魔法都市日記
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2002年2月頃



USJのバレンタインデー
USJ内のショップ。どこもバレンタインデー一色の飾り付けになっていた。

今月もマジック関係で出席したのはIBMの例会くらいである。テレビでのマジック番組は、今年に入ってもまだ種明かしをやっている。しかし私自身はもうどうでもよくなってしまった。テレビというメディア自体、過去の遺物になる日もそう遠くないと思う。



某月某日

兵庫県の西宮市にある「財団法人堀江オルゴール博物館」に行く。住所では西宮市苦楽園になるのだが、隣接している芦屋市に近いため、JR芦屋駅からタクシーで行くことにした。

駅から車で数分北に登ると、神戸市の背骨になっている六甲山脈の麓に突き当たる。高級住宅地として名高い芦屋の中でも、このあたりは六麓荘(ろくろくそう)と呼ばれ、東京の田園調布とならぶ超高級住宅地である。。1928年に国有林の払い下げを受け、山の中腹を開墾して造成された。そのため、かなりの高台にある。年配の方は、歩いて上がるには少々きついかも知れない。当時香港にあった外国人居留地をモデルに、電線やガス管、電話線を上下水道などと共に地中に埋設したため、見た目にもすっきりしている

軒並み……、といっても長い塀が続いているので、となりの軒までだいぶあるのだが、とにかく右をみても左を見ても豪邸ばかりである。庭なのか公園なのか、判断しかねるくらい広い庭のある家も少なくない。英語のマンション(mansion)という言葉は、「集合住宅」ではなく、本来このような屋敷のことをいうはずなのだと、一人納得してしまう。英会話の初級クラスでは自己紹介のときに"I live in a mansion"という人がいる。みんながこんなうちに住んでいるとは思えないので、きっと勘違いをしているのだろう。六麓荘に英会話学校があったかどうか確認できなかったが、ここでの英会話教室なら、それも納得できる。

タクシーの運転手が「ここは○○会社の社長、隣が××会社の会長の家」と勝手にガイドをやってくれる。関西に本社のある有名企業のオーナーの名前が次々と出てくる。古くから住んでいる人が多いうえに、売りに出る家屋もめったにないのだが、近年は栄枯盛衰を感じさせる転居も少なくないようだ。新しく移り住んでくるのは、戦後すぐは繊維産業、その後、海運、アパレル、コンピューターと続き、時代を反映した企業のトップが多い。頂点まで登りつめた人が最後の目標にしているのが、ここに住むことかも知れない。

阪神大震災のときも芦屋市は神戸市と同じ震度7で大きな被害が出たが、この近辺の住宅は古い建物が多いにもかかわらず被害は少なかった。これは建物自体が昨今の安直なものではなく、基礎からしっかりと作ってあるからなのだろう。

堀江オルゴール博物館入り口

10分ほどで、堀江オルゴール博物館に着く。開館時間まで少しあるのでしばらく近所を散策することにした。気のせいか、このあたりは流れている小川や空気、小鳥のさえずりまで優雅な雰囲気を漂わせている。

小川

時間になったので、玄関のドアを押してみる。あとで気がついたが、この扉にもオルゴールのディスクがデザインされている。ここは1日の定員も決まっているため、行くときは事前に電話やメールで予約しておかなければならない。

1993年にこちらの博物館はオープンしたのだが、オーナーであり、館長の堀江光男氏は現在90歳を越えておられる。昔からコレクションしておられたものを公開されたのかと思ったら、堀江氏がオルゴールを本格的に集め始めたのは70歳を過ぎてからであるとうかがい、そのバイタリティに驚嘆した。倉庫にあるものまで含めると現在330台を越えるオルゴールや自動ピアノ、自動演奏するバイオリン、オートマタ(自動人形)があり、私の想像をはるかに超えていた。

館内にはロシアのニコライ二世が子供のときパリの万博(1900年)で気に入り、プレゼントされたシリンダータイプのオルゴールをはじめ、世界的、歴史的に貴重なものであふれかえっている。

オートマタなかでも、自動演奏するバイオリンは大変珍しい。100年ほど前に作られたオリジナルも実演可能な状態で展示されている。しかし演奏できる状態で、なるべく永く保存するため、ドイツでレプリカを作ってもらったそうである。普段はそちらを聞かせて頂けるようになっている。本物はクリスマスなど、年に何度か、特別のときだけ演奏されるようだ。レプリカといっても構造は本物とほとんど同じで、これだけでも数千万円かかっているそうだ。

