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Ken Ishii 93年5月、オランダのESPより「Rising Sun」名義のシングル「Swich of Love」でデビュー。 同月、R&S Recordsからファーストアルバム「Garden on The Palm」を、7月にプラス8から「Utu」をリリースする。 9月には初期の代表作のひとつ(と、よく言われているらしい)、シングル「PNEUMA」をリリースする。 翌年9月には初期のR&Sでのベスト盤「INNERELEMENTS」がリリースされ、95年11月には「アキラ」の森本晃司がビデオクリップを 手がけたことで有名な「EXTRA」を含む「JELLY TONES」がリリースされた。 ずいぶんとこの数年間で他に類を見ないほど音の感じが変わってしまったので、この人の曲風を一言で表すのは不可能だと思います。 個人的にはターニングポイントは「JELLY TONES」だと思ってますが。 「JELLY TONES」以前のケンイシイはとても静かで、東洋の神秘などと共に語られるような(ある意味シュールな)曲が多かったわけですが、 「JELLY TONES」では音源等もずいぶんと変わり、「METAL BLUE AMERICA」ではもう昔の面影なんかキレイサッパリ無くなってます。 しかし、本人のインタビューなんかによると、「METAL BLUE AMERICA」等での最近の変化は、自分の音楽の世界を広げてるだけであって、 「Garden on The Palm」の頃ような作品は今でも戻れるそうです。 さて、ではこれからケンイシイはどうなっていくのでしょうか。 (以下のレビューでは、「Mix-UP」や「X-MIX」のようなDJミックスは除いてあります) Garden on The Palm ケンイシイのファーストアルバム。 初期のケンイシイ全体に言えることだが、とても静かな(しかしアンビエントとはまた違う)感じの曲が多い。これはその典型的な物。 このアルバムを一言で表現するなら、とても静かで、シンプルで、そしてシュール。 INNERELEMENTS 94年7月までにR&Sからリリースされたシングルと、このアルバムのための新曲1曲で構成された日本特別編集による、 ケンイシイの初期ベスト盤(LPは無く、CDのみ)。 この中で一番有名なのはおそらく7:「PNEUMA」なのだろう。 夏のカエルの合唱のようなバックに、冷たい感じのメロディーが乗っかって、神秘的な曲に仕上がっている。 個人的に一番気に入ってるのは10:「FRAGMENTS of YESTERDAY」。 このアルバムのために書き下ろされた曲なのだが、この頃のケンイシイにしては異例とも言えるほど、とてもメロディアスで、 叙情的な作品になっている。 Green Times as 「Rising Sun」「YOGA」 ケンイシイの初期の名義(少なくとも最近この名義を使った、という話は知らない)である、 「Rising Sun」と「YOGA」の作品を集めたアルバム。 Rising Sunと言えば、ということで当然デビュー作の「Swich of Love」もちゃんと入っている(5曲目)。 当然に曲は「JELLY TONES」以前のアンビエントとも言えない静かで不思議な雰囲気の物が多い。 そう言えば私が初めて買ったサブライムのCDがコレだった。 REFERENCE TO DIFFERENCE/FLARE サブライムでのケンイシイの代表的な名義、「FLARE」のファーストアルバム。 これも「JELLY TONES」以前のアルバム。 こんなこと書くと変な誤解を招きそうでとても怖いが、「JELLY TONES」以前のアルバムは音源がほとんど変わっていないせいか、 ほとんど同じように聞こえてしまうのだが、どうだろうか。(いや、それだから悪いとは全然言ってない。念のため。) 余談だが、6:「INTERJECTION」のドラムと「METAL BLUE AMERICA」の111:「Drummelter」のドラムのパターンはかなり似てると思うのだが・・・。 JELLY TONES ケンイシイの大幅変化1回目。 「Garden on The Palm」から通して聞いていて、いきなり1:「EXTRA」を聞くと、そのあまりの変わりっぷりにやたら驚く。 たとえ「EXTRA」がビデオクリップのために特殊性があったとしても、他の曲もやはり今までの物より旋律がハッキリしている感はあるし、 静かさがあまり無くなった気がする。 それでも独特の「音の綺麗さ」からケンイシイの曲だと認めることはできるのだが・・・。 まぁ、音もずいぶんと変わったが、それ以上「EXTRA」はビデオクリップが有名になった。 やっぱ「アキラ」を手がけた森本晃司のアニメは、とても曲に合っていてカッコいい。 ちなみに、このCDから「JELLY TONES PROJECT」と言うモノが立ち上がったらしく、この後、ビデオクリップの一場面を ジャケットにしたミックスシングルが4枚ほどリリースされた。 