魔法都市日記(8)
1997年6月頃
某月某日
半年ほど前、「投稿特報王国」というTV番組に、金属を食べる不思議な物体が紹介されていた。
番組の中では、紹介者が発見したその謎の物体は、黒く、ドローとした液体のようなもので、金属のそばに置くと勝手に動き出し、金属をすっぽりと包み込んでしまうという不気味なものであった。
先日、薬科大にいる友人のF教授が、この「謎の物体」を送ってきてくれた。今年の3月に、箱根で開かれたエルムズレイを招いたコンベンションに彼が出席したとき、この黒い物体をいくつか作って持っていったそうだから、見せてもらった人もいるだろう。テレビに出ていた人とは面識がないそうなので、偶然の一致なのかも知れないが、不思議がっていた。
この「謎の物体」は、実際は液体ではなく、昔から子供の玩具として販売されている「スライム」がベースになっている。それにある加工を加えたものだそうだ。 スライム自体の作り方は科学雑誌などに以前から公表されているので、機会があれば「謎の物体」の作り方をどこかに発表してくれるかもしれない。
先のTV番組では、ただ奇妙な物体というだけの紹介で終わっていた。 これをマジックに使う場合の演出も、F教授は考えており、そのための道具を探していた。
送ってきてもらった「謎の物体」で、うちにある道具でうまくいくか試してみたが、まだ適当なものが見つかっていない。彼とは20数年のつきあいになるが、たまに見せてくるマジックはどれも飛びきり不思議なオリジナルマジックばかりである。この「謎の物体」を使ったマジックは、まだ発表していない段階なので、演出についてもここでは詳しくは書けないが、あの発想の飛躍にはいつものことながら驚嘆している。
某月某日
先月の「魔法都市日記」で予言した、羽生対谷川の名人戦は、私の予言どおり、谷川が勝ち、引退後、永世名人を名乗る資格ができた。別の場所には「羽生が勝つ」と書いておいたので、どっちにころんでもこの予言は当たるようになっていた。(というのは、ウソですよ。)
某月某日
NTTから、ISDNの工事に来てもらった。TA(ターミナルアダプター)の置き場所確保のため、私の部屋の大掃除をする。部屋には2台、デスクトップのコンピューターが置いてあるが、現在メインに使っているPC互換機だけを残して、もう一台は廃棄処分にすることにした。
この古い機種にはハードディスクが3台外付けしてあり、周辺機器を入れると、電源が数多く必要である。部屋には6連のコンセントが5個あるが、そのうち、半分近くをふさいでいる。とにかく30個あるコンセントをこれ以上増やすとブレイカーが落ちそうで、もう限界に来ている。
以前にも、私がコンピューターを使っているとき、家人が隣の部屋でヘヤードライヤーのスイッチを入れたとたん、ブレイカーが落ちた。ドライヤーは大量に電気を食うから、こんなものを同時に使われたら間違いなくパンクしてしまう。家全体ではブレイカーは7個あり、一般の民家としては余裕があるはずなのだが、さすがにひと部屋に30個のコンセントは多すぎるのだろう。
古いコンピューターを処分したら、大きな机の上が半分空いた。ついでにその周辺に山積みしてあった書類や書籍も片づけると、本の山の下から、携帯用の「折りたたみ傘」が11本、出てきた。(汗)
雨が降りそうな日、出かけ際に玄関で鞄に入れて持って行き、使わなかった場合、その傘が鞄に入ったままになっている。自分の部屋で傘に気づき、鞄から出した傘をそのあたりに突っ込んでおいたら、それがたまりにたまって、11本になっていた。(汗) でも、なんでうちにはこんなに傘があるのだろう。
さらに、2年ほど前から見かけなかったCDプレイヤーも出てきた。これは最近見かけないと思っていたが、家人が欲しいと言っていたので、てっきり持っていったのだと思っていた。(笑)
昔、どこかの雑誌編集者が、机の上を掃除したら、数年前から紛失していたタイプライターが紙の山の中から出てきたという話をしていた。似たようなヤツはどこにでもいる。
マジェイア