このようなところでお金の話を持ち出すのは無粋なことなのだろうが、私のような貧乏性の人間は気になってしかたがない。つい「これはおいくらで入手されたのですか?」とたずねてしまう。返ってくる返事は、大抵、驚くような額である。総額ではいったいどのくらいになるのか詳しいことは知らないが、普通の電卓では絶対に桁数が足りないくらいの額であることは間違いない。

金額のことを言い出せば切りがないのだが、先のニコライ二世のオルゴールなど、これだけで数億する。シリンダータイプの場合、長さ1メートルほどの円柱状のシリンダーにピンを埋め込み、何曲も演奏できるようになっているが、このシリンダーだけでも現在製作すると優に億単位になるそうだ。こんなものがそこら中にある。オートマタにしても、国内の著名な制作者に期限も費用も無制限という条件で製作してもらったものがロビーに展示されている。(上の画像)

このロビーだけでも、自動演奏のピアノや、昔、街頭での演奏で使われていたストリートオルガンなど、興味深いものが数多くある。建物は3階建てになっており、定時になると係員の女性の誘導で案内してもらえる。約1時間半をかけ、解説と実際の演奏がある。一度にすべてを聞くのは無理なので、月替わりでプログラムは変わるようになっている。

2階に上がると、天井には照明器具のカバーにオルゴールのディスクが使われていた。世界中から取り寄せた照明器具のサンプルを見ても館長は気に入ったものがなく、試しにオルゴールのディスクをカバー代わりにつけてみると、ピッタリだったそうである。通路の途中にはエミール・ガレの作品らしいガラスの展示物などもさりげなく飾ってある。

最近、観光地に行くとオルゴール館を見かけることが少なくない。しかしこちらの博物館を見てしまうと、そのようなものがすべて玩具にすぎないことがよくわかる。内容の充実度では国内ではナンバーワン、世界的に見ても屈指のものであるにちがいない。100年を越える古いオルゴールも数多くあるが、メンテナンスがよく行き届き、すべて実演可能な状態になっていることに驚いてしまう。これだけ古いものを世界中から集めるだけでも大変なのだが、常に演奏可能であるように維持管理することはさらに大変なことである。

この日はたまたま館長の堀江光男氏が、ロビーや最後のご挨拶に出てきてくださった。帰り際に、2,3おたずねしたら、ひとつひとつにていねいにお答え頂き、気がついたら30分ほど、話し込んでいた。途中何度も係の女性が堀江氏のことを気遣い、様子を見に来ておられたようだ。私も好奇心だけは旺盛のため、つい長話になってしまった。

おかげさまで収集秘話とでもいうようなことや、オフレコにしておいたほうがよさそうなお話まで伺うことができた。あらためて堀江氏ならびに案内役の女性にお礼申し上げる。展示物の詳しい説明は実際に行ってからのお楽しみということで省略させて頂くが、私はオルゴールもさることながら、すっかり館長のファンになってしまった。

70歳を過ぎてからこれだけのものを集め始めたこと。いくら欲しいと思っていても、ちょっとやそっとでは入手不可能なものが引き寄せられるように集まってくること。これは勿論、数十億円というお金をつぎ込んでおられるのだが、それでも情熱があるからこそ、世界中からこれだけのものがひとつのところに集まったのだろう。

宮水の飲み場

ロビーから庭に出ると、ビーナスが立っていそうな、巨大な貝殻があった。上には小さな巻き貝が乗っており、そこから水が湧き出している。これは水道水ではなく、六甲山から湧いている宮水である。灘の清酒や、ペットボトルで販売されている「六甲のおいしい水」はこれで造られている。こんなものが庭から湧き出しているのだから、何ともうらやましい。

コップを用意してくださっているので、一杯飲ませていただいた。これが宮水かと思うと、ありがたさが先に立ち、味はよくわからなかった。

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某月某日

六甲アイランドの映画館で「オーシャンズ・イレブン」を見る。ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、アンディ・ガルシアなど、お馴染みの役者が出演している。これは1960年に、フランク・シナトラ、ディーン・マーティンなどが出演し、「オーシャンと十一人の仲間」というタイトルで公開された映画のリメイク版らしい。ラスベガスの賭博場から、金をごっそり盗むというストーリーも同じである。

舞台はラスベガスで、ブラッド・ピットがいかさまギャンブラー役として出ているという話を知人から聞いていた。これだけ条件がそろっていたら、「スティング」のように、映画の中でギャンブラーのテクニックを見せる場面があるかもしれないと思い、がぜん興味がわいてきた。

