マジシャン別Very Best集

Charlie Miller

Sun and Moon

 

sun and moon

2000/4/21

最初に

「サン・アンド・ムーン」と言えば、マニアならアルバート・ゴッシュマンのコインマジックを真っ先に思い浮かべるかもしれません。しかしここで紹介するのはコインマジックではなく、ハンカチを使って演じる「サン・アンド・ムーン」です。

この奇術の歴史は古く、古典奇術の傑作のひとつですが日本ではほとんど知られていません。エドウィン・サキは著書"Sleight of Hands"のなかで、「奇術師の腕を試そうと思えば、この奇術をさせてみることだ」と述べているほどです。海外でも最近はこれをレパートリーに入れているマジシャンはほとんど見かけませんが、少し演出を工夫すれば、今でも十分通用する洒落たマジックになるはずです。

チャーリー・ミラーのルーティンは、「サン・アンド・ムーン」が本来持っているおもしろさに、いくつかの演出を付け加え、だいぶ長いルーティンになっています。しかし、他の古典マジック同様、大魔術の風格さえ感じさせるものがあります。

現象

観客からハンカチを1枚借ります。次に、助手になってもらう男の子に舞台に上がってもらい、この子に観客から借りたハンカチをレモンに変えるマジックを教えます。ところがなかなかうまくいかないで、ハンカチがバラバラに破れたり、長いテープのようにつながったりします。

テープのようになったハンカチを空中に投げ上げるとレモンに変わります。そのレモンを二つに切ると、中からハンカチが出てきます。無事にハンカチが元に戻ったのでこれを観客に返して終わろうとしますが、よく見るとハンカチの中央に直径10センチほどの大きな穴があいています。

これを返すのは気の毒なので、マジシャンは自分の赤いハンカチを取り出し、交換しようと申し出ます。しかし同じ条件にして交換するために、赤いハンカチの中央を子供に切らせます。赤いハンカチにも大きな穴があいてしまいました。客があまりうれしそうな顔をしていないのを見て、マジシャンは穴のあいた2枚のハンカチを紙袋に入れてから呪文をかけて取り出すと、ハンカチは2枚とも穴がふさがっています。しかし、白いハンカチの中央は赤く、赤いハンカチの中央は白くなって復活しています。ここが「サン・アンド・ムーン」の一番の山場です。

Sun & Moon

この2枚のハンカチを透明なグラスに入れて新聞紙で被います。新聞紙を取り除くとハンカチがミルクに変わっています。

マジシャンは子供に、「私がこのミルクを消しますから、あなたはハンカチを出してください」と頼みます。

「ミルクを消すのは簡単で、こうやればよいのです」と言って、ミルクを飲んでしまいます。子供のかぶっているシルクハットを持ちあげると、頭から2枚のハンカチが落ちます。それを広げると2枚とも完全に元通りになっています。

最後に

何とも欲張ったルーティンです。ここまで凝る必要もないと思いますが、次々と予想外のことが起きるわりには現象はわかりやすいので、観客が混乱することはありません。

 


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