大阪の海は悲しい色やね....
「思い込み」第2弾
1999年5月15日
上田正樹という歌手を知っていますか?髭を生やし、60年代の終わりから70年代に流行ったヒッピーの元祖のようなおじさんです。この人の歌で、「大阪の海は、悲しい色やね.....」で始まる『大阪ベイ・ブルース』があります。
昔、これをラジオで聴いたとき、何で大阪の海に、野球選手のベイブルース(Babe Ruth)が出てくるのか、ずーと不思議でした。ベイブルースが戦前日本に来たとき、大阪の海を見て、そんなことを言ったのかと思っていました。それにしても、あまりにも不自然な組み合わせです。
あるとき、これは私の勘違いで、本当は「大阪弁ブルース....」と歌っているのだろうと納得しました。大阪弁でブルースを歌っているから、『大阪ベン・ブルース』ということだったのかと、やっと腑に落ちました。
それからまた何年か経って....、
あれは「大阪ベイブルース」で正しかったことに気がつきました。ただし、野球のベイブ・ルースじゃなくて、Bay Blues、つまり大阪湾のブルースだったのです。3回目にしてやっと気づきました(汗)。この間10年くらいです。
私に限らず、歌の文句では、聞き間違いや自分の勝手な思いこみから何年も間違ったまま理解していたことがよくあると思います。
ある人は『巨人の星』で、「思い込んだら試練の道を...」というのを、「重いコンダラ」とばかり思っていたそうです。「コンダラ」というローラーのようなものがあり、それでグランドを整備するのだと理解していたそうです。
また、童謡の『赤い靴』では、「赤い靴、はいてた、女の子...、異人さんに連れられて行っちゃった...」で、「異人さん」を「ひーじいさん」だと思っていたそうです。女の子が、どこかの怖いじいさんにさらわれて行く恐ろしい歌だと思い込んでいたそうです。
とにかく、歌ではこの種の間違いはいくらでもありますが、看板でも同じようなことがあります。
湘南海岸の近くに住んでいる知人の女性は幼稚園の頃、「片瀬江ノ島」という駅に、ひらがなで書いてある看板、「かたせえのしま」を読んで、「かたせーの島」と思っていたそうです。「江ノ島」という地名は当時すでに知っていたのに、妙なところで切って、なんて硬そうな島なんだろうと思っていたそうです。
まあ、これは幼稚園のころですから、ありそうなことです。
私も似たようなことがありました。ただし、私の場合は幼稚園ではなく、数年前のことです。
うちの近所に「塚口」という地名があります。阪急電車の神戸線がそこを通っているので、駅も「塚口」という名前です。うちから駅へ行く途中にビルがあり、大きな看板に縦書きで「南塚口ビル」と、ビルの名前が書いてあります。
このビルの前は信号になっているので、いつもその前で止まります。止まっている間、ビルの看板が目に入るのですが、私は数年間、このビルの看板を見て悩んでいました。何でこのビルは、こんなヘンな名前をつけているのか不思議でした。
「南塚口ビル」ってヘンじゃありませんか?まあ、普通に読めばおかしくないのですが、私はこれを、ずーと、5,6年の間、「みなみづか ろびる」と読んでいたのです。
「ろビル」って何だろうと、いつも気になっていました。漢字の「口」を、カタカナの「ロ」と読んでいたのです(汗)。「塚口」という地名は昔から知っているのに、どういうわけか妙なところで切ってしまい、勝手に不思議がっていたのです。
ビルの中に入って、事務所の人にどうして「ロビル」という不思議な名前をつけているのか、何度たずねようと思ったかわかりません。
それがあるとき何かの拍子で、「南塚口」であって、「南塚」でないことに気づいたとき、アルキメデスではありませんが、自転車の上で、「ユーレカ!(わかった)」と叫んでしまいました。
補足:第1弾の「思いこみ」は、「血液検査」です。
マジェイア