私はすぐにでも行くつもりであったのに、同伴者が、ローソンで前売りチケットを申し込めば数百円安くなるのと、オーシャンズ・イレブン特製携帯ストラップがもらえるので、絶対ローソンで買うと言ってゆずらない。私はどうでもよかったのだが、この友人は少しでも安く買える手段があるのなら、それを利用しないことは神への冒涜とでも思っているような人なので、まかせておいた。

ローソンで機械を操作して申し込むと、携帯ストラップの関係で、公開日初日より、半月ほど待たないと届かないことがわかった。半月も待たされることがわかっていたら劇場で当日券を買ったのだが、もう払い戻しはできないのだろう。急いで見る映画でもないので待つことにした。

期待していたカードを扱う場面は別段どうってこともなく、拍子抜けをする。それより、始まって数分の場面で、オーシャン役のジョージ・クルーニーが、コインか指輪を消すようなことをしたらしい。私は見落としてしまった。飲み物を取ろうと、一瞬横を向いた瞬間のできごとであった。一緒に行った友人はマジックをやっている人ではないため、話を聞いてもテクニックで消したのか、ただ投げ捨てたのかもわからないので全然要領を得ない。とにかくパッと消えたとしか言わない。映画の中身より、私はそのことのほうがずっと気になっていた。最初の場面だけもう一度見ようかと思ったが、この映画館は観客を総入れ替えするため、あきらめて出た。チケットをもう一度買って見直しても、ただコインか指輪を捨てただけなら気分が悪くなるのはわかっていたのでそれはやらなかった。

映画自体は「スパイ大作戦」をもう少し大がかりにしたようなもので、荒唐無稽ではあるが、それなりに楽しめる。

某月某日

2月26日で今年の国公立大学の入試も終わり、一段落した。合格発表が3月上旬にあり、それまでは落ち着かないが、とにかく今年受験する生徒を全員送り出し、ホッとしている。12月頃からは、プライベートなお誘いを受けても、2月の試験が終わるまでは動けないため、すべてお断りをしていた。第一弾として、試験が終わった次の日、以前から約束していた方と、骨休めを兼ねて神戸でオフミーティングをしてきた。

はじめての方とお会いするといつも驚くことは、ホームページを隅から隅まで本当によく読んでくださっていることである。私自身がすっかり忘れているようなことを指摘され、汗が噴き出しそうになることもある。特に食べ物関係の話を書くと、遠方からでも通販で取り寄せたり、比較的近い方は実際に行ったりなさっているようだ。今回の方も、煩悩即涅槃で紹介した「ピロシキ」「金平糖」などを取り寄せたとおっしゃっていた。昨年の日記で書いた大阪帝国ホテルにあるスヌーピー形ホットケーキも、数名の方からあれを読んで食べに行ったとうかがい、うかつなことは書けないと、プレッシャーを感じている。

先月書いた「お好み焼き」も、関西であのようなことは常識なのか、という問い合わせをいただいた。常識かどうかはわからないが、関西人なら大抵の人はお好み焼きや、たこ焼きくらい自分で作れる。

イスズベーカリー

今回は神戸のガイドブックに載っているようなところよりも、私のホームページによく出てくるところに行ってみたいということであったので、「モザイク」や「デリカテッセン」などにご案内した。余談になるが、デリカテッセンでサンドイッチ用に使われているパンは三ノ宮にある「イスズベーカリー」のものである。ここのパンはおいしいことはいうまでもないが、パン屋にしてはめずらしく、夜の12時近くまでやっているので利用しやすい。(上の画像)

話が逸れるが、神戸やその周辺、御影、芦屋、甲陽園には、おいしいケーキ屋やパン屋が密集している。西宮市の甲陽園は芦屋の六麓荘などとも近く、山間の少し奥まったところにあるが、ここにもしゃれた店が多い。おそらく日本中のベスト100を選べば、この近辺の店だけでも相当な率で占めてしまいそうな気がする。

某月某日

先月の日記で、明石の天文台に行った話を書いた。明石のプラネタリウムはオーバーホールの最中であったため、残念ながら見られなかった。プラネタリウムなんて2、30年行っていなかったのに、見られないとなると無性に見たくなってくるものだ。大阪にもあったはずだと思い調べてみると、大阪駅から地下鉄で一駅ほど南にいったところ、ロイヤルホテルの近くに大阪市立科学館があり、そこにもあることがわかった。

ここは昔の大阪市立電気科学館が古くなったため取り壊され、平成元年にこの場所に新しく建て替えられた。旧館は昭和12年(1937年)に、西区・四つ橋に建設され、半世紀以上もの間、関西の子供たちに科学の啓蒙をおこなってきた。私も小学生の頃行った覚えはある。うちの父や手塚治虫氏も、戦前ここでプラネタリウムを見たと言っていたから、確かに古い。