「EXTRA」、「Stretch」、「Circular Motion+Overlap」、「Echo Exit」の4枚(「EXTRA」は日本盤がリリースされてなかった気もするが・・・)で、 それぞれオリジナルとミックス数曲が入っている。これらのミックスはとても良い(なぜかDAVE ANGELの名が目立つ)。 ちなみにプロジェクト最終シングルである「Echo Exit」がリリースされたのは97年4月。つまり「METAL BLUE AMERICA」の8ヶ月前なのだが、 この時点でもまだ曲風は(ギター弾いたりと新しいことをやってはいても)「EXTRA」の方に寄っていると思う。 GRIP/FLARE 「JELLY TONES PROJECT」の真っ最中(96年)にFLARE名義でリリースされたアルバム。 どうもFLAREにはFLAREの曲風があるらしく、「JELLY TONES」とは全く違った感じのするアルバムになっている。 「Garden on The Palm」の頃のような、初期のケンイシイの特殊性を濃縮して、さらにリズミカルにし、少しだけメロディアスにした、 とでも言うと説明になるのだろうか(いや、なってない)。 ちなみに、このCDは初回限定では8cmのCD-ROMが付属していて、「CYCLING ROUND」のミックスを聞いたりできる。 Re-GRIP/FLARE タイトル通り、「GRIP」のミックス盤。 サブライムの主立ったアーティスト(ススムヨコタはいないが)はもちろん、シャカゾンビのTutchieやコーネリアスの小山田圭吾などまでが リミックスに参加しており、とてもバラエティー豊かなアルバムになっている。 METAL BLUE AMERICA ケンイシイの大幅変化2回目。リリース当時、その変わりぶりに誰もが驚いた(ハズ)。 一言で言うと、今までのシュールさ、というか分かりにくさといった部分が大幅に無くなり、リズムがかなり強調された(悪く言えば暴力的な)感じになったと言える。 さらに言えば、今までのケンイシイの音をスマートで無機質的、機械的な音だったとすると、「METAL BLUE AMERICA」はゴツくて有機的と表現できると思う。 ある意味ではテクノを聞き慣れない人にとっては聞きやすくなっていて、一般向けになって良かった、とも言える。 で、このアルバムでは本当にいろいろなことをやっている。 「Echo Exit」の時のギターは新しかったが、今回はさらにヴォーカルまでやってしまっていたり(9:「Decrescendo」)、11:「Drummelter」の音の強烈さには 驚かされた。 ちなみに、あのジャケットの点文字を解読すると以下の通り。誤訳とかは大目に見る方向で。 Ken Ishii Metal Blue America 1.Metal Blue America 2.Butter Bump 3.Actio Surrealismo 4.Jet'n' Rush 5.Super Fly 6.Somewhere There 7.Headfirst 8.Spinous Blue 9.Decrescendo 10.Rev Splash 11.Drummelter The true aethetic inspiration of our times lies in anonymous constructions realized without artistic intention and with a utilitarian end, such as the motor car, the aeroplane, the camera, simple, standardized objects, etc. Salvador Dali (訳:私たちの本当の時の美的インスピレーションは、芸術的な意志のない、(自動車や飛行機やカメラ、その他単純に規格化された物のような)実用的な目的で 実現された、ありふれた構造の中に眠っている。 サルバドル・ダリ) Sleeping Madness 曲調的には「MBA」の延長線上にありつつも、カドが取れてやや丸くなった感じ。 「MBA」のとにかく激しい(だけ、とも言えなくもない)ドラムにケンイシイ独自のシンセが加わり、 かなりこなれて柔らかくなったと言える。 FLATSPIN 1:「Iceblink」が映画「ホワイトアウト」のサントラになり、ずいぶん話題になった。 全体的には「MBA」以降とあまり変わらず、と言えるが、中にはかなり実験的なモノも含まれる。 「JELLY TONES」以前を彷彿とさせるような2:「Grab it attack it」や、 和太鼓の効いた6:「Drums in friction」(私的には「Polynasia」のケンイシイ流解釈と思っている)、 ケンイシイ独特のシンセ音を使いつつも今までは絶対にやらなかったようなハードな4つ打ちミニマルの 5:「Infrangible」なんかがイイ感じ。 Future In Light なんというか、いつもどおりのケンイシイ。ソツなく良いデキ。 優等生的過ぎてちょっと面白みに欠けるという気も。 ・・・なんかここ数作、音が型にはまりすぎて 「ケンイシイ・テンプレート」でもあるんじゃないかという気すらする。 |