田さん(しのださん) 年齢不詳・女 出身:京都(自称) 職業:神主(聖職者) 口調:関西弁
 正気度70/83 耐久力09/16 アイデア80 幸運85 知識40 db+1D4
 筋力11 体力17 体格14 知性16 精神17 敏捷13 外見15 教育08
 主な技能(%)
  職160:聞き耳25、経理10、心理学05+80、説得15、図書館25、中国語01、歴史20、オカルト05+80
  他160:応急手当30+50、組みつき25+60、回避26、母国語(日本語)40+50、クトゥルフ神話01
 基本方針:好奇心

絵  名前:芝田 格(しばた・いたる) 40代・男 出身:日本 職業:熟練のスリ(犯罪者) 口調:やや粗く口数少ない
 正気度66/68 耐久力03/12 アイデア60 幸運70 知識75 db+0
 筋力11 体力11 体格12 知性12 精神14 敏捷16 外見13 教育15
 主な技能(%)
  職300:言いくるめ05+60、鍵開け01、拳銃20、忍び歩き10+60、値切り05、変装01+60、目星25+60、隠れる10+60
  他120:回避32+20、追跡10+70、運転(自動車)20+30、母国語(日本語)75、クトゥルフ神話00
 基本方針:安心安全

絵  名前:多田 文内(ただ・ぶんない) 62歳・男 出身:奈良 職業:古書店店主(古物研究家) 口調:僕、貴方、ゆっくりな物腰の丁寧口調
 正気度56/59 耐久力13/13 アイデア85 幸運60 知識99 db+0
 筋力09-1 体力11-1 体格16 知性17 精神12 敏捷08 外見11 教育17+3
 主な技能(%)
  職400:芸術(古書)05+70、製作(古書)05、図書館25+70、値切り05+50、言語(中国語)01+70、目星25+70、歴史20+70
  他170:運転(自動車)20+10、経理10+50、人類学01+60、博物学10+50、母国語(日本語)99、回避16、クトゥルフ神話00
 基本方針:安心安全

絵  名前:冬真 初雷(とうま・はつらい) 33歳・男 出身:岩手 職業:民俗学教授 口調:少しぶっきらぼうで気怠げ
 正気度59/68 耐久力11/11 アイデア85 幸運70 知識99 db+0
 筋力10 体力13 体格09 知性17 精神14 敏捷06 外見10 教育21
 主な技能(%)
  職420:信用15、心理学05+80、説得15、図書館25+60、値切り05+60、言語(中国語)01+80、人類学01+80、歴史20+60
  他170:オカルト05+50、聞き耳25、刀剣20+50、母国語(日本語)99、回避12+70、クトゥルフ神話01
 基本方針:知恵と勇気

絵  名前:松平 隆平(まつだいら・りゅうへい) 18歳・男 出身:長野 職業:学生(スポーツ選手) 口調:さわやか
 正気度40/49 耐久力06/16 アイデア60 幸運50 知識60 db+1d4
 筋力11 体力16 体格16 知性12 精神10 敏捷14 外見11 教育12
 主な技能(%)
  職240:回避28+20、乗馬05、水泳25+40、跳躍25+40、投擲25+40、登攀40+40、MA01、組みつき25+60
  他120:頭突き10+40、応急手当30+40、母国語(日本語)70、言語(英語)01+40、クトゥルフ神話00
 基本方針:安心安全

絵  名前:紅(ルージュ) 31歳・女 出身:香港 職業:古物商(古物研究家) 口調:やや芝居掛かった口調
 正気度34/55 耐久力15/15 アイデア75 幸運55 知識70 db+1D4
 筋力11 体力16 体格14 知性15 精神11 敏捷11 外見10 教育14
 主な技能(%)
  職280:芸術(骨董品)05+80、芸術(絵画)05+80、製作(骨董品)05、図書館25+60、値切り05+20、言語(日本語)01+40、目星25、歴史20
  他150:オカルト05+50、回避22、心理学05+50、博物学10+50、母国語(中国語)70、クトゥルフ神話00
 基本方針:好奇心

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