昭和12年当時、設置されたプラネタリウムの投影機はドイツ、カール・ツァイス社製のものであった。これ一台で、小学校が3校建てられるくらい高価なものであったそうである。これが日本で初めての本格的なプラネタリウムである。 新しい科学館に移ってからは、この投影機は現役を引退し、展示だけされている。現在、プラネタリウムの投影機としてはコンピューター制御されたミノルタ製のものがドームの真下、中央に据え付けられていた。おそらく昔の機械に比べればずっと高機能、多機能なのだろうが、コンパクトになっており、なんだか味気ない。カール・ツァイス社の古い機械など、宇宙船のように見え、機械をながめているだけでもイマジネーションを刺激される。

カール・ツァイス社製プラネタリウム

私が行った2月は、「ガリレオが見た星 木星」と題したテーマになっていた。ガリレオというのは、あのガリレオ・ガリレイと木星探査に行った人工衛星ガリレオの両方にかけてある。

プラネタリウムは球形になった天井に映し出されるため、イスに腰をおろすと、やや上を向いた格好になる。周りも薄暗いため、寝やすいのはわかるが、真後ろに座っていたおじさんは開始早々、高いびきをたてはじめた。私は歯科のイスを連想するためか、むしろ緊張してしまう。今でも歯科に行くのはきらいなのだ。

上を向いて、半分寝たような格好で座りながら、ドームに映し出される大阪の日没の場面をながめていると緊張もほぐれてきた。周辺の建物も映っているため、実際に大阪の真ん中で、寝そべっているような気分になってくる。

西の空に太陽が沈み、辺りが暗くなってくると、満天の星空が現れ、流れ星も飛び交い始めた。私が小学生の頃まで、夜、空をながめるとこれくらいの数は見えていたはずなのだ。今ではそれが数えられるほどしか見えない。星の数が減ったはずもないから、実際にはこれだけの星が頭の上で輝いているのだろう。本当はあるのに、わざわざドームの天井に投影された夜空をながめなければ星が見えないというのは、何とも寂しいものだ。まるで地底人か海底人にでもなったような気分になってくる。そのうち地球の温暖化やオゾン層の破壊で、人間が地表には住めない時代が本当にやってくるかもしれない。そうなると、「この地面の上には夜になると星というものが現れ、キラキラと輝いているのだよ」と子供に学習させることになるのではないかと思ってしまう。

ひとしきり大阪の夜空を楽しんだあと、人工衛星ガリレオが木星に接近し、撮影した画像がドームに大写しされた。

プラネタリウムの解説員は独特のゆったりとした喋り口調で語りかけながら説明をしてくれる。これは日本中どこでも同じような雰囲気だと思うのだが、今回、聞き間違いかと、自分の耳を疑う場面が何度かあった。

「これが冬の大三角形を作る星のひとつ、シリウスです。シリウスといっても、尻が薄いというわけではありません」

「……?」

周りの人たちの反応を確かめたが、誰一人クスッとも言わない。平日の昼間、しかも団体客がいなかったため、入場者数は定員の1割以下ということもあるが、シーンとしたままである。私の聞き間違いなのかと思い、そのあとも解説を聞いていた。しかし、またシリウスと同類の駄洒落を、声の調子も変えることなく淡々と言っていたから、あれは私の聞き間違いではない。

それにしても重々しい口調で、しかも淡々とくだらない駄洒落を言われると、悩んでしまう。もう少しロマンチックな気分に浸れるかと思っていたのだが、これではちょっと興ざめである。いくら大阪にあるとはいえ、つまらないギャグを飛ばしてまで、場違いな笑いを取ろうというつもりなら言語道断である。


科学館の中はプラネタリウムだけでなく、オムニマックス映画が見られるサイエンスシアターと、4階建ての展示場にわかれている。この二つは、料金も別になっている。3Fの科学プラザではサイエンスショーもあり、この日は振り子の実験をおこなっていた。

振り子の実験

上の写真のような、長さの異なった紐を3本V字型にして、5円玉をぶら下げてある。このうちひとつを観客に指定してもらうと、選ばれた5円玉だけが揺れるという、超能力風演出の実験があった。

これをもう少し大がかりにして、10メートルほどある長い紐を横に張り、そこに5、6種類の長さの異なった紐に色水の入ったペットボトルをぶら下げ、指定されたペットボトルだけを揺らせてみせるという実験もあった。

どちらも糸の長さが異なっていると、振動の周期が異なることを利用した実験なのだが、特定のものだけを揺らせてみせると、超能力のように見えるらしい。

これとまったく同じ原理のものをアメリカのマジック専門店、コレクターズ・ワークショップが売り出している。こちらは商品にするためベルを使い、多少演出効果を上げているが、原理はまったく同じである。(下の写真)

コレクターズ・ワークショップのベル

棒にも紐にも何の仕掛けもない。写真のように異なった長さの紐にベルがついており、棒の両端を演者が持つ。観客にひとつベルを指定してもらうと、そのベルだけが他のベルよりも激しく揺れる。選ばれたベルは前後にかなり揺れても、他のベルはほとんど動かない。

昔からある遊びで、紐の先に5円玉を吊し、円運動や前後左右に動けと念じると、実際に5円玉がそのように動き始めるものがある。それと振り子の周期が異なることを組み合わせると科学マジック、あるいは超能力風マジックになってしまう。

適当な長さの棒と紐、おもりになるようなものがあれば簡単に作れる。ベルがぶら下がったものはクリスマスのときなどに見せると、それなりにうけるかもしれない。

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某月某日

今年もヴァレンタインデーにはいろいろと送って頂き、感謝に堪えない。ホームページを読むと、私が繊細で、華奢(きゃしゃ)な男性と思っている方が多いようなのだが、それはまったくの誤解であると、今年も申し上げておく。

メールを読ませて頂いて、どうもその種の誤解をしていると思える女性には、事前にできるだけ客観的な情報をお伝えして、あとで「詐欺だ!」と言われないようにしているのだが、それでも送ってきてくださるのだから、世の中はわからない。ホームページで好き勝手なことを書いているだけなのに、どこを気に入って頂けるのか、自分では全然わからない。それはともかく、うれしいことは間違いないので、お送り頂いたものはありがたく頂戴している。

今年頂いたチョコレートのなかに少々めずらしいものがあった。

ゴディバ・チョコレート・リキュール

アメリカのゴディバU.S.A.が1993年から製造している「チョコレートリキュール」。750mlのボトルに、チョコレート味のリキュールが入っている。

チョコレートリキュール

チョコレートを溶かしたような色で、かなり濃厚なリキュールである。ストレートで飲んでも決して甘ったるくなく、大変飲みやすい。アイスクリームの上に少しかけると、さっぱりしていてよくあう。

これはゴディバU.S.A.のオリジナルのため、ゴディバJAPANに問い合わせても、そのような製品があることすら、知らなかった。洋酒の輸入販売店が、独自のルートで仕入れているらしい。チョコレートはいくら頂いてもうれしいのだが、このようなものは雰囲気が変わるので、喜ばれると思う。

「おとこたちの空間」

ホテルオークラが売り出しているチョコレート。カカオ豆の中でも5%程度しか生産されず、希少価値の高いクリオロ種と岩塩を使い、シンプルな板チョコになっている。男性がバーで、酒のあてにできるチョコレートというコンセプトで作られているため、甘すぎることもなく、ほどよい苦さも満喫できる。

おとこたちの空間

大きさは縦がトランプとほぼ同じで、横幅はポーカーサイズよりも1.5cm程狭い。厚さは約1cm。大変固いため、手で割るのは難しい。そのため小型のハンマーが添付されている。

このタイプのチョコレートは最近見かけなくなっていたのだが、年配の方にとっては懐かしいこともあり喜ばれる。若い女の子が、シルバーグレーのおじさまにプレゼントすると、一ヶ月後には10倍くらいになって返ってくるかもしれない。

ハンマーをつけたこともヒットの理由だと思うが、オークラでもこれは予想外に売れたため、バレンタインデーが終わった今も販売されている。(インターネット経由で、通販でも購入可能)

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「チェリー・ボンボン」

メリーという国産チョコメーカーが、バレンタインデーのときにだけ売り出す限定商品。

チェリー・ボンボン

ブランデーを十分含ませたチェリーを丸ごとチョコで包んである。これはバレンタインデーが一番の食べ頃になるようにできている。ひと月ほど前から作り、2月14日頃には浸透圧の関係か、中のチェリーはすっかり小さくなり、ブランデーと種だけが残る。

食べるときは枝がついたまま口に入れ、唇をしっかり閉じてから枝だけを強く引っ張って抜く。その後、口の中でチョコを割るとブランデーとチェリーの成分、チョコが溶け合い、絶妙な味になっている。種は口の中に残るので、それだけを最後に取り出す。

これを食べるときは、枝以外は全部を口に入れること。予想外にたっぷりブランデーが入っているため、チョコの部分を半分ほどかじるような食べ方をすると、中からブランデーがバーッと吹き出て、こぼしてしまう。服などにもかかるおそれもあるので、必ず口の中で割ること。

